悪魔
王族が介入し、事態はさらに深刻に!?
エゼルの神の力の正体が今明かされる
「や……ばいな」
オーデルはふらつきながらも、なんとか立ち上がった。
しかし、次の瞬間、エゼルは一瞬でオーデルの目の前に移動し、その体を蹴り飛ばした。
「アニキ! てめぇ、よくも!」
ソルシアは激昂し、エゼルに向かって攻撃を仕掛ける。
その瞬間、エゼルが指を鳴らすと、ソルシアの頭上から雷撃が降り注いだ。
「ぐわぁぁぁ!」
ソルシアは雷撃を受け、その場に崩れ落ちた。
「お兄ちゃん…」
マナが心配そうな表情でエゼルを見つめる。
しかし、エゼルは何も答えない。
そのままオーデルへと歩み寄ると、拳を振りかざした。
そして、倒れ込んだオーデルに何度も拳を叩き込んだ。
「お兄ちゃん、もうやめて!」
マナが必死に叫ぶ。
「神の……力に……飲み込まれたか……」
オーデルはエゼルを見つめながら、かすれた声でつぶやいた。
エゼルが再び拳を振りかざそうとした、そのとき。
「もうやめとけ」
ラルドがエゼルの腕をつかみ、攻撃を止めようとした。
しかし、エゼルはラルドを振り払い、吹き飛ばした。
「マスター!!」
ライザが叫ぶ。
エゼルは再びオーデルに向き直ると、容赦なく拳を叩き込んだ。
「やめろ、エゼル!!」
ライザが止めに入る。
だが、エゼルはライザにも攻撃を加え、遠くへ吹き飛ばした。
さらにエゼルは、上空に巨大な雷球を作り出した。
「なっ……なんだよ、これ!? やめろエゼル!」
「エゼル、落ち着きな! こんなものを落としたら、皆死んじまう!」
ノルドマンとパーナも、必死にエゼルへ呼びかける。
しかし、その声はエゼルには届かなかった。
エゼルはゆっくりと腕を振り上げる。
そして、雷球を落とそうとした、その瞬間――。
マナがエゼルの背後に回り込み、斬りつけた。
「もう……やめて、お兄ちゃん……」
マナは涙を流しながら、エゼルに駆け寄った。
そして、強く抱きしめた。
すると、上空に浮かんでいた巨大な雷球が、ゆっくりと消滅していった。
エゼルの体からも力が抜け、そのままマナに寄りかかる。
「お兄ちゃん……」
マナはエゼルを抱きしめたまま、静かに涙を流した。
「マナ…大丈…」
レイバークがマナに声をかけようとした、そのとき。
パーナが遮るように手をかざし、静かに首を横に振った。
「皆はライザを見てくれ。私はマスターを見てくる」
パーナがエバーリンクメンバーに指示を出す。
皆はうなずき、それぞれ負傷した仲間のもとへ向かった。
「ライザ、生きてるか?」
「あぁ、なんとかな」
レイバークの問いかけに、ライザが答える。
「ほら、あんた。立てるかい?」
パーナはラルドに手を差し伸べ、立ち上がるのを手伝った。
「すまない」
「貴様ら、そこから動くな!」
兵士たちが再びエバーリンクのメンバーを取り囲む。
「ったく、しつこいな!」
ノルドマンが苛立ちをあらわにする。
「双方、落ち着いてくれ」
そのとき、入り口から男の声が響いた。
「一部始終は見させてもらった。これ以上けが人を増やしたくはない」
「リンドウ王子!? どうしてこんなところに……!」
兵士たちが驚きの声を上げる。
入り口に姿を現したのは、リンドウ王子とその護衛たちだった。
「僕も、新たに見つかった神の力に興味があってね」
王子はエゼルに視線を向けながら続けた。
「本日はこれまでとし、後日、改めて話し合いの場を設ける」
「それまでは、エバーリンクのメンバーに事情聴取を行う。王宮内に宿泊できる部屋を用意させよう」
「どういう風の吹き回しだ?」
ラルドが王子をにらみつける。
「僕も今回の処分には多少の疑問があってね。君たちの話を聞きたいのさ」
「しかし王子様、この者たちは無断で王宮に侵入しております。そのことだけでも、処分する必要があるかと」
「その件についても、後日判断する。今はけが人の治療を優先してくれ」
「しょ、承知いたしました」
すると、上方にある観覧席から声が響いた。
「その必要はない」
「なっ、国王様!? どうして国王様までこんなところに!?」
兵士たちが動揺する。
「どういうことですか、父上」
「言葉どおりの意味だ、リンドウよ。その者たちへの治療は不要だ。特にゴッドホルダーはな」
「父上、詳しく説明していただけますでしょうか」
「その者たちを闇ギルドに指定したのは私だ」
「なっ……なぜです!?」
「私がさらなる力を手に入れるためだ」
そう言うと、国王の背後から、禍々しいオーラを放つ赤い目の生物が姿を現した。
「父上、その背後にいるものは何ですか……?」
「こ奴は、私が契約した悪魔だ。ゴッドホルダー三人を生贄に捧げることで、私はさらなる力を手に入れる」
「悪魔!? 父上、生贄とは……! 一体、何をなさるおつもりですか!?」
「この場にはゴッドホルダーが四人いる。そのうち、オーデル、ソルシア、エゼルの三人を生贄として捧げるのだ」
「なっ、エゼルがゴッドホルダーだと!?」
ラルドが驚きの声を上げる。
「あぁ。この者は神の力を使った。その証拠が、先ほどの光魔法だ」
「本来、ゴッドホルダーの器に満たない者が神の力を手に入れると、複数の属性が発現し、能力も安定しない」
「だが、光属性と闇属性は例外だ。つまり、そやつが持つ神の力は光属性。そして、ゴッドホルダーにふさわしい器を持っているということだ」
「私は、ゾルペスが神の力を狙っていると知り、神の力がそやつの手に渡ることを懸念した。そこで、あらかじめゾルぺスメンバーと対峙したメンバーに死刑判決を下したのだ」
「そうすれば、神の力を持つ者たちが自然と王宮に集まってくるからな」
「仮に神の力を持っていなかったとしても、死んだところで何も困らん」
「幸いなことに、わざわざ器を探す手間も省けた。それに、全員がここまで弱っているのは実に都合がいい」
国王は不敵な笑みを浮かべた
「じゃあなんだ、最初から俺たちはあんたに利用されてたのか?」
ラルドが国王をにらみつける。
「それがどうした?」
「そうか……。それで、生贄ってのはどういうことだ?」
「悪魔族の中でも、個体名を持つ上級悪魔は、ゴッドホルダーの命を捧げることで、悪魔としての力を覚醒させることができる」
「このアルルべも上級悪魔の一体でな。こ奴は大食いで、ゴッドホルダーを三人も要求してきたのだ」
「だが、我が息子を生贄に捧げるのは、さすがに忍びなくてな。ゆえに、三人目のゴッドホルダーが見つかるのを待っていたのだ」
「待ってください、父上! なぜそこまでして力を手に入れようとするのですか!?」
「お前にも、そのうちわかる。今は黙って見ておればよい」
「しかし、魔族の力を借りるなど……」
「おい、国王早く生贄をよこせ」
アルルべが待ちきれない様子で口を挟んだ
「ああ、そうだったな。もう好きにしてよいぞ」
国王の許可を得ると、アルルべはソルシアのもとへと移動を始めた。
「ソルシアに触れるな!」
ボロボロの体を引きずりながら、オーデルがアルルべに攻撃を仕掛けた。
「そんなボロボロの体で、よく動けるものだな」
国王は見下すようにオーデルを見つめた。
アルルべはオーデルに向かって手を伸ばした。
オーデルは迎え撃とうとしたが、全身の痛みで体が動かなかった。
「くっ……」
そのとき――
「フローズンレイブ!!」
ライザが氷魔法を放ち、アルルべの攻撃を防いだ。
「なっ……何の真似だ!?」
オーデルが驚きの表情を浮かべる。
「別にお前たちを助けたわけじゃない。こいつらを何とかしないと、エゼルもやられちまうからな」
「一人でかっこつけるなよ、ライザ。俺たちにもやらせろ」
ノルドマンとセイフォンも、ライザの隣に並び立つ。
「ほう……貴様らは本当に消されたいらしいな。国王と悪魔に逆らうとは」
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