第三十六話 作戦 (Strategy)
どうしようか迷ったんですけど、もう、終パート、いっちゃいましょう。簡単に終われるように状況を絞ってきたんだから、昔の他の作品みたいに、「地獄」にはならないハズ…。ハズ…だといいナァ…
リンケイドからビジフォンが入った。
『バスラル侵攻作戦の作戦がまとまった』
開口一番がそれだった。
「よくもまぁ、こんなに早くまとめたな…」
Bはそれを聞いて閉口する。
『どちらかといえば、
まとめた作戦に対して、
これだけの作戦を稼働させるだけの兵力を
この期間で準備できた事の方が
驚異的だがな…』
そのBの感想にリンケイドの方が肩を上げる。
そしてリンケイドは、作戦に投入される兵力を
スクリーンに表示した。
『制空戦闘機248機、爆撃機120機
地上車両、各種合わせて3236両
ヘリコプター系中空制圧機
大型104機、小型326機
そして後方支援のリアルな人員が
最終制圧に約1000人、と、
バスラル攻略への投入戦力はこんな感じだ。
周辺都市への、様々な後方支援も
既に打電済だ…』
リンケイドはそう言って投入戦力を示した。
「おいおい、バクダドもキルククも
空にする勢いでの動員なんだな…
よくもまぁ、こんな短時間に
それだけかき集めて、出動できるだけ
整備したモンだ…」
Bはリンケイドの示した兵力に
更に閉口するしなかった。
『俺だって、こんな大規模作戦、
こんな短期間に強引に決行するなんて
思いもしなかったよ…
しかし、潜水艦でも使われて
バスラルの港に戦略核が水揚げされたら
それこそ、この兵力も無駄にされかねん…
本部としても強行に
全力で攻めるしかない
という英断だ…』
そう言ってリンケイドは溜息をついた。
それに釣られて笑うB。
「まぁ、妥当すぎる判断だな…
話が話なんだから、
英断するしかなかろうて…
しかし、俺がマージなら
この圧倒的不利に、この場所からの撤退を決めて
バスラルに俺達の全軍を乗り込ませて
皆ばもとろも戦略核で自爆して削るって
そんな作戦も考えてしまうがな…
その可能性は、どう考えているんだ?
本部は…」
そう切り出して、
Bは最も懸念するその考えを口にする。
『その可能性も検討したが、
今の諜報活動での情報では、
戦略核の搬入は90%ぐらいの確度で
行われていないと分析されている。
それに、バスラルに駐屯している兵力は
なかなかの量だからな…
互いに、兵力の補充に悩んでる状態の
本国の保有資源量との兼ね合いだ。
自爆で、兵力の大量消失は、なかなかできんよ…
出来るだけ持てる兵力で相殺せんと、
ワリが合わんからな…
かといって、旧時代の様に
人間を兵力に使ったって
無駄に無人兵器に蜂の巣にされて、
それで莫大な弔慰金が発生して
国庫が吹き飛ぶ…
世界には80億も人が溢れてるのに、
モノの役にもたたん、寒い時代さ…』
言ってリンケイドは頭を押さえた。
「人を殺す無人兵器の能力が上がりすぎせいだな…
全部、それを突きつめた
あの第三次世界大戦のおかげだ…
喜んで良いのか悪いのか…
おかげで、戦争は人の血がほとんど流れない
”クリーン”なモノになってしまった…
鉄の塊だけが、砲弾を撃ち合う、
”クリーン”な戦争…」
Bはリンケイドの言葉を受けて、そう茶化すしない。
『だが、バスラルにも、住民は南部に溢れるほど居る。
間違っても、ここを爆撃したら
国際会議につるし上げを食らって、制裁金問題だ…
それなのに…、そういう約束事を無視して、
マージは戦略核を使おうなんて考えているんだから
第四次世界大戦も辞さないって、
そういう事じゃあるがな…』
その言葉に、言ったリンケイド自身が笑い出す。
「いよいよ、人類、
覚悟せにゃならん時が来たのかね?」
リンケイドの軽口に、破顔して肩を上げるB。
そう、戦略核の使用などを許せば、
ギリギリの約束の上で収まっているこの世界が
いっきに全人類の全滅も辞さない
第四次世界大戦の勃発の狼煙となるだろう。
『その流れを一日でも伸ばす為の
バスラル攻略戦だ…
オイルルートの強い遮断が出来れば
あっち側もなんらかの妥協をしてくるだろう。
暴走する軍部も、政治が抑えてくれれば
まだ光明はある』
言ってリンケイドは横を向いて溜息をついた。
「彼等の”人間性”に、期待するしかないってか。
泣けてくるな、それは…」
そのリンケイドの政治頼みな発言に
Bは思わず天を仰ぐ。
結局、決めるのは会議の上での人の意志だ。
合理的な管理機構に判断を全部任せたら
それこそ、その瞬間から大陸弾道弾が飛ぶだろう。
人間が減ってしまうのが、一番簡単なのだから。
『ま、それを考えるのは戦争屋の俺達じゃない。
で、お前達への作戦提案だが…』
「ほいほい、本題だな…」
Bは、そんな無駄話をから
いよいよ具体的な命令かと思い、
自分達のこの作戦への立ち位置を待ち構えた。
『まず、作戦全体の説明からだ…
作戦の開始は四日後だ。』
「四日後かよ…
なんて急な話だい…」
Bは作戦を知らされてから
それが決行されるのが四日後という
あまりに性急な事を聞いて
どうしようもなく閉口するしかなかった。
『本部からすれば
出せるなら、今からでも出したいんだ。
だが最終調整で後四日はどうしても要る…。
ともかくだ…
本部の部隊は、四日後の作戦開始から
戦闘機で制空権を取る為に制空戦に入る。
制空権が取れれば爆撃機で終わりって所だが
まぁ、そんなムシの良い話もなかろう…
相手はこちらより小数だが、
2522や2546なんて手強いのがいる。
何より頭痛の種は、2554だ…
あんなのはもう、ネット空戦ゲームの
世界トップランカーの様なモンだからな。
あんなのに出て来られて
無双の撃墜王でも仮にされてしまうと
制空戦の予想が全部狂う…
そんな恐ろしさが、
作戦を開始する前からあるのだがね…』
そう説明を初めて、
そこでリンケイドは深い溜息をついた。
「じゃぁ俺達は空戦に参加か?」
Bは、実は奇数番台の脅威など
もはや何処にも無いという情報を
しかしポーカーフェースで隠して、
彼に合わせてそう尋ねた。
『いや、お前達には地上戦に参加して貰う』
そんなBの問いかけを直ぐに否定するリンケイド。
「地上戦?
制空で負けたら
地上戦もクソもなかろう?
それこそ2554に無双されたら
構想の全部が狂いかねんぞ?」
言って、そんな可能性などゼロなのに
しかし、迂闊にボロを出してしまった時の
不自然さを作らない為に、懸命に合わせるB。
ここでボロを出したので、沙璃枝に色々バレたのだ。
慎重に話さねば…とBは心の中で冷や汗をかく。
『確かにそうだが、数を考えれば
制空権の取り合いで手一杯だろう…
と期待している…
そこを狙って、地上部隊で電撃戦をかける。
主力部隊は、緊急空輸で、
バクダドからバスラルまで続く1号線の上…
ナーシリヤンに展開、
1号線沿いを強引に南進して、
そこが地上部隊の
主戦場になるだろう』
言ってリンケイドは地図を表示して
主力部隊の展開図と行動計画を示す。
「なるほどね。
制空戦状況で爆撃機を使うのを迷う状況で
緊急展開の電撃作戦での進軍か…
なら間違い無く、そこが激戦区になるな…
突破できれば、一路バスラルだし…」
Bはその地図の上では、間違い無く
戦闘における要衝と思える地区を眺める。
『ああ、だからマージ側も
ここら辺に布陣してくるだろう…
ここでの地上戦での攻防で
この攻略戦の
雌雄を決する事になるだろうな…』
リンケイドはBの言葉を肯定した。
「バスラル攻略戦、
”ナーシリヤンの戦い”ってか…
歴史にはそう記録されるのかね?」
Bは、その最大の激戦区の予想に
その戦いが起きる前にそう評してみた。
『茶化すなよ…』
その言葉に目を細めるリンケイド。
「まぁ、俺の参加する戦いだからな。
そんな詩人みたいな事も言いたくなるさ」
言ってBは片手を左右に振ってみる。
『いや、お前等には、
この主作戦に対して特殊任務をして貰う』
「何?特殊任務?」
Bが、自分の仕事の概要をその説明で
考えようとしたとき
リンケイドはニヤリと笑ってそう言った。
リンケイドの言葉に眉をひそめるB。
『これがバスラルの…
向こう側の軍本部中枢地区なんだが‥』
言ってリンケイドは、
今度はバスラルの敵本部の俯瞰図を表示した。
『戦略的に考えれば、
このバスラル空軍基地の破壊が出来れば
後はどうとでもなるが、
そこは制空戦の全てだ。難しいだろう。
そして、この攻略戦の全ては
マージのドローン操作の管理中枢の施設…
バスラル大学の中にある大規模ネットワーク
この大規模通信施設…
ここを占拠、あるいは、最悪の場合破壊
そうすれば、この攻略戦はゲームセットだ』
「ふむ、それが最終目的だな…」
リンケイドの敵本部地図での説明に
首を振って納得するB。
『主力部隊はナーシリヤンの1号線から
このバスラルの本部に繋がる
31号線にまで侵入して、
空軍基地の地上からの破壊
あるいは、バスラル大学の占拠を目指して
ナーシリヤンからの南進をするわけだが…
陽動として、この6号線…
シャトルアラブ川を交差する道に
北部から侵入する部隊を出す。
主力がナーシリヤンから侵入するのに対し
アマーランに陽動部隊を出して
6号線を走破していく別ルートの突入部隊だ』
「その陽動に俺達が入ると?」
リンケイドは説明で、
この作戦が二方面ルートからの
同時攻撃作戦であると語った。
その流れ的に、もう片方の陽動部隊に
自分が組み込まれるのかと尋ねるB
『いや、これが違うんだな…』
そのBの早計な判断にまたしても
ニヤリとするリンケイド。
「何だよ、一体…
じゃぁ俺達は、何をすればいいんだよ!」
そんなリンケイドの勿体ぶった物言いに
口を歪めるしかないB。
『まぁ聞けよ、B。
この地図で見て分かるとおり、
予想として1号線に接続される
この31号線上にある
バスラル陸軍防衛本部…
まぁ、敵の陸軍主力部隊が駐屯している
事実上の敵最大の本部だが…
作戦が発動すると、
ここは、ナーシリヤンでの
こちらの主力と対峙する為に、
恐らく全兵力出動して、モヌケの空になる。
しかし、アマーランからの6号線を使った
南進なんてのも、向こう側は予想してるだろう。
なので、最も落とされたら困る
バスラル大学は、主力が出て行っても
後衛の防衛軍が残っているわけだ。
恐らくこの3つの施設。
バスラル大学に繋がる3つの道ルートに
3つの陸軍駐屯基地の防衛施設があるこれだ。
この防衛施設が、
つまり向こうのデッドラインだ。
なので、陽動部隊が急進しても
まずバスラル陸軍駐屯基地の2あたりの
部隊と交戦する事になるだろうな…』
「まぁ、そうだろうな…」
そのリンケイドの当然の流れに
ただそれに頷くだけのB。
『そのタイミングを使う』
「ん?」
リンケイドがそう切り出した事に
それをBは見上げた。
『まぁ、当たるも八卦、当たらぬも八卦
成功したら万々歳な、
やってみるだけ
やってみよう的な奇襲作戦だが…
そうやって、駐屯基地の軍を
引きつける事が出来た瞬間に
高速空挺部隊をロケットで飛ばし
バスラル大学に、緊急展開する…
その半ばダミーの行動で、
人間を使った特殊空挺部隊も同時に出す。
そして現地に空から展開して
こっちのドローンと人間の混合特殊部隊での
バスラル大学への奇襲を行うんだ…』
言ってリンケイドは、その地図の上に
高速空挺強襲の空挺部隊の侵入ルートを図示した。
「ちょ、ちょっと待て…
その奇襲作戦に、俺も入れってのか?
そりゃ、パラシュート訓練をした事はあるが
”やった事がある”程度だ…
ぶっつけ本番で、パラシュート降下なんて
上手くいくわけが…」
言ってBはリンケイドの言い出した、
バスラル大学への奇襲作戦に慌てた。
『お前にパラシュート降下兵の仕事なんか
期待してないよ…
これは、本国で遊んでるだけ状態の
パラシュート降下部隊が
話を聞きつけて、志願をしてきた事でな。
なので緊急に組み込む事にしたんだ…
バスラル大学の奇襲侵入作戦へ』
そんな慌てるBを笑って
勝手な勘違いを諫めるリンケイド。
「ふむ…
そういう事か…
いや、しかし、なら俺は何所に…」
言ってBはリンケイドの奇襲作戦に
自分の居場所が無いのに首を捻る。
『お前には、この有人奇襲作戦に
同様に参加して貰う
ただし、単騎の対ドローン猟兵としてだがな…』
リンケイドはそう言って満面の笑みを浮かべた。
「単騎の対ドローン猟兵?」
Bはそのリンケイドの素っ頓狂な言葉に叫び声を上る。
『このパラシュート降下兵の奇襲作戦に同期して
お前は、シャトルアラブ川から潜水車輌で侵入。
単騎でバスラル大学に突入。
逆サイドでの互いの侵入により
パラシュート部隊との挟み撃ちで
敵兵力を混乱させながら
バスラル大学内にある、施設中枢を目指し
これを占拠して貰いたい…』
リンケイドはニコニコしながら
Bにして貰う作戦の内容を提示した。
「潜水車輌で、揚陸奇襲攻撃かよっ!!」
その素っ頓狂な任務を聞かされて
流石のBも驚いて絶叫する。
『だいたい、緊急に作った作戦なんだ…
そのワリには、
何段階も落とす為の波状攻撃が
出来るようになってるだろう?
だが、作戦を成功させる為の
綿密な連携訓練が全く足りてない…
パラシュート部隊との合同訓練なんか
してる場合じゃないからな…
なら、お互い、存在だけを知ってて
別行動で動いた方が
むしろ、柔軟に行動できるだろう?
奇襲作戦なんて特にな…』
言ってリンケイドはウィンクする。
「ま、確かに
こんな緊急な作戦で、
仲間部隊と人間関係を
会っていきなり作れと言われても困るし
パラシュートで降下しろって
いきなり言われても、もっと困る…
人と組んで戦争するにゃ
何より、仲間同士の意思疎通が重要だ…
信頼も無い相手と、一緒に戦場居れば
それだけで、いつもと勝手が変わるしな…
互いに、両サイドから挟み撃ちってのは
アリと言えばアリか…
しかし、単騎なんてナァ、おい…
無茶振り、し過ぎじゃねーのか?」
言ってBは、今まで要求された任務の中で
最高の無茶振りを聞いて、
呆れかえるしかなかった。
『お前な…
お前の軍本部での評価、分かってないだろ?』
そんなBの台詞に、今度は目を細めるリンケイド。
「あ?
どういう評価なんだ? 俺…」
言ってBは、マージ側には
”出会ったら猛襲に遭遇したと思って諦めよう”
等と評価されていた事を思い出して破顔し
仲間は自分をどう評価しているか
気になって尋ねてみた。
『”ドローンに対する、人類最後の砦”
お前の本部での評価は、これなんだが?』
リンケイドはその時、
本当に柔らかく微笑んでそう言った。
「は?”ドローンに対する、人類最後の砦”?
なんだそりゃ?」
そんな初めて聞く、自分への評価に眉をひそめるB。
『何言ってんだ…
あのKVGの25シリーズ偶数番台はおろか、
出会ったら、こっちが無双されまくる
”最悪のドローン”
KGV25の奇数番台…
特に、単騎でこっちをボロクソにしてくれた悪魔。
”KGV2554”を…
討ち取ったのがお前なんだぞ?
生身の…単騎の人間が
最強のドローンを討ち取ったってのは、
こっちでは、この前の事なのに
既に伝説になってんだからな…
だから、上の方でさえ
お前の事は、馬鹿は馬鹿だが
”ドローンに対する、人類最後の砦”と
言わしめてるんだよ…
なんで、これは上からの
鶴の一声の大抜擢…』
そう言ってこれ以上無いまでに微笑むリンケイド。
「ええ!?」
その説明にBは逆に腰が引けた。
『パラシュート部隊の参加志願だって…
”人間の、それも傭兵如きがやれて
本国正規兵の俺達がやれないなんて納得できるか!
これは何の為の毎日の訓練だ!
俺達は戦争訓練という遊びの為に
毎日の如くに命がけの降下訓練してんじゃねーぞ!”
って奴等が言い出しての参加志願だったんだ。
なら、上の人間だって
”それなら、
あの人類最後の砦に、この奇襲に参加させろ”
って鶴の一声になったわけさ…。
お前が、今まで積み重ねた事が
お前がこの任務を命じられる理由になったんだぜ?』
言ってリンケイド楽しそうに微笑んだ。
「それは、喜べばいいのかな?」
リンケイドの言葉に指で頬をかくB。
Bのリンケイドを見る目が果てしなく細くなった。
『素直に喜べ。
お前の今までの人間探求という馬鹿が…
お堅い老人軍人の冷めた心も融かしたんだよ。
お前は軍という大山を動かしたんだ…
中将の一人がこう言ったそうだ。
”マージの様なドローンの極みが
出してくる答えが、
戦略核での第四次世界大戦への
序曲を奏でようという事なら
それを打ち砕くのは、人の意志。
『人間』でなければならまいが!
なれば、この世界で最も人を突きつめている
あの馬鹿な人類最後の砦が、
この馬鹿な答えの息の根を止める役でなくて
どうするか!?
我々がそれでも人間だと言いたいのなら
マージの野望を止めるのは、
人間でなければならん!”
ってな…
お前は、お前の人間探求の姿によって
周りのドローンの様に冷めた心を持つ人に
再び血液と体温を取り戻させたんだ…』
言ってリンケイドは一呼吸置き
じっとBを強く見つめた。
『ならば、ドローンキラー…
マージはお前が止めろ。
それがお前の人間としての仕事だ。
俺はそう期待しているし、
お前なら出来ると、そう信じてる…
以上だ…』
そう言った後
リンケイドはBに晴れやかな笑顔を作って敬礼する。
その言葉と敬礼に呆れて
Bも同じ様に敬礼を返すしかなかった。
「あのさ…
人間の血潮を取り戻したっていうんなら
だったら、もっと一緒に戦ってくんない?
結局、俺は単騎突撃だろ?」
良い言葉を聞かされた気がして
悪い気でもなかったのだが
現実には、”究極の無茶振り”をされた事も
分かっていたので
Bはそう皮肉を飛ばすしかなかった。
しかし、それを聞いてリンケイドは横を向いて
口笛を吹きながらビジフォンを切ったのだった。
「あっ!あの野郎!!」
その切れたビジフォンを見て憤るB。
ハハハと笑いながらモヒカンが寄ってきた。
「軍本部を心酔させるまで信頼させたかね?
人間探求者…
これなら、むしろ本望だろう?…ん?」
通信を同時に聞いていたモヒカンが
Bに近寄っては、そう茶化す。
「あー?
それで単騎突撃とか命令されたんだぜ?
本望?
これ本当に喜ぶ所?
俺、もしかして人間探求し過ぎたんか?」
そのモヒカンの言葉に、果てしなく腐るB。
「信頼ってのは、
行きすぎると自分の首締めるんだな…」
モヒカンはBのその毒づきに、
そう評価をして笑うしかなかった。
「過ぎたるは、及ばざるが如しか…」
モヒカンの言葉に、そう同調して笑うB。
「ともあれ、バスラル大学に
どうやって、どのタイミングで
作戦から離反して突撃するかって
難しい問題があったんだ…
それが、こんなに簡単に
それも、ど真ん中の任務でやって来たんだ。
人類最後の砦なドローンキラーを
してきたからこそ生まれた
最大のチャンスじゃないんかね?」
そう言ってモヒカンは、
スクリーンに地図を広げる。
「そう前向きに解釈するしかないな…
こっちには、沙璃枝なんて切り札中の
切り札があるなんて、
本部も知らないんだし…
このチャンス、
最大に利用させて貰うしかないか…」
言ってBはモヒカンの広げた地図を見る。
「そうだ…
それと単騎活動となると、
こっちの行動は立てやすいな。
後は、時間合わせのスケ-ジュールさえ
しっかりと把握できれば、どうとでもか…
ルートは…
このザクロス山脈から…
デズフールン、アフワーズア、アバダーンスと
辿って行って
この迂回ルートで回って、
川に侵入して後ろからバスラルか…」
言ってモヒカンは妥当な移動ルートを
地図の上に線で引いてみる。
「まぁそんな所かな…
で、重要なのは、潜水戦闘装甲車両だが?
どうなんだ?」
言ってBは、川から潜水して強行上陸という
なかなか洒落た奇襲作戦に
その要の潜水車輌の是非を尋ねてみた。
「もうそれの輸送は始まってるらしい。
今はバクダドから、こっちに移動中だな。
記録にそう入ってる。
今日中には到着するだろう…」
言ってモヒカンは、通信と同時に送られてきた
作戦指令書と、そのスケ-ジュール
そして現在の進行状況の記録ログを眺めた。
「なるほど、準備がよろしいこって…
ま、緊急とは言え、こんな大作戦だからな。
当然か…
陸路の距離は…、道を使えば
アバダーンスまでは460km程度か
作戦場所付近まで移動するには
半日程度といった所かな」
言ってBは、そのルートの大雑把な距離を測って
必要時間を検討した。
しかし作戦決行は四日後だという。
なんという緊急作戦だというのだろう。
緊急すぎて笑いしか出ない。
しかし、それでも本部側からすれば
ようやく作戦実行できるのか、ぐらいの
焦燥感があったのだろうが…
「車輌が着いて、チェックが済めば
一日も経たずに出ないといかんな…
というか、この前線基地も
分離してアフワーズアあたりにでも
緊急展開すっか?
沙璃枝ちゃんのフルパワー使うにゃ
この基地のリソースは必要だしな…」
言ってモヒカンは色々な
都合の良い状況を作り出す事を考えてみる。
「まぁ、基地ごと移動はアリだな…
沙璃枝はマージを狙っているんだ…
なら、出来るだけフルパワーが
出せるようにしてやらんとな…」
言って頭をかくB。
そして続けて腐る。
「本当に、なんて大作戦なんだよ…
で、そんな大作戦なのに
俺は単騎で戦闘だとか…
んでもって、その単騎の猟兵が
狙ってる本命は
バスラル攻略なんかじゃなくって
もっとでかい
遙か遠く、ネオNYの
マージ本体だっていうんだからな…」
そう腐り、Bは肩を揺らして
苦笑するしかなかった。
まぁ特に書く事もないんですが、なんていうか、地理的に妥当な場所にしてみたものの、いざ「どうやってこんな所、全体作戦で陥落させりゃええねん…」って地図とにらめっこして、仕方ないんで、もっとも落とされると困る空軍基地を中心に考え続けて、まず敵側の司令官になって「落とされたら状況が終わる所」が何処かを設定して、するとそこの防衛拠点を作って… とか敵基地の布陣を作って見ると、「じゃぁ、こんな状況で、進行側はどうやって陥落させる? 挙げ句に話の都合上、Bは単独行動を始めないといけないわけで、単独行動になるよう、都合の良い状況で、尚且つ陥落させるには?」って、なんとなく考えてみたのがこれです。まぁおかげで、軍全体と行動を共にするという面倒な描写が無くなったんで、しめしめで、書くのに楽できそう。




