救出作戦
突然現れた国内最強のゴッドホルダー
彼はエバーリンクに何をもたらすのか
「僕はオーデル。この国で一番強いゴッドホルダーだよ」
「な、なんでそんな奴がうちに……」
突然の大物の登場に、ギルドのメンバー全員が驚きを隠せなかった。
「僕が来たのは、君たちを止めるためだよ」
「……邪魔するのか?」
ラルドが警戒した目でオーデルを見つめる。
「それは君たちの方かな」
「どういうことだ?」
オーデルは少し間を置いてから、口を開いた。
「エゼル君だっけ? 彼の処刑は、すぐには行われない」
「早くとも、一週間くらいはあるはずだよ」
「……本当ですか?」
マナの表情がわずかに明るくなった。
「神の力は、ゴッドホルダーが死ぬと、別の人間に受け継がせることができるんだ」
オーデルは淡々と説明を続ける。
「ただし、誰でも受け継げるわけじゃない。神の力が強ければ強いほど、受け継ぐ側にも、その力に耐えうる器が必要になる」
「器…?」
タカが首をかしげる。
「器に力が足りなければ、神の力に耐えきれず暴走することもあるんだ」
「だから、神の力の強さを調べたうえで、その力に耐えられる器を見つけなければならない」
パーナは納得したように頷いた。
「なるほど。それで、あんたたちは何をする気なの?」
「今回は、僕がエゼル君を処刑する」
「……え?」
その場の空気が一変した。
「君たちに邪魔をさせないために、僕はここにいるんだよ」
「何かエゼルを救う方法はないのかよ?」
ライザがオーデルに問いかける。
「ないね」
オーデルは即答した。
「君たちにできることは何もない。大人しくしていれば、命だけは助かるかもしれないよ」
その言葉に、ギルドの空気が張り詰めた。
「そうか、じゃあそこをどいてくれ」
ラルドがオーデルを睨みつける。
「あぁ、無理だ」
――オーデルの背後に急にすさまじい魔力のオーラが立ちこめる。
「な、なんだこの魔力…」
ノルドマンが驚愕する。
「立っていられない……!」
パーナは膝をつく。
他のメンバーも呼吸すらままならない。
目の前にいる男が、まるで別次元の存在に思えた。
その中で、オーデルだけが涼しい顔で立っていた。
「……これが、僕と君たちの差だよ」
「わかったかい? 君たちとは格が違うんだよ」
「それでも、俺たちはエゼルを助ける…」
ライザがオーデルをにらむ。
「そうか、まぁ今日君たちを倒してもギルド抗争でうちもやばいからね」
オーデルは肩をすくめた。
「とにかく、明日からはどこへ逃げても僕がいる。そのことを忘れないでね」
――オーデルは姿を消した。
「マスター……」
タカが泣き出しそうな顔でラルドを見つめる。
「どうやら俺たちは、とんでもない奴に目をつけられたな……」
ラルドは険しい表情で、オーデルが消えた場所を見つめていた。
「さて……どうやってあいつを助けに行くか……」
「あのさ、みんな。僕に考えがあるんだ……」
レイバークは、その場にいる全員を見渡した。
「なんだよ、考えって」
ライザがレイバークを見る。
「まず、処刑の日まで器を探している人間を足止めする」
「おそらく、国王が器を任命するみたいなことを言っていたから、器を探しているのは国の兵士たちだ。だから、それらしい動きをしている奴らを気絶させる」
「これがうまくいけば、器が見つからない。そうなれば、エゼルの処刑も延期されるはずだ」
「もちろん、これだけで処刑を延期できる保証はない。でも、器が見つからなければ、少なくとも時間は稼げるはずだ」
レイバークは一度言葉を切り、続けた。
「次に、エゼルの救出だ」
「ただし、オーデルみたいな強力な敵と戦うことになると思う…」
レイバークは、仲間たちを見渡した。
「なるほど、皆はどう思う」
ラルドが全員の目を見る。
「俺はそれでいいぜ」
「私も」
ライザとマナは即答する。
「他の皆は?」
「僕もやる! エゼルさんを助けたい!」
タカが力強く答える。
他のメンバーも、次々とうなずいた。
「だが、オーデルはどうする…」
セイフォンが険しい表情で見つめる。
「あいつから全力で逃げる!!」
「え、大丈夫か…?」
セイフォンが不安そうに聞き返す。
「まともにやりあっても勝ち目はないから、逃げるのは街の中」
「オーデルはギルド抗争のことを気にしていた。だから、街に被害が出れば、自分たちのギルドにも影響が出るはずだ」
「つまり、街中なら大技を使うのをためらうってことか……」
ラルドが納得したようにつぶやく。
「でも……オーデルだけじゃなく、他のギルドの奴らもいるんだろ……?」
ノルドマンは険しい表情でうつむいた。
オーデル一人でさえ、まともに戦えば勝ち目がない。
それなのに、他のギルドまで敵に回すことになれば、逃げ切れる保証などなかった。
「……本当に、全員で逃げ切れるのか?」
ノルドマンの声には、不安がにじんでいた。
「私……足も速くないし、戦うこともできないから……」
マーシャはぎゅっと拳を握りしめ、顔を伏せた。
「みんなの足を引っ張っちゃう……」
その場に、重苦しい沈黙が流れた。
エゼルを助けたい。
けれど、自分たちが捕まれば、助けるどころか全員が危険にさらされる。
誰もが、その現実を分かっていた。
ラルドは仲間たちを見渡した。
「怖くて当たり前だ。無理して参加する必要はねえ」
「勝てるかどうかじゃねえ。家族を見捨てて生き残るくらいなら、俺は最後まで戦う」
ラルドは覚悟を決めたように言った。
「マスター……。そうだよね。エゼル君だって、一人で怖い思いをしてるかもしれないし……」
マーシャは一度うつむいた後、顔を上げた。
「私も……エゼル君を助けたい!」
「仕方ねぇな……。あいつを一人にしとくわけにもいかねえか」
ノルドマンは小さく息を吐き、拳を握りしめた。
「よし、必要な荷物だけまとめろ。近くの洞窟に移動して、そこで体勢を立て直すぞ!」
ラルドの号令を合図に、エバーリンクのメンバーは一斉に動き出した。
エゼルを救い出すために。
それぞれが不安を抱えながらも、仲間を取り戻すという決意を胸に、奪還作戦への準備を始めた。
――その頃、王都では。
「新たなゴッドホルダーが出現しただと?」
国王が驚きの声を上げた。
「はい、国王様」
臣下が深々と頭を下げた。
「器は見つかっているのか?」
「いいえ。まずは神の力を解明し、その後、力を継承できる器を探すことになります」
臣下は慎重に答えた。
「そうか、処刑は誰が担当するのだ?」
「ロイヤルナイツが一人、ジークガルドのオーデルになります」
「なるほど、奴ならしくじることもあるまい」
国王は満足げに頷いた。
臣下が部屋を出ていった後。
「さて……これから我らの計画も始めようか」
国王は窓の外を眺めながら、不敵な笑みを浮かべた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
もし面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけるとうれしいです。
毎週火曜、金曜、日曜に更新しています。




