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「リア、とても美しいですよ。」


今日はデュークとリリーの婚約パーティである。

もちろん、ユーリはリアのエスコートである。

ユーリは両想いになり、リリーたちとお茶会をした時点で帝国でのパーティ用にリアのドレスを手配していた。

クローデル公爵家(リリーの実家)とヒルデスト侯爵家の力を持ってすれば、数日でドレスを作るなど造作もなかった。


「へ、変じゃない…?こ、こんな素敵なドレス緊張しちゃうわ…」

「パーティ前にデューク様にもお見せしたかったですね。」

「うん…。でも、ユーリがいてくれるから嬉しい。」

「リア、可愛すぎです…。」


ユーリは抱きしめたい衝動を抑え、頬に手を添えるだけにした。

抱きしめようものならラーナに「装いが崩れます!」と言われると思ったからだ。


「コホン。アリアドネ様、ユーリクス様、お時間です。」


ラーナが咳払いをしてから二人を誘導する。

彼女はリアが王国へ嫁ぐと決まってから侍女の仕事に専念している。もちろんユーリがいないときは護衛のままである。

このパーティが終わり、数日後には帰国する予定だ。

リアの婚姻関係の書類には既に皇帝のサインが入っている。王国からの書類はすべてリリーのことだと思っている皇帝は、国王からリアとユーリの婚姻についての書類だと1ミリも思わずサインしたとデュークがユーリたちに語っていた。

「我が父親ながら、愚の骨頂だよ…俺が持ってきた書類とはいえ読まずにサインするとはな…やはり、退位待ったなしの状況だよ…」と呆れていた。



* * *



「来たか。」


入場する扉の前に着くと冷めた声の皇帝がリアに言い放った。


「全く、お前はノロマね。」

「お母様、お姉様は鈍くさいから仕方ないですわ!

それにしても、お姉様には不釣り合いすぎる素敵な殿方ね?しかも、そんな素敵なドレスお姉様には似合わないわ!」


皇妃と妹姫はリアを見下しつつ、ユーリを値踏みしている。

リアは何かを言い返したいと思っているようだが口をつぐむ。


(あと少しの辛抱だもの…それにユーリが一緒だもの…)


その気持ちだけでリアは背筋を伸ばし前を向いている。


「なぜ王国の人間がここにいる?ここは皇族が入場する場所だ。デュークの客ならば()()を置いて会場へ戻れ。」


皇帝がリアをそれ呼ばわりした瞬間にユーリが殺気を放った。


「偉大なる皇帝陛下。ご挨拶申し上げます。私はアリアドネ皇女殿下のエスコートをデューク皇太子殿下とご婚約者のリリーアンナ·クローデル公爵令嬢より命を受けております。」

「デュークとリリーアンナ嬢がか?」

「はい。」

「王国の人間なのだから、立場を弁えろ。エスコートは認めてやる。」


ユーリは殺気を仕舞って「光栄にございます。」と返事をした。


「ユーリ、さっきの殺気凄い…」

「リア、大丈夫ですよ。このパーティであなたの立場はがらりと変わりますから。安心して俺に護られていてくださいね?」

「うん…。ありがとう。」


もう少しで入場するというときだった。


「ねえ、あなたユーリクスって言うのよね?

そんな出来損ないの不遇な女より()()の王族である私につかない?

お父様に頼んで、帝国で叙爵してあげる。

私が降嫁するのだから、公爵位を頼んであげるわよ?」


妹姫がユーリに声をかけたのだ。


(確かに、皇族の血は引いているが現皇帝の血ではないから純血ではないな。見た目も最悪だ。醜悪さが顔に出てるし…こんな女にリアは苦しめられていたというのか?)


とユーリは思ったが表情に出さずに返事をする。


()()()()殿()()、お戯れを。私はアリアドネ皇女殿下をエスコートする大役を仰せつかっております。それに第二皇女殿下を私がエスコートをすると帝国貴族に余計な詮索をされましょう。

まだ、ご婚約者はおられないのでしょう?」

「あなたなら婚約者と勘違いされてもいいわよ?

お姉様なんかよりも私のほうが…」

「アリアドネ皇女殿下、並びに…()()()()ユーリクス·ヒルデスト侯爵様のご入場です!」


妹姫がユーリに近づこうとしたときに、ユーリとリアの入場が告げられる。


「「「婚約者!?」」」


皇帝と皇妃、妹姫は婚約者という紹介に驚く。


「リア、行きましょう。」

「うん!」


不遇の皇女と自分たちが蔑んでいたリアが婚約者を連れて入場してきたことに驚いた参加者たち。

しかも、参加者の中には騎士団でユーリの闘いを見ていた者もいたので戦慄する始末。

更にはリアはこの数週間だけでユーリから愛され、そしてリリーが連れてきた侍女たちによって磨かれた結果、皇族とは違う美貌を手にしていた。


「ちっ!全員の目を潰すか!?」

「ど、どうしたの?」

「リアを見つめる不埒な男の目をですね…」

「怖いこといわないで?それに不埒って…不遇な私を嘲笑ってるだけでしょう?」

「はあ…リアはわかっていませんね?

あなたはとても美しいのですよ?」

「う、美しい!?」


恥しそうにしているリアにユーリは誰も寄せ付けないように髪にそっと口づけを落とす。


「ゆ、ユーリ!?」

「虫除けですよ。」


どう見ても相思相愛の二人に周りはどうしていいのかわからなくなった。


「デューク皇太子殿下、並びにご婚約者リリーアンナ·クローデル公爵令嬢のご入場です!」


ユーリたちの入場から数刻。デュークたちも入場した。リリーの美しさに参加者たちは感嘆する。


「リリーアンナ嬢を我が帝国に迎えられたこと大変喜ばしい。」と皇帝が発するとリリーが口を開いた。

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