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オーク迎撃と陽動

 



 ジルト市東南東 簡易砦



「来ます!迎撃!」


 ツヴァイが指示を飛ばし、それに答えてゴーレム達が全包囲から迫るオークに『ロックジャベリン』を放つ。


 簡易砦は、俺達が迎撃と誘導に出ている間に急いで構築する必要があった。

 なので、簡易砦構築をツヴァイ任せ、ツヴァイの指揮によって構築され、全体指揮もツヴァイが執る。



 俺はというと、砦の南東側に開いた防壁の無い箇所でオーク待ち構えている。

 ここは、遠距離攻撃手段が無い遠征用の戦闘用ゴーレムのために作られた場所で、少ない戦力をフルに使える様に用意された場所だ。

 ただ待ち構えるだけでは無く、俺のゴーレムには『ロックジャベリン』を放てる魔具が装備されているし、俺自身も『ロックジャベリン』を放てるので、近寄ってくるオークに魔法を放つ。


 そして、オークが俺の元に辿り着く。


「突破はさせない!」


 盾を構えてオークの突撃を受け止める。

 完全に突撃の勢いが止まったのを確認した俺は、一緒にオークの突撃を受けとめた、新精霊達が指揮する遠征用の戦闘用ゴーレム逹10体と攻撃を開始する。


「その頭かち割ってやるよ!」


 上からオークの頭に大剣を降り下ろし、次々に3匹のオーク頭のみを割っていく。


「はぁ!」


 頭を割ってオークを倒し、できた隙間を利用して大剣を横に振るう。

 狙いはオークの首で、2匹の首をはねる事に成功した。


 しかし、オークの圧力は凄く、俺以外の場所が押されて下がってしまう。

 透かさず他のゴーレム達が助けに入りそれ以上オークに押し込まれるのを防ぐ。

 俺も突出した状態では横から攻撃を受けてしまうので、同じ様に下がってオークに対処する。


 そして、後退を何度か切り返し、遠征用の戦闘用ゴーレムの半数がオークを押さえ込む様になった所で、他を攻撃していた回転式連続発射機構の支援があった。

 防壁の間を中心に、集中砲火によってオーク達の圧力が弱まった。


「押し返せ!」


 回転式連続発射機構の集中砲火によって圧力が弱まった隙に、オーク達を押し返して最初の10体で囲む程度までに状態を戻した。



 後退と前進を二度ほど繰り返した後、押し返しの時に俺はオークを包囲する輪から離脱する。


「どうですか?こんな調子で迎撃を続けますが、参加できそうですか?盾役で無くても、搭乗型ゴーレムは大きいので、後ろから槍で突く事で後退の頻度を落とせる様になるかも知れません」


 後ろから槍で突く事が、盾役より劣る印象を与えない様に気を付けながら、ステラ達に戦闘参加の有無を尋ねる。


「大丈夫てす!僕は盾役でお願いします!」


「私は槍でお願いします」


「私も槍で行きます」


 ステラが盾役、ニーナとメリッサが槍を希望してきた。


「了解です。ステラは次の押し返しの時に入って下さい。ニーナとメリッサはゴーレムの後ろから突いてください」


「「「了解!」」」


 ステラ達の意思を確認してからすぐにゴーレム達が後退してきた。

 俺が抜けた事で後退の頻度が早くなったみたいだ。

 そして、回転式連続発射機構による援護があった。


「行ってください!」


「「「はい!」」」


 ステラは上手く包囲の輪に入り、オークを押し込んでいく。


「はぁ!」


 ステラは俺と同じ様に盾でオークを押さえながら大剣を上から降り下ろして、オークの頭を割っていく。

 ただ、降り下ろしの軌道がそれて肩に当たったりしてしまい、撃破効率は多少落ちる。


「「やぁ!」」


 ニーナとメリッサもステラの後ろに着いて、オークを槍で攻撃する。

 槍で突くと言うよりは、船の上から銛で魚を突くような感じで、搭乗型ゴーレムの高さを生かして戦闘用ゴーレム達の後ろからオーク達を突いていく。

 ステラの後ろだけでは無く、それぞれが左右に分かれてゴーレムの後ろからオークを突きまくる。


 結果として、俺が入っていた時よりも後退の頻度が遅くなり、回転式連続発射機構やオシホ様の遠距離攻撃が他を攻撃している時間が長くなった。




 時間が出来た俺は、簡易砦の他の場所を見ると、他の場所は他の場所で、精霊トリオ達がゴーレム達を使って上手く防衛していた。


 この砦の防壁は、波打つように高さが2mほどの場所と3mほどの場所がある。

 なので、オーク達は壊してもすぐにツヴァイに修復されてしまう防壁を壊すのを諦め、高さが2mほどの場所を乗り越えて簡易砦にのりこんでくる。

 それを戦闘用ゴーレム達が『ロックジャベリン』で撃ち抜き、来ないときは防壁の外に居るオーク達に『ロックジャベリン』の雨を降らせている。


 丘の一番高い所では、作業用ゴーレム達が俺達が居る場所とは反対側、北東を中心に『ロックジャベリン』で攻撃を加え、ジルト市に向かうかも知れないオークの数を減らしていた。


 ただ、防壁付近や俺達の場所に集まっているオーク以外は、密集状態では無く、かなり間隔を開けた散開状態にあり、少なからず『ロックジャベリン』が避けられていた。




 包囲しているオーク達を半分ほど倒し、そろそろステラ達が戦闘に加わって30分ほとが経つので、交替を呼び掛けようとすると、ドライが叫ぶ。


「西側にオーク多数!100,000規模!」


「なに?!」


 俺は慌てて丘を登り、丘の頂上から西側を見る。

 そこには確かに100,000ほどのオークの群れが見え、ジルト市を目指していた。


 俺達を囲んでいたのは、明らかに200,000に迫る数だった。

 更に100,000のオークが出現するハズがないが、現に存在している。


「……誰かオークジェネラルかハイオークを確認した者は居るか?!」


「見てません!」


「確認できず!」


「居ません!」


 アイン、ツヴァイ、ドライは誰もオークジェネラルもハイオークも見ていなかった。


「南東の奥にオークジェネラルが1匹居るな。いや、1匹しか居らぬ。迂闊じゃった。かちらが陽動か」


 オシホ様もドライの声を聞きこちらに来ていた。

 回転式連続発射機構はアルファに任せて来たようだ。


 オシホ様がオークジェネラルの位置を確認していたが、1匹だけ。

 オシホ様の言う通りかちらが陽動だったのだ。


 そして、俺達から見て西を北上しているのが、オークジェネラルやハイオークが沢山居て、もしかしたらハイオークジェネラルが居るかも知れない本隊なのだ。

 戦力をどこかに隠していたか、援軍かは分からないが、ジルト市に危機が迫っている。


 オシホ様の見立てでは半日は持つと言うので、こちらを包囲しているオーク達を殲滅してから行っても十分に間に合うが、嫌な予感がする。


「……今すぐジルト市の救援に向かいます!オシホ様だけ一緒に来てください。他はここのオークを殲滅してから救援には来てください」


「どうやって突破する?」


 オシホ様は反対せず、オーク突破の方法を尋ねてきた。


「飛び越えます!」


 言いながら俺は丘を駆け降り、防壁を飛び越える。

 自分で思っていたよりも高く跳んでしまったので驚いてしまったが、盾を前に突き出しながらオークの群れの中に着地し、散開しているオーク達を盾を使って強引に突破を図る。

 すると、俺の前方にオシホ様も跳んできた。


「先に行くでない。馬鹿者が」


「申し訳ありません」


 オシホ様に謝りながらもオークの群れを突破して西側のオークの群れに向かって走る。


「あれは……」


 簡易砦を出て、簡易砦の西を北上するオークの群だと思っていたのは、ハイオークの群れだった。

 そして、ハイオークやハイオークリーダーよりも明らかに体が大きい個体が複数確認できた。


「あれではジルト市の防壁は30分持たぬな」


 オシホ様が恐ろしい事を言ってくる。

 まだハイオーク達はジルト市に到達していないが、到達されれば30分持たないと言う。


「何故です?以前の群れにもハイオーク達は混じって居ましたが?」


「多少居ただけじゃったからの。今回はハイオーク以上の個体しか居らぬ。それが広範囲で防壁に取り付き攻撃を加えられたら、防壁の障壁が局所的に破壊されかねん。そうなれば障壁は簡単に消え去り、防壁もハイオークのパワーならば破壊するのにそれほど時間は掛からぬ」


 飽和攻撃で障壁が持たないのか。

 ハイオークならば防壁上からの攻撃も多少はたえられるし、防壁を一気に破られれば王国軍とて持たないだろう。


「遅滞行動をとりたいと思います」


「じゃが、二人では大した事は出来ぬぞ?」


「短い防壁を横ではなく縦に断続的に、櫛のような防壁を作って敵を遅滞させようと思いますが、どうですか?」


「ふむ。今の魔力量でもなんとかなるか。悪くは無いの。ただ、防壁よりは石柱の方が良かろう。それならばやっても良かろう」


「ありがとうございます!」


 防壁よりは石柱にした方が、間を通られた時に破壊はされにくいな。


 今俺達にある魔力は、魔力供給範囲から外れてしまっているので、遠征用のゴーレムに内蔵されているのと、自分自身の魔力だけだ。

 これだけでも、先程の作戦は実行可能なので、オシホ様も認めてくれた。



 オシホ様の許可が出たので、ゴーレムの速度を生かしてジルト市とハイオークの群れの間に入り込みながら石柱を設置していく。

 石柱は、高さ2m、直径は3mになる。

 高さは最低限のみ、直径は破壊されない様に多少大きめだ。

 この防壁を3mの間隔を空けて設置する。

 3mならば、ハイオーク2匹は通れるが3匹は通れない。

 間隔をもう少し狭くしたかったが、俺とオシホ様の今ある魔力量で作れる石柱の数を考えたり、これ以上狭いとハイオークが破壊に専念しかねないので、この程度にしておく。



 ゴーレムの移動速度のお陰で、ハイオーク達が来る前に、ジルト市の南1kmほどの地点に石柱を設置できた。


「概ね良好そうじゃな」


「そうですね。後は攻撃に出ます」


「魔力量は既定値を割っておる。あまり無理はするで無いぞ」


「了解!」


 石柱を設置するのに、7割りの魔力を使ったので、残り3割しか無い。

 本来ならば半分を切ったら撤退ではあるが、今回は非常時という事で目を瞑ってもらった。



 ハイオーク共が石柱の隙間からチョロチョロと出てきているので、オシホ様と攻撃を仕掛ける。


「おぉぉぉ!」


 今は味方が周囲にオシホ様しか居ないので、大剣を豪快に横に振り抜き、ハイオーク3匹の首をはねる。

 そして、盾の側面でハイオークの頭を殴って潰す。


 今は大剣を二本使ってハイオークと戦いたい。

 回転式連続発射機構を搭載している荷馬車に、搭乗型ゴーレムの大剣や槍の予備があったので、それを持ってきていればと多少思いながら、大剣と盾を振り回して数撃して離脱する。


 あまり一ヶ所に留まると包囲しようとしてくるので、数撃で離脱して別の地点に再攻撃を仕掛ける。

 攻撃を仕掛けた地点はハイオークの足が止まり、更にハイオークが石柱からこちら側に来るのが遅くなる。


 効率を考えるなら、オシホ様と二手に別れて攻撃を仕掛けたいが、俺とオシホ様しか居ない状態では流石に許してはくれなかった。

 それでも、ハイオークの進行が目に見えて遅くなっているので、効果は十分にあったと見るべきか。



 それから、俺達はハイオーク達の中央部に攻撃を集中した。

 これは、中央部の進行を遅らせたかったからだ。

 防壁の障壁が飽和攻撃で簡単に破られるのは、広範囲に攻撃を受けた場合なので、ハイオークの中央部の進行が遅れれば、両翼がジルト市に取り付き攻撃を仕掛けても、障壁の消失が遅らせられる事が出来るとの事で、オシホ様の提案に従い中学部に攻撃を集中していた。


 たが……。


「もう限界じゃ!離脱するぞ!」


「ですが、まだ!」


 オシホ様が離脱を告げてきたが、俺は抵抗しようとする。

 今のままでは、精霊トリオ達が来る前にジルト市の防壁が破られてしまう。

 なので、遅滞行動をとりたかったが――。


「ならん!両端が閉じれば我々が防壁とハイオークに閉じ込められる!離脱じゃ!」


「……了解、です」


 無理に抵抗しても搭乗型ゴーレムの制御を奪われるだけなので、オシホ様に従う。

 それに、このまま残っても殺されるだけの可能性が高いので、東側へ離脱を図る。



 そして、ハイオークがジルト市の防壁に取り付く前に東側への離脱に成功した。

 振り返れば、ジルト市の防壁から矢や魔法が飛んでいるが、やはりハイオークタフであり、ハイオークを倒すのに時間が掛かっていた。



「ん?これは!」


 このまま、ハイオークにジルト市が破壊されるのを見ているしか無いかと思っていると、魔力供給が来た。

 魔力供給が来た方向を見ると、精霊トリオ率いる主力がこちらに向かって来ていた。


「何故?!まだオークを殲滅して来るには早すぎる!まさかオークを置いて?」


「いや、オークは殲滅してきた様じゃ」


 信じられない。

 もう少しオークの殲滅に時間がかかり、こちらに来るのはもう少し先だと思ったが……。


「これならまだ助けられる!」



 どうやってオークを殲滅して来たか知らないが、今ならまだ防壁を崩される前にハイオークを倒せる!


 俺はハイオークに対して攻撃を再開した。




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