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逆転の関ヶ原 〜毛利の執権、三成の誤算〜  作者: 中学生


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3/5

豊臣の影、毛利の牙

第3話は物語が大きく動く「転回てんかい」の回です。味方だと思っていた毛利輝元との対立、そして暗躍する家康の影を描きます。


第三話:豊臣の影、毛利の牙

大坂城に、不穏な空気が満ちていた。

関ヶ原の戦勝から一ヶ月。石田三成は、連日のように続く大名たちの恩賞争いの調整で、心身ともに削られていた。


三成が自室で書類を整理していると、音もなく襖が開く。

入ってきたのは、島左近だ。その表情はいつになく険しい。


「治部様、あまり良くない報せです。毛利輝元が、秀頼公を自らの本拠地である安芸へ移そうと画策しているようです」


三成の手が止まる。

「……秀頼公を、大坂から連れ出すだと? それは、毛利が次の天下人になると宣言しているのと同じではないか」


西軍の総大将として担ぎ上げた毛利輝元。

彼は家康を追い落とした後、空席となった天下人の座に座ろうとしていた。三成が掲げる「豊臣家を支える義の政治」は、輝元にとって邪魔な理想論に過ぎなかったのだ。


「毛利だけではない。大坂城の奥、淀殿も輝元に同調しているとの噂です。三成様、あなたは勝ちすぎた。今や豊臣の身内にとって、あなたは家康以上の脅威なのです」


左近の言葉が、三成の胸に冷たく突き刺さる。

「皮肉なものだな。私が豊臣を思って戦うほど、豊臣の者たちに疎まれるとは」


その時だった。


パリンッ!


部屋の窓を破り、一本の矢が三成のすぐ脇を通り抜けた。

「刺客か!」

左近が瞬時に抜刀し、三成を背にかばう。


闇の中から現れたのは、黒装束の集団。毛利の息がかかった者か、あるいは江戸へ逃げ延びた家康が放った伊賀の忍びか。


「死ね、石田治部少輔!」


鋭い刃が三成を襲う。しかし、左近の斬撃がそれを一閃した。

「我が主の首を欲しくば、この左近を越えてからにしろ!」


激しい戦闘の末、刺客たちは逃げ去った。

静まり返った部屋で、三成は床に落ちた刺客の短刀を拾い上げる。その柄には、小さな葵の紋――徳川の印が刻まれていた。


「家康か……」


三成は短刀を強く握りしめた。

家康は生きていた。敗走してもなお、三成の心の隙を突き、西軍を内部から崩壊させようと動いている。


「左近、もはや猶予はない。毛利を抑え込み、バラバラな大名たちをもう一度束ねる。そのためには……」


三成の瞳に、関ヶ原の時と同じ、鋭い光が戻る。


「江戸を叩く。家康を完全に消し去らぬ限り、この国の霧は晴れぬ」


三成は決意した。

それは、豊臣の家臣としてではなく、新たな時代の指導者として立ち上がるための、孤独な決断だった。


第三話の前書き

第3話をお読みいただきありがとうございます。


せっかく関ヶ原で勝ったのに、三成の周りは敵ばかり。

今回は、同じ西軍だったはずの毛利輝元との対立、そして暗殺の危機を描きます。


「勝ってからが本当の地獄」という展開。

追い詰められた三成が、どうやって覚悟を決めるのかに注目してください。

大坂城に、不穏な空気が満ちていた。

関ヶ原の戦勝から一ヶ月。石田三成は、連日のように続く大名たちの恩賞争いの調整で、心身ともに削られていた。


三成が自室で書類を整理していると、音もなく襖が開く。

入ってきたのは、島左近だ。その表情はいつになく険しい。


「治部様、あまり良くない報せです。毛利輝元が、秀頼公を自らの本拠地である安芸へ移そうと画策しているようです」


三成の手が止まる。

「……秀頼公を、大坂から連れ出すだと? それは、毛利が次の天下人になると宣言しているのと同じではないか」


西軍の総大将として担ぎ上げた毛利輝元。

彼は家康を追い落とした後、空席となった天下人の座に座ろうとしていた。三成が掲げる「豊臣家を支える義の政治」は、輝元にとって邪魔な理想論に過ぎなかったのだ。


「毛利だけではない。大坂城の奥、淀殿も輝元に同調しているとの噂です。三成様、あなたは勝ちすぎた。今や豊臣の身内にとって、あなたは家康以上の脅威なのです」


左近の言葉が、三成の胸に冷たく突き刺さる。

「皮肉なものだな。私が豊臣を思って戦うほど、豊臣の者たちに疎まれるとは」


その時だった。


パリンッ!


部屋の窓を破り、一本の矢が三成のすぐ脇を通り抜けた。

「刺客か!」

左近が瞬時に抜刀し、三成を背にかばう。


闇の中から現れたのは、黒装束の集団。毛利の息がかかった者か、あるいは江戸へ逃げ延びた家康が放った伊賀の忍びか。


「死ね、石田治部少輔!」


鋭い刃が三成を襲う。しかし、左近の斬撃がそれを一閃した。

「我が主の首を欲しくば、この左近を越えてからにしろ!」


激しい戦闘の末、刺客たちは逃げ去った。

静まり返った部屋で、三成は床に落ちた刺客の短刀を拾い上げる。その柄には、小さな葵の紋――徳川の印が刻まれていた。


「家康か……」


三成は短刀を強く握りしめた。

家康は生きていた。敗走してもなお、三成の心の隙を突き、西軍を内部から崩壊させようと動いている。


「左近、もはや猶予はない。毛利を抑え込み、バラバラな大名たちをもう一度束ねる。そのためには……」


三成の瞳に、関ヶ原の時と同じ、鋭い光が戻る。


「江戸を叩く。家康を完全に消し去らぬ限り、この国の霧は晴れぬ」


三成は決意した。

それは、豊臣の家臣としてではなく、新たな時代の指導者として立ち上がるための、孤独な決断だった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


第3話は、アクションと陰謀を混ぜてみました。

島左近の活躍シーンは、書いていて一番楽しい部分です。


味方に裏切られ、淀殿に疑われ、さらに家康の刺客まで来る……。

中学生の三成ファンがいたら「三成、頑張れ!」と応援したくなるような、そんな「苦労人・三成」を感じてもらえたら嬉しいです。


第4話はいよいよ「二度目の関ヶ原」に向けて物語が加速します。

江戸に逃げた家康と三成の最終決戦が始まります。ぜひお楽しみに!

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