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コアエリア突入 前

 



 魔境 オーク支配地域 コアエリア北



「前方オーク100、殲滅!」


 オシホ様の命令で、前衛を務めるアイン班が移動速度を落とさずに、戦闘用ゴーレムに装備された魔具を使い『ロックジャベリン』でオークの警戒部隊と思われる群れを殲滅する。


「これで三つ目ですね」


「うむ。そろそろ外周警戒用の群れの本隊じゃろう。このは一気に突破する。攻撃に気を取られるでないぞ」


「了解です」


 俺達がコアの向かって南下し始めて一時間程でオークの警戒網に引っ掛かり始めた。

 ドライの偵察の話では、三重になった警戒網の中心に、北側の警戒をしている群れの本隊があるとの事で、本計画では強行突破する予定になっている。


 群れの規模は20,000程度と思われるが、この警戒用の群れはコアエリアを中心に八方向に配置されていると思われるらしい。

 全てを確認できた訳では無いが、少なくともコアエリアがある場所から北、北西、北東、東には同じ様な警戒用の群れが配置され、警戒網が敷かれている。

 それ以上は広すぎて調べられなかったそうだ。


 一々相手をしてられないし、下手に相手をしていると、オーク側に迎撃体制をとられ、戦力を集中されかねないので、今回は速度を優先の突破策をとる。



 オークが迎撃体制を整える前に叩く。強襲電撃戦が今回の作戦になる。



「見えたぞ。前方オーク20,000!突破じゃ!」


 俺とオシホ様、作業用ゴーレムを中心に前方にアイン班、右にツヴァイ班、左にドライ班が配置されており、今回は突破が目的なので皆で菱形の陣形を組んでオークの群れの中心を強攻突破する。


 鎧袖一触。


 外周警戒の群れを一瞬で突破した。

 通常の戦闘用ゴーレム達に持たせた盾が大いに役立ち、最小限の戦闘で突破できたのだ。


 ここからは時間との勝負だ。

 時間が経てば経つほど戦力が集まってくる。



 外周警戒の群れを突破して30分ほどすると、再びオークの警戒部隊と思われる100匹程の群れが居た。


「前方オーク100、殲滅!」


 前衛のアイン班の『ロックジャベリン』で、何事もなく殲滅できた。


「オシホ様、この位置でとなると……」


「うむ。もう一つ警戒の群れが居るな」


 俺達の予想通りもう一つ警戒のための群れがあり、こちらは30,000程度で、20,000の群れと同じ様に突破した。



 そして、前線拠点を出撃して三時間半ほどでコアエリアの付近まで来た。

 ほぼ速度を落とすこと無く来れたが、魔具を設置しながらだったので少々予定より遅れてしまった。

 だが、全戦力を無傷でここまで持ってくる事が出来た。

 後はコアエリア周辺に居るオークやハイオークを突破し、コアエリアに居るであろうオークキングかハイオークキングを討伐してコアを掌握するだけだ。


「ここで最後の休憩じゃ。お主の準備が出来次第突撃する」


「了解です」


 トイレと食事を手早く済ませ、最後に体をほぐしてから搭乗型メタルゴーレムに乗り込む。


「準備完了!」


「良し、コアエリア突撃用の陣形に変更する!」



 ここまで来た陣形から少々変更し、コアエリア突撃用の陣形に変更する。

 ここまでは、アイン班が前面を全て受け持ち、側面をツヴァイとドライが守りながら、遠征用が後方を守ってここまでオークを突破してきた。


 ここからは、精霊トリオはオシホ様同様に俺とコアエリアに突入するので、周辺警戒からは外れてもらう。

 それに伴い戦力が振り分けられた。

 新精霊達は、それぞれに通常の戦闘用ゴーレム45体と作業用ゴーレム15体を率いてコアエリア周辺を確保してもらう。

 俺達の側には、精霊トリオに通常の戦闘用ゴーレム10体、作業用ゴーレム4体をアインに、ツヴァイとドライは3体、更に遠征用の戦闘用ゴーレム15体、作業用ゴーレムを5体をそれぞれに配置した。

 オシホ様には、防御型アインゴーレム10体と無人の搭乗型強化ロックゴーレム2体のみとなる。


 陣形としては、アイン班のシータとラムダが前衛、ツヴァイ班のシグマとタウが右側面からから後方、ドライ班のファイとオメガが左側面から後方を警戒し、コアエリアに突入する俺達を護衛する。

 護衛対象として、囲む戦力が多くなってしまったので、前衛と側面防御の間にツヴァイとドライが、真後ろはアインが護衛戦力を配置して全周を隙無く防御する。



「良し、編成は完了したな。これよりコアエリアに突撃を開始する。……突撃!」


 オシホ様号令の元、全てのゴーレム達が動き出す。

 しばらくして、オーク達が俺達に気付き迎撃体制をとろうとしてきた。


「一斉攻撃!」


 オシホ様の号令で、俺達の進路、コアエリアの入り口方向へ水平撃ちを出来るものは水平に、水平撃ちが出来ないものは曲射、山なりに『ロックジャベリン』を放つ。


 俺達の突然の出現に驚いたオーク達だが、『ロックジャベリン』によって更に混乱に拍車がかかる。


「そのまま突入じゃ!」


 俺達は、オークが鳴き声を上げる中、ゴーレムの足音と武器を振るう音、盾でオークを弾く音のみを出しながらオークの群れの中を突き進む。


 そして、前衛であったシータとラムダがコアエリアへの入り口を少し過ぎた場所で止まり、全軍もそれに合わせて止まった。


 コアエリアへの入り口は、幅10mほどある下り坂で、それを覆うような岩山があった。

 これも高さ10mほどだった。


「アイン、ツヴァイ、ドライは集合!他の者は全周防御体制!広く守る必要は無い!入り口のみを守れ!」


 精霊トリオが合流し、新精霊達がゴーレムを展開して全周防御体制へ移行していく。


「揃ったな。先頭はアイン四列じゃ!次にワシと広坪。後ろにツヴァイとドライが二列ずつじゃ。二人は並んで来い」


 オシホ様が突入の順番を指示してくる。

 地下にあるコアエリアへの入り口は幅10mあるので、ゴーレムが4体は横に並べる。

 先頭をアインにして切り込ませ、数の少ない俺とオシホ様が続き、ツヴァイとドライは二列ずつで更に続く事になった。


「「「「了解!」」」」


「これよりコアエリアに突入する!魔力供給範囲が届かぬ場合は遠征用ゴーレムのみで対処せよ!突入!」


 コアエリアは何処も同じ大きさなので広さは分かっているが、魔力供給範囲が届くかは分からない。

 魔力供給範囲がコアエリアの中まで届けば何の問題も無いが、届かない場合に備えて遠征用ゴーレムが突入組に加えられているのだ。


 改めて注意を受けた俺達は、コアエリア入り口へ突入した。


 コアエリアへの道は階段では無く土の下り坂になっていた。

 下り坂は右へ緩やかにカーブになっていた。

 そして、下り坂が一周して入り口と同じ方向へ向かうようになる頃、コアエリアが見えてきた。


「アイン!通常の戦闘用ゴーレムを突入させよ!」


「了解!」


 アインが先頭の通常の戦闘用ゴーレムをコアエリアに突入させる。


 入り口に入ってから、100m単位ほどずつ全方位タイプの魔力供給用の魔具を置いてきてあり、どう考えても魔力供給範囲になるようにしてきた。


「駄目だ!魔力供給無し!」


「遠征用で対処!突入せよ!」


「了解!」


 アインは、通常タイプのゴーレムをコアエリア内の壁沿いに待機させ、遠征用ゴーレムのみでコアエリアの奥へ進む。

 俺達もそれに続き、オシホ様指揮下のメタルゴーレム達もコアエリア内の壁沿いに待機させる。


 コアエリアの中は直径が1kmほどのドーム状で、外周は10m程の直立の壁で、その上から中心部に向かうに従って天井が高くなっており、一番高いところで100m程はある。

 天井の何ヵ所かが光っており、コアエリア内はとても明るく、戦闘には支障は無さそうだ。


「ここがコアエリア」


「奥に見えるのがコアじゃ」


「あれが……」


 奥にあったのは、濃い紫色の光を放つ直径が1m程の水晶の様な球体だった。

 アリスさんの所のコアとは、大きさや放つ光の濃さが違う。


 俺がコアに気を取られていると、ツヴァイとドライもコアエリアに突入してきて、通常のゴーレム達を壁沿いに待機させて、遠征用ゴーレムでアインの左右に陣取る。


「オシホ様どうですか?」


「駄目じゃな。地形操作は出来ぬ」


「地形操作無しであれの相手ですか。骨が折れますね」


 俺がオシホ様に確認したのは、地形操作が出来るかどうかだったが、出来なかった。

 オシホ様で出来ないとなると、誰にも出来ないだろう。

 遠征用の戦闘用ゴーレム45体、作業用ゴーレム15体、無人の搭乗型ゴーレム2体と俺、オシホ様、精霊トリオだけコアエリアを制圧しなければならない。


 通常タイプのゴーレム達は、魔力供給範囲外でも戦えない事は無いが、戦闘用ゴーレムで五分、作業用ゴーレムで10分、防御型のメタルゴーレムでは1分しか戦えないなので、魔力供給が届かない場合は予備戦力として待機させる事になっていた。



 そして、相手はあれだ。

 俺達の前には、10,000ほどのハイオーク達が整然と整列しいた。

 ハイオーク達の奥には、オークジェネラルと思われる個体が8体、ハイオークジェネラルと思われるのが2体確認できた。

 更に奥には、オークキングと思われる大きな個体がコアの前に陣取り、100匹程の真っ黒なオークに囲まれている。

 真っ黒な個体は、ロイヤルガードと呼ばれるキング種が地域支配をしている場合に限り、コアエリアのみに存在するオークの特殊個体だろう。

 強さについては詳細は分からないが、弱いわけは無いだろう。



 少々遠征用ゴーレムだけで相手をするには骨の折れる相手だ。


「無理はするよ!行くぞ!」


 俺達は、遠征用ゴーレム達を前に押し出しながら前進する。

 ハイオーク達はその場からは動かず、身構えるだけだった。


「止まれ!『ロックジャベリン』で攻撃!広坪は2体の魔力を使え!一斉射!」


 俺、オシホ様、精霊トリオによる『ロックジャベリン』を一斉に放つ。

 数は28発。

 どれもハイオーク達の顔や胸に当たり、一撃で倒せていた。


 俺は搭乗型強化ロックゴーレムの魔力を使い、『ロックジャベリン』を放った。

 コアエリア内では魔力供給を受けれないので、余裕がある搭乗型強化ロックゴーレムから魔力を貰いながら魔法を放った。


「もう一度!放て!」


 再び放った『ロックジャベリン』は、1匹には防がれたが27匹のハイオークを倒せた。


「ブ、ブギィィィィ!」


 奥のオークキングが叫び、ハイオーク達が俺達に向かって突撃してくる。


「下がりながら攻撃!放て!」


 今度は28発全部がハイオークを倒し、後続も何匹か倒れる。


「良し!ここで迎え撃つ!防御姿勢!」


 ハイオークより速い足で素早くコアエリアの入り口付近で防御体制を整える。


「一斉射!放て!」


 突撃してくる28匹のハイオークを倒した。


「ゴーレム準備!次は引き付けて放つ!……放て!」


 ハイオークが俺達まで30m程の所で『ロックジャベリン』を放ち、作業用ゴーレムも弩を放った。

 俺達が放った『ロックジャベリン』と作業用ゴーレムが放った弩の矢は、ハイオーク達の足に当たり、ハイオーク達が倒れる事で後続が倒れ、突撃の勢いがいくらか軽減された。


「今じゃ!」


 そして、オシホ様の号令で通常タイプの戦闘用ゴーレムと防御型のメタルゴーレムが一斉に動き、遠征用の戦闘用ゴーレム達の前に並ぶ。

 メタルゴーレムは正面、戦闘用ゴーレムはその左右に展開してハイオークの突撃を受けたが、勢いをいくらか殺したとは言え、ハイオーク達の圧力は凄く、大部押し込まれた。


 外で戦った時よりも、明らかにパワーが上がっている。

 予想はしていたが、想定以上だ。


「良し!入れ替えさせよ!」


 通常の戦闘用ゴーレムから、遠征用の戦闘用ゴーレムに前線を入れ替える。

 入れ替えはそれぞれの指揮下のゴーレムと入れ替えたので、スムーズに済んだ。

 最初の突撃を受け止めた通常タイプのゴーレム達は、何体か損傷はしたものの、全機が使える状態なので、コアエリアの外に一度出して魔力を補給させる。

 長時間の戦闘は出来ないが、不足の事態には使える戦力なので、可能な限り使える様にしておく。

 メタルゴーレムも同じ様に補給はさせたが、流石に一分では他に使えるタイミングは無いかも知れない。



 戦線は遠征用の戦闘用ゴーレム達が支えてくれている今のうちに魔法でハイオークをの数を削る!


 俺とオシホ様、精霊トリオは『ロックジャベリン』をガンガン放ち、ハイオークを倒す。

 魔力が心もとなくなると、コアエリア外に出て、魔力を補給する。

 コアエリア外なら、魔力を10秒ほどで満タンまで補給てきる。

 俺は無人の搭乗型ゴーレムの魔力を使っているので交互に補給に行かせて、どんどん魔法を放った。


 遠征用の作業用ゴーレムも弩を放ち、戦闘用ゴーレム達が押さえるハイオークの頭を撃ち抜いていく。

 これも結構な戦力になっているので、かなり有り難い。


 通常タイプの戦闘用ゴーレムは遠征用の戦闘用ゴーレムな崩れた時に備えて待機させている。

 通常タイプの作業用ゴーレムは、魔力に余裕があるので『ロックジャベリン』を放たせている。

 魔力が全快状態で二発しか『ロックジャベリン』を放てないが、遊ばせておくには勿体ない戦力なので、コアエリアと外を行き来させてハイオークを攻撃している。

 これは、まるで回転式連続発射機構の様な状態になってしまっている。



 こうして攻撃を続けた結果、半数ほどのハイオークを倒した頃、再びオークキングが鳴き声を上げた。

 そして、ハイオークジェネラル達が前に出てきた。




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