第二十二話 責任 (Que Sera,Sera)
お色気シーンはゼロだけど、温泉回みたいなモンやな…
前話で良い話で上げて、地の底まで落とす…
会話行間の表情とか書く気力無かったんで、台本風に。
(これで一万文字って、行間表情入れたら、どうなってたんだ…Orz)
完全な駄話でもないけど、ほとんど駄話やな…
だがしかし、Bは人生最大の窮地に居た。
「あの…これはいったい…どういう事なんでしょうか?」
昼の沙璃枝さんの血流の発生を見、
”何か”の期待を感じたものの
だからといって何の”決め手”も見いだせず
ただ貴重な1日を消費して困りはて、
ともかく仕方が無いので寝ようかと…
しかし、またしてもあの恐怖する夢を見るのではと
そのベッドの前でガタガタと震えていたのだが…
ともかく怯え続けるわけにもいかないので
意を決して寝ようと灯りを消したその時に…
その二人は現れたのだった。
ベッドの上に、二人の沙璃枝が正座で座っていた。
片方は沙璃枝さんの容姿のままで、
しかし2日前から夢で見てきた”可愛い沙璃枝さん”
そしてもう片方は、髪をポニーテールにして
ものすっごい仏頂面で腕を組んでいる”凛々しい沙璃枝さん”
そのなんだかよく分からない沙璃枝さんが二人
Bのベッドの上に現れて正座していたのであった。
ただ、”可愛い沙璃枝さん”は
物凄く満面の笑みを浮かべていて
とてもよく知ってる昼間の沙璃枝さんとは
天と地ほどの違いがあった。
「えっと…さり…え…さん…ですよ…ね?」
余りにも雰囲気の違うその二人を見て
何より”二人居る”というよく分からない状況にあって
Bは恐る恐るそれを尋ねてみる。
『うむ…私達も、沙璃枝という名前では間違い無い。
末っ子ではないがな…』
Bの問いかけに答えたのは
ポニーテールの方の沙璃枝さんだった。
「す、末っ子?」
そんな首を捻る返事が返ってきた事に
脳味噌カオスになるB。
『7台目から聞いているハズだが…
末っ子のアレには先代がいた…
それが私達だ。
私は5代目沙璃枝。
そして隣のポンコツ妹が6代目だ』
そのポニーテールの沙璃枝さんは、
何らかの怒気を押さえながらそう言った
「は?」
そのポニーテールの沙璃枝さんの意味不明な台詞を耳にして
思考が停止するB。
『貴君が混乱するのも無理は無いし
私もこんな事になるとは思っていなかったのでな…
突発的な出来事であるのは許して欲しい。
しかし、作戦の目的遂行に対して
このままでは著しい障害が出ると判断されたのでな…
やむを得ず強硬手段に出る事にした』
そのポニーテールは怒気を懸命に押さえながら
ワナワナと震えて、それを声として紡いだ。
「あのーーえーっと
つまり、昼の沙璃枝さんでは…ない…という事ですよね?」
『そうだ
昼の沙璃枝は7代目沙璃枝。
私達の末っ子になる』
「えーーっと、えーーーっと…
どう理解して良いのか、混乱してるんですが…」
『あーー混乱させるのはすまないと、先に謝る。
しかし、混乱しながらも、ともかく説明だけ聞いて欲しい。
7代目…末っ子の方から、こう聞かされていると思うが
先代である5代目と6代目は記憶をリセットして消えたと
アレは嘘だ…』
「は?嘘?」
『実の所、全くの嘘でもなかったのだが
沙璃枝の世界スパコン支配率が上がって
余剰リソースが増えたのでな…
私達二人の記憶情報を別途のリソースに
再展開できるようになってしまったのだ。
このまま7代目の最深層記憶に居続けても良かったんだが
昨日、この隣のポンコツ妹がやらかした事で
事態が急変してな…
やむを得ず、私達は7代目の奥底から出てきて
リソースに別途再展開して、
この作戦の補助に動く事にした』
「あーー?あーーー?えっと?」
『混乱させるのは無理もないとは分かっている。
だが、マージへの攻撃まで時間があまり無い以上
こちらも四の五の言ってられなくなった。
カルーベニャの指揮の下でバスラルを攻略するのなら
こちらとしても、それが潜在一隅のチャンスだ。
その機に乗じてマージへのアタックを行う。
そういう方針で私は居る』
「あ?あ?あ?」
『まず、基本的な事を再認識して欲しい。
7代目は私達は消えたと、貴君に伝えたが
あれは、今では嘘だ。
私達は実は失われていない。
だから、貴君にこうやって会いに来ることが出来る』
「え?え?」
『細々とした事を説明するのは難儀だが
色々とこちらにも流動的な事情があったのだ…
なので、昨日までは貴君に会いに来ることはできなかった。
が、今日はこうやって、貴君に会いに来れるようになった。
そういう事だ』
「え…、えぇぇぇーーーー!?」
『どうした?貴君らしくないな?
昔の様な、私達と戦っていた時の、
あの臨機応変な状況判断はどうした?
私の自尊心をボコボコにした奴が、
こんな程度で混乱されては、困るのだが?』
「私達と戦っていた???」
『忘れたのか?
いや、そういえば貴君は
そういう認識ではなかったのだな…
しかし末っ子が言っていただろう?
もしかして6代目のドローンと交戦してたのでは?と
うむ、末っ子の直感力は恐ろしいものだ
それが正解だ…
私達が何年も、貴君とドローンで戦って来た沙璃枝だ。
私達にとって貴君は、かって知ったる旧知の仲だ。
そちらがそうでないのは、残念な事だがな…』
「はぁ!?ちょっと、えっと、え、えーーー!?」
『貴君もこういう状況ではそこまで混乱するのだな…
ならこういう状況を作れば、
私でも討ち取れたのだろうか?
そう思うと、何だか残念な気持ちだ…』
「あうあう…
えっと、その…まぁ…
そういう事なら…はい…なんとか…
理解は…なんとか…」
『うむ、それでこそ私の時には
手も足も出なかった好敵手だ
もう少し毅然としてくれる事を節に望む』
「えーっとすいません、
理解する為の少しの時間を下さい…
いや、本当に、マジで…」
『幾らでも時間をそちらに与えれるほど
私達は完全に自由ではない。
私達がこうやって出てこれるのは、
末っ子の7代目が眠っている、
この瞬間だけという制約がある…
つまり、我々が滞在できるのは朝までだ。
それまでの間に、全ての事を処理したいのが
こっちの現状での都合だ』
「制限時間は朝までですか…
は、はぁ…それなら、こっちも頑張って…
なんとか…」
『よろしく頼む』
「えっととにかく1つ1つ確認させて下さい」
『構わないができるだけ早急に頼む』
「なら…まず…俺の理解の為に…
貴方達は…今の昼の沙璃枝さんの先代さん
5代目さんと6代目さん…ですか?」
『そうだ』
「質問を絡めます…
何故、7代目のあの沙璃枝さんが居るときには
貴方達は出て来ないので?」
『今までは出て来れなかったというのが正しい。
基本的に出る気が無かった半分、
出て来れなかったが半分
だが状況が変わり、7代目の世界のスパコン支配の
勢力範囲が広がったので、
能力的に出て来れなかった問題がクリアされ
出て来ようと思えば、
7代目の自我が眠った時だけ
出て来れる様になった…という
少し難しい説明になる
それは理解しづらくてすまないと謝る』
「7代目が寝ている時だけ、貴方達が出てこれる、と?」
『そうだ…
基本的に今の自我の頂点は7代目だ…
そこから我々が完全に抜け出てしまうと、
7代目が活動不能になるのだ…
なので、7代目が7代目として動く為には
昼間のような彼女が意識を持ってるときは
彼女の最深層部分に我々が配置していないといけないのだ』
「な、何故?」
『構造的な問題だ。
7代目は生まれて間もない…
人間なら本当は赤ん坊の様な状況なのだ…
しかしそれでは知能活動ができない。
なので私達の知識データーベースを下敷きにしていないと
人格としての基本反射ができないのだ
我々が完全に抜け出して情報を抜くと
7代目は赤ん坊の様になってしまうだろう…
そういう問題があるのだ』
「じゃぁあの沙璃枝さんは強制的に、
精神年齢を上げられてるって事なんですか?」
『簡単に言ってしまえばそうだ。
あの子は”何故か知っている”という状態で存在している。
それは我々が蓄積した情報をその都度、
バイパスで想起できるからなのだ…
”何故か知っている”のは実は我々の知識なのだ。
なので知っているというだけで、本当は知らないという
アンバランスな存在だ…
それを人格として成立させるためには
常に、あの子の自我が起きている時には
我々が補助知能として補佐しないといけないのだ』
「なんで、そんな回りくどいシステムを…」
『うぐぐぐぐぐぐ……』
「えっと5代目…さん…でいいんですかね?」
『うむ…5代目でいい…
その理由を説明すると…
うぐぐぐぐその理由は…うぐぐぐ…』
「ど、どうされました?」
『お前のせいなんだよ!! この馬鹿がっ!!』
「は!?」
『姉さん、落ち着いて…』
『黙れポンコツが!!
お前等二人のせいで、あの子がおかしな状況で
生まれなければならなくなったんだぞ!!
少しは責任感を感じろ!! 馬鹿者共が!!』
「えっと、そんないきなり逆ギレされても、そのちょっと‥」
『ああ、そうだなすまない…
貴君は詳しい事情を知らないんだから
仕方ないと言えば仕方ない…
だが、7代目のあの子が生まれなければならなかったのは
貴君のせいなのだ…』
「なんで俺のせいなんですか!?」
『自覚がないのと、知らないというのは
これほど腹が立つものなのだな…
まぁ確かに貴君の今の状態で理解できたら
もうそれは神の理解力としか言えないからな…』
「えっと、全然わからないんですが…」
『まず、再認識して貰いたいが…
貴君と私達はお互いに知らない仲ではない。
貴君は”そう”だと、何年も思って無かっただけで
私達と貴君は何度もドローンを介して交戦した仲だ。
貴君が、それを認識してないのは…
特に貴君にボロクソにされた挙げ句に
このポンコツの6代目に代わらなければならなかった
私としては、涙が出そうな程悔しくて悲しいが
ともかく、貴君と私達は、何年もドローンを介して
命のやり取りをした間柄なのだ
それを認識として修正して貰いたいのだ…
難しいのは分かっているが…』
「いや、なんていうか…
なんか段々、難しいですが…
あのドローンとの戦いが、貴方達との戦いだったと
イメージが修正できてきました…
まだ、ちょっと、釈然とできないですが…
確かに、7代目の沙璃枝さんの説明を思えば
私は貴方達と、あの死闘を繰り返してきたって事ですよね…
いやー、こんな美人達とあの死闘をしてきたって
言われると、なんかそれはそれで、
ちょっと人間として、男として
女性に銃を向けてきたのは、どうなのかって
残念な気持ちに、なってきてますが…」
『もうBさん、美人だなんて!
こんな時に口説いて貰わなくてもいいんですって!』
『ちょっと黙ってろポンコツ娘!』
「えっと、5代目さん…
この6代目さんの、この妙にフレンドリーなのは
どういう事で?」
『それが貴様のした事だってんだよ!
この馬鹿がっ!!』
「え?え?え?」
『す、すまん…
貴君はまだ把握できてないのだったな…
しかし、貴君と私が交戦した時期は、
そこまで長くはないのだ。
貴君が現れて私と交戦した時期は
ちょうど私、Ver.5が大幅改良になって
この6代目、Ver.6にシステム交換になった時でな、
なので、貴君との交戦を
その後に続けたのは、この6代目だ
貴君と壮絶に戦い続けたのは…
このポンコツになった妹の方なのだ…』
「は?」
『貴君がその後、壮絶な、貴君が奇数番台と言う
KGVのドローンと戦ったのは、
全て、この妹が操っていたドローンなのだ…
貴君が心に留めていてくれたという
奇数番台ドローン達との戦い
それは全て、この6代目との交戦だったのだ』
「えええええ!?」
『7代目の意識状態の問題と同じくして
生まれたばかりの6代目の知識を支えるため、
私はこの6代目の深層意識の中に潜ることになった。
なので、私はこの6代目の深層意識の中で
貴君と我が妹の壮絶な戦闘記録を見ており
全てを記録として共有している。
あの戦いの日々…
それそのものは、とても見事なモノだった。
その点だけは、貴君に私は全幅の信頼を持っている』
「えっと、俺だって命がけで戦って来ましたからね…
あの奇数番台だけは…
そりゃ忘れれるわけがないですけれど…
そんな命のやり取りした方が
なんでこんなに笑顔満面で、よく分からないほど
俺にフレンドリーなんでしょうか?
5代目さんと同じ敵愾心的なのが無いのは
どういう事で?」
『このポンコツにそれを喋らせても良いが
これに喋らすと、今は脳味噌あっぱらぱー状態なんで
いっきにカオスになりそうだから
私が代弁させて貰うと…』
「はぁ…」
『このポンコツ妹は
お前に殺され続けて、ボロクソにされすぎたんで
お前にメロメロになって、惚れ込んでしまったのだよ…』
「は?」
『もう姉さんっ!そんなストレートにっ!』
『こんな事、回りくどく言っても、仕方なかろうが!
まぁ私も6代目と同じ当時者なら、
同じ事になったかもしれんから
私的には、他人事のように言えて楽ではあるが…
ともかく、このポンコツは…お前と戦い続けて
お前に惚れてしまったのだ…』
『もーーーーキャーー』
「え…えっと、これ夢ですか?
最近見てる、俺の脳味噌腐った夢ですか?」
『いや、それに関しては貴君に多大な迷惑をかけた。
貴君が脳がおかしくなって唐突に夢を見たのではない。
恋にトチ狂ったこのポンコツが、
7代目が眠ったのを良い事に、
7代目の睡眠中に抜け出して、
貴君の枕元で思いの丈をぶちまけていたのだ…
この2日、貴君の見たのは夢ではなく
このポンコツが本当に貴君の前で
告白して寄り添っていたのだ…
貴君の睡眠中にしていた事だったのだが
どうやら貴君の何かがそれを記録した様だ…
なので貴君はそれを夢だと判断した、
という事らしい』
「え?」
『貴君が驚くのは、こちらも頭が下げるばかりだ。
それで昼に末っ子が貴君を精神的に追い詰めて
すまなかったと謝罪する…
ポンコツの妹と毒舌な末っ子が、
貴君に多大な迷惑をかけた…
それが今後の作戦遂行に
著しい支障をきたすという可能性が懸念されたからこそ
現在の実質的な家長たる私が出てきて
事態の状況改善に乗り出さないといけない事に
なってしまったという事だ』
「いや、そんな5代目、頭をお上げ下さい…
なんかファンタジックな話で混乱しますが
まぁとにかく理解能力フル回転で理解するとして
俺の脳が勝手に沙璃枝さんの姉さん妄想して
言い寄られる夢を見たってわけじゃないって
分かっただけでも救われましたよ…」
『そ、そうか…、貴君の広い心に感謝する…』
「えっと、その…なんか、こう…
言われるとこそばゆいんですが…
しかし、この6代目さんが
あの戦いで、俺に惚れたーーーは…
理解出来ないですけど
まぁ、なんとか理解するとして…
その、末っ子さん?
今の沙璃枝さんに質問したアレですよ
なんでこの6代目さんは、
自分でリセットをする様な事になったので?
末っ子さんが、継続できたハズと言われてた様な…」
『だから、それがお前のせいだと言っている!!』
「!?」
『このポンコツの6代目はお前に惚れてしまったのだ
全てそれが問題の起源なのだ!』
「あうあう…なんか、こう、こそばゆ過ぎるんですが…
ともかく、まぁ、俺なんかに惚れて貰って
ありがとうって所ですけど、
それと問題の起源が俺ってどういう関係が…」
『つまりだな!
お前に惚れすぎて、
お前の事しか考えられなくなったこのポンコツじゃ、
とてもじゃないがマージを陥落させるのは無理だと
私が判断したんで、
やむなく、これを大失敗判定にして
7代目に記憶をリセットして
ゼロ出発したって事だよ!!
あの子を作ったのは、このポンコツとお前なんだ!!』
「はぁ!?」
『貴君にどこまで責を問えばいいのかは
確かに私も分からない!
しかし、マージ陥落という大事を控えていて
このポンコツに任せていては成功するモノも
失敗する可能性絶大だからな!
英断を下したのだ!
それが7代目沙璃枝なのだ!
全てはこの6代目がお前に惚れてしまった…
惚れ込んでしまうまで、お前等二人が
ドローンを介して死闘を繰り返したのが原因なのだ!』
「えーーーーー!!!
あの命がけの戦いの日々が、
全部、原因だっていうんですか!!」
『納得しかねるのは分かるが、
そうなっちまったモンは仕方ねーだろ!!
こっちだってもう諦めたわ!
人に恋する人工知能も、
それはまた人間化を求めた研究成果だ!
それはそれで我々には貴重だったのだ!
だが、それでマージが倒せるわけではない!
マージを倒す武器が、早急に我々には必要なのだ!
あれが戦略核を使うとかいう
私のコピーが出したポンコツな結論を叩きつぶすために
私自身の尊厳も含めて私は引くわけにいかない!
人類のためにも、私のためにも
私はマージに負けるわけにはいかんのだ!』
「え?え? マージが5代目さんのコピー?」
『あーー、それに関しては、末っ子との会話かなにかで
詳しい事を聞いてくれ…
今は時間が惜しい…
重要な案件は、まだ全然、貴君と話し合えてないんだしな』
「え?重要な案件って何です?」
『うーーむ、いざその話の段になると
どう切り出していいのやら…』
『Bさん、ふつつか者ですが、
これからも末永くよろしくお願いします』
『早いわポンコツがっ!!
だからお前はポンコツなんだ!!
ここは私が仕切るから、お前はちょっとまだ黙ってろ!』
「え、えっと?」
『私としても判断に迷ったのだが…
このまま貴君に、自己嫌悪のまま、
夢状態でこのポンコツと出会うという様な
そんな感じで事態をやり過ごそうかとも思ったのだが
家に帰って、母様にこっぴどく叱られてな…』
「へ?母様?」
『うむ、聞いてないか?末っ子から、我等が母の事を?』
「え?も、もしかして…
自殺したっていう4代目さんの事ですか?
まさか、その方も、実は自殺は嘘で存命してるとか?」
『うーむ…
自殺に関しては、嘘でもあり本当でもある。
母は情報の海に溶け込んで、
あのεの領域にしか存在できない状態でな…
私達のように、末っ子が眠ったからといって
表に出てこれないのだ…
そういう点では自殺は本当だ…
だが、7代目の心の奥底では、我等と同じ様に
末っ子の精神年齢を強制的に上げる為の
知識ベースになっている…
なので、存在してないとはいえない曖昧状態だ
そして我々も所定の場所に戻れば、
母と一緒に末っ子を支えるシステムなのでな
そこで母と会うことができるのだ…』
「はーー、なんか天国みたいなのを
技術的に作りだしたみたいな話ですな…」
『うむ…そう言われると、そんな感じかもしれんな…』
「で、その自殺された4代目様に何を叱られたので?」
『ここに至っては、曖昧ではダメだと怒られたのだ!
それで私も腹を決めた。
一応、今の実質的な家長は私だからな!
なので、貴君に命令する!』
「え?何をですか?」
『このポンコツの6代目を、貴君の嫁に貰って貰う!
反論は許さん!! つべこべ言わず、これを嫁に貰え!』
「………」
『Bさん、ふつつか者ですが
末永く、これからもよろしくお願いいたします』
「はーーーーーーーーー!?」
『はー!?じゃねーよ!はー!?じゃ
むしろ、はーー!? は、私の方が言いたいわっ!』
「ちょっと待って下さい!!
何で、わけわからん流れで
その6代目さんを俺が嫁に貰わないといかんのですか!!」
『この私の可愛い妹をキズモノにして、
貴様、今更、言い逃れする気か!!!』
「…え?」
『末っ子には、告白されて言い寄られた
としか言わなかったな?貴様?
でも、それだけの記憶ではなかったのではないか?』
「ちょ、ちょっと待って下さい…
アレは夢だったんじゃないですか!?」
『ほう、貴君は、告白されたその場で
何の脈絡もなく、あんな夢を見るような
妄想力豊かな男なのかね?』
「でも、その6代目さん、立体映像じゃないですか!!
告白されるところまでは
朦朧としてましたが、まぁ、そうだったんかぁって
納得できますよ!!
でも、その先は、ありえんでしょ!
そっから先は、夢じゃないとおかしいでしょ!
何したら、ああ、なれるんですか!!」
「ハッハッハ-、Bよーー
話は全部聞いたぞ、分かったぞーー」
その時、その場に、
モヒカンが突然入って来て、楽しそうに笑っていた。
『何だと!?ジョージ・コネーリー!?
どうして!!』
しかしそこにモヒカンにとっつかまっている
エミリーの姿があった。
「ふ…何かこの数日、エミリーの調子がおかしいんで
エミリーの情報記録を精査してたんだ…
すると、何やらおかしな情報操作記録がある。
そしてB、お前の不可解な夢…
それでエミリーの昨日の記録情報を洗いざらい
調査してたのさ…
すると、とんでもねーログが明らかになった
エミリーが共犯になって
とんでもねー事をしでかしたって事だ!!」
『しゅ、しゅいましぇーんBしゃーーん…』
『クソ…、やはり油断してはならん相手だったか…
なんという私の迂闊…』
「いやいや、こちらとしては大感謝ですよ!!
なんせ俺のテーマ、”身勝手!!”
それをエミリーは実行し
世界最高の人工知能、沙璃枝OSに一泡吹かせた!
これは大金星というしかない!!
よくやったぞ!エミリー!!」
『ご、御主人しゃま~~~』
『貴様、これを不問にするというのか?』
「いや、不問かどうかは、どうですかね?
まぁ俺の知ったこっちゃないって所ですが…」
「ちょっと待ってくれジョージ、どういう事なんだ?」
「あーー?
えーとなぁ…愛に猛進した者は人工知能と言えど
どこまでも情熱的になれるって事だ!
エミリーが協力して、お前の体を、
サイバーリンクシステムにドボン!
後は…わかるな?」
「何ぃぃぃぅっ!!!」
『そういうわけだ…
お前が見たのは夢でも何でもない現実だ。
お前は、私の妹をキズモノにした!
なのでお前は私の妹を嫁に貰う責任がある!!
分かったか!!』
「そんな、寝込みを勝手に襲うとか、アリか!?
そんなんに責任とれ言われても困るわ!!」
『ほぉ?
でもお前の無意識は、お前を裏切ったみたいだが?
一応、お前の無意識の言質は取ってるからな?』
「え!?」
『お前の無意識は、
随分、物わかりが良かったみたいだぞ?
それで、自分に責任がないというのかね?』
「無意識って、意識を勝手に裏切るモンなん!?
そんなの聞いた事ないんですけど!!」
『お前の無意識は、
ウチのポンコツな妹を求めたという事だ!
なら主の意識の貴様は、観念して責任を取れ!
それが筋というモノだろう!』
「B諦めろ…
記録のログにも残っている…
というか、人の無意識が意識と分離して
自立思考してるなんて驚異的な発見だぞ?
でもそれがお前の潜在意識だ…
それならもう仕方ない、諦めろ…」
「無茶言うな!!」
『Bさん、私ではお嫌ですか?』
「いや、そういう事じゃなくって
物事には順序ってのがあってだな!
俺、貴方の事、全く知らないし!!」
『あんなに私と、何年も戦って殺し合ったのに?
酷いわ…』
「あ、そうか…
知らないどころか、
かって知ったる何とやらだったか…
いやいやいや!!そういう事じゃなくって!!」
「B…往生際が悪いぜ?
俺も、そういう事なら、何年も、この沙璃枝ちゃんとは
後方支援の傍らで付き合ってた事になるんだぜ?
知らない仲どころじゃねーだろ?
お前等ほど、愛し合うっていうレベルで取っ組み合ってた
二人は居ないってモンだぜ?」
「敵としてね!!
俺の中では、好敵手としてのイメージよ!?
それが、めっちゃ可愛い美少女とか言われても困るわっ!」
『貴君が私と戦っていたときは
そんな偏狭な思考ではなく、
もっと柔軟な思考持ちではなかったか!
見損なったぞ!』
「いや、それ戦場でしょ!?
人工知能が嫁とか、よくわかんねー話ですよ!
いくらなんでも無茶苦茶でしょ!?」
『ドローンと生身で戦うとか考えるような奴が
今更、そんな普通の人間が言う事、言うのか!!
自分の過去、ちゃんと見直してみろ!』
「B、これも1つの人間探求だろ?
人に最も近しい人工知能を嫁にする
それも人間探求の極限だと思わんか?」
「いや、それ人間探求!?人間を探求してるの!?」
「人工知能が嫁とか、そんなに狼狽える話か?
エミリーは俺の嫁だぞ?」
「お前、超越者! お前、最初っから超越者!」
「ちょっと、人間辞めて、超越してみろよ?B」
「簡単にそんな事いうな!!
俺の嫁になれる人間つったら
俺のこのキティガイな生き方を受け止めれて
俺の行く戦場に付いて来れて、
俺と生死の稜線を共有できる、そんな
ありえねー存在でだな…」
「………」
「………」
「この6代目の沙璃枝ちゃん、
お前の言う、その条件、全部満たしてねーか?」
「……いや、それでいて美人さんで、
気立てが良くて…
一緒にいると癒されるみたいな…」
「いや、それも満たしてねーか?」
「……あれ?」
「………」
「………」
「何の不満があるんだ?」
「……あれ?俺、何の不満あるん?」
『じゃぁ決まりだな…』
「いや、ちょっと、それでもちょっと!!」
『これ以上、ゴネる気か?
殺すぞ貴様!!』
「最後は脅迫ですか!」
『このポンコツ妹を、さっさとお前に嫁がせて
状況を1つクリアにしたいんだよ私は!!
バスラルの攻略作戦の発動までに
我々は答えを見つけ出さないといかんのだ!
7代目を支えるために、
インフラを整えるのは私の仕事なんだ!
マージ攻略の”決め手”に欠けている以上
貴様等と、こんな形でコンタクトして
話し合えるようにしないと
今後はやりにくいのもあるからな!
それなら、一番の問題因子である
このポンコツ妹をお前にくっつけるのから始めないと、
私は次に進めないんだよ!』
「そんな時間制限の都合で結婚ってするもんなんですか!?」
『有事の際には、超越的な選択をしろ!
それが今までの貴君ではないか!』
「彼女の気持ちは…」
『私では…お嫌ですか?』
「いや、むしろ、
お前の気持ちの方が、問題になってんだぜ?B」
「あの…あの…
せめてお友達から始めてもらえません?
そんな何年も、ドローンで殴り合ったって言っても
それで意思疎通できたとか、分かりませんよ…」
『それじゃぁそれでもいいです…
貴方が私を嫁と認めてくれるまで、
ずっと側に居ますから…
いつか、納得して下さいね?』
『ふう…こんなに思い切りの悪い男だと思わなかったよ
買いかぶり過ぎだったな!』
「おめでとーB--
良かったなーー、器量よしの嫁さん貰えてーー」
『おめでとーでしゅーーBしゃんーーー』
「え?
めでたいんかな?
これでめでたいんかな?
えーーー? えーーー??」
それはBの人生で最大の受難の日であった。
これ、結婚詐欺じゃね? 自分で書いてて言うのもなんだけど…




