処刑
エゼルの処刑が迫る中、救出のため王宮へと乗り込んだエバーリンクの仲間たち。
しかし、彼らの前に立ちはだかったのは、圧倒的な力を持つオーデルだった。
絶望の中で、彼に待ち受ける運命とは――。
「そんな!? なんでそんなことするの!」
マナがオーデルに詰め寄る。
マナはエゼルのもとへ駆け寄ろうとした。
しかし、目の前に見えない壁が立ちはだかり、マナの行く手を阻んだ。
「なに、これ……?」
マナは目の前の空間に手を伸ばす。
「そこから先には君たちは入れない。そこから見ていてくれ」
オーデルはそのままエゼルの方に進む。
「よし、エゼル君の枷を外してくれ」
オーデルの指示を受け、兵士がエゼルの枷を外す。
「やぁ、エゼル君。まだ生きているかい?」
「な……何者……だ」
エゼルはかすれた声で問いかけた。
「よかった、まだ生きてた。それじゃあ処刑するね」
「マナ…は…」
「マナ? あぁ白髪の子か。生きてるよ今は」
「そういえば話してなかったね。君たちのギルドは闇ギルドに指定されて、君は処刑されることになったんだ」
オーデルは淡々と答えた。
「闇……ギルド……。みんなを、どう……する?」
エゼルは苦しそうに問いかける。
「捕まえたら奴隷か処刑だろうね」
「そう……か。そんなこと、させない!」
エゼルは残された力を振り絞り、立ち上がった。
そして、オーデルに向かって歩き出す。
力の入らない拳を握りしめ、オーデルに向かって振るう。
しかし、その拳はあまりにも遅く、オーデルは軽々と身をかわした。
「みじめだね。神の力はどうしたんだい?」
「神の……力? 何のことだ……?」
「そうか。知らないのも無理はない。じゃあ、兵士の皆さん、お願い」
オーデルの指示を受け、兵士たちは入口に張られていた結界を解除した。
「お兄ちゃん!!」
「マナ…?! みんなどうしてここに!」
エゼルは驚き、目を見開いた。
その瞬間、オーデルがマナを捕まえ、身動きが取れないように押さえつけた。
さらに、兵士たちがほかのメンバーにも襲いかかり、複数人で取り押さえる。
「さぁ、エゼル君。どうする?」
「やめろ…! 皆を放せ!」
「いやだと言ったら?」
すると、エゼルがオーデルに向かって再び殴り掛かる。
正面から殴りかかると見せかけ、瞬時に背後へ回り殴りかかった。
しかし、オーデルに片手で止められてしまう。
「まだみたいだね。それならこの子も処刑するしかないみたいだ」
「なっ…!やめろ!!」
「はぁー!」
エゼルがふたたび殴りかかろうとするが、オーデルが間合いを一気に詰め、エゼルを蹴り飛ばす。
「くっ……」
「お兄ちゃん…!」
マナが必死にエゼルへ手を伸ばす。
そのとき、オーデルの背後から女の声が聞こえた。
「アニキ、その女は私に任せな」
「ソルシアか。遅かったじゃん」
オーデルは振り返ると、捕らえていたマナをソルシアに引き渡した。
「やめて、放して!」
マナが叫んだ瞬間、エゼルはオーデルに向かって突撃した。
「ブレイクヴァイン!」
「ジア・レイ!」
エゼルが放った攻撃に、オーデルも即座に魔法を放つ。
二つの攻撃が正面からぶつかり合い、互いの力を打ち消した。
凄まじい風が辺り一帯に吹き荒れる。
「ライトニング・ブレイカー!!」
エゼルは間髪入れず、オーデルに向かって攻撃を繰り出した。
「フライドバンプ!」
オーデルもすかさず魔法を放つ。
その攻撃を受けたエゼルの体は、地面から大きく宙へと吹き飛ばされた。
「残念だけどもう終わりにしよう」
「ウィンドテイカー!!」
オーデルが攻撃を放つと、辺り一帯の風がオーデルに集まり、右腕から鋭い風の攻撃をエゼルに向けて放つ。
オーデルの放った攻撃が、エゼルの腹部を貫通する。
「嘘…だろ」
ラルドが驚きの表情をする。
「エゼル!?」
他のメンバーもエゼルを心配する。
「お兄ちゃん!!」
マナが叫ぶ。
エゼルはそのまま地面に落ち、動かなかった。
「ジア・レイ」
オーデルは容赦なく、攻撃を繰り出した。
オーデルの体から複数の風の刃が放たれ、倒れたエゼルへと一斉に襲いかかる。
風の刃は次々とエゼルの体を貫き、複数の傷を刻み込んだ。
「もうやめて!!」
マナが涙を流しながら叫ぶ。
「もう……やだよ……」
その声には、悲しみと絶望が滲んでいた。
「残念ながら、彼はもう死んだ。次は君たちだ」
オーデルは淡々と告げる。
「なんで……こんなことするの……?」
マナは涙を流しながら、オーデルを見つめた。
「ごめんよ……。これがこの国の決まりなんだ」
「最後に何か一言あるかい?」
「……お兄ちゃん。ごめんね……」
マナは静かに目を伏せた。
「さようなら」
オーデルがマナに剣を向ける。
その瞬間、倒れていたエゼルがオーデルの手をつかんだ。
「なっ……なんでまだ生きてんだよ……!?」
ソルシアが驚き、目を見開く。
「まじかよ…」
オーデルも思わず表情を変えた。
エゼルは何も言わず、オーデルを吹き飛ばした。
「なっ、こいつ!」
ソルシアはすぐさま身構える。
しかし、次の瞬間、エゼルの拳がソルシアの腹部に叩き込まれた。
ソルシアの体は大きく吹き飛んでいく。
「お兄…ちゃん?」
マナが恐る恐る呼びかける。
だが、エゼルは何も反応しない。
そのまま兵士たちに向かって歩き始めた。
「エゼル、大丈夫なのか…?」
ライザの声にも答えず、エゼルは次々と兵士を倒していく。
「ふざけるな!」
体勢を立て直したオーデルが叫ぶ。
「ジア・レイ!」
オーデルはエゼルに向かって、鋭い風の刃を放った。
エゼルは迫りくる風の刃を、腕を振るって弾き飛ばした。
「マ……ナ……。皆……無事か?」
エゼルは途切れ途切れの声で、仲間たちの安否を尋ねた。
「なめんなよ!」
オーデルとソルシアが同時に攻撃を仕掛ける。
「ジア・レイ!」
「クロックシザース!!」
オーデルはエゼルに向かって、鋭い風の刃を放つ。
一方、ソルシアはエゼルの正面に立ったまま、背後から斬撃を飛ばした。
しかし、エゼルは一瞬でオーデルの横へ移動し、オーデルの顔面に拳を叩き込んだ。
同時にソルシアも吹き飛ばされた。
「どうなってるんだ…」
ラルドは目の前の光景に驚きを隠せなかった。
「くっそ…」
オーデルとソルシアは体勢を立て直すと、魔法を発動させる。
「複合魔法:タイムレイン!」
空中から無数の風の刃が落ちてくる。
そして次の瞬間、一斉に軌道を変え、エゼルに向かって動き出す。
「この魔法は、風の刃が落ちるタイミングを操れんだよ」
「ホーリーアウファス」
エゼルの体がまばゆい光に包まれる。
光はエゼルの体から広がり、迫りくる風の刃を次々と消し去っていく。
そのままオーデルとソルシアへと伸び、二人を一気に吹き飛ばした。
衝撃によって、壁までもが大きく崩れ落ちる。
「お兄ちゃんが光魔法……。どうして……?」
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