深謝する
書き方を少し変えてみました。
読みにくい部分があるかもしれません、ご了承ください。
「口車に乗ってあげます。旅に出ましょう。」
椅子に座るなりすぐにサフィニアがそう言った。
サフィニアの前に座っているランはやってやったぜと言わんばかりのドヤ顔である。
ランとサフィニア以外の3人は急にサフィニアが乗り気になったのが理解できず、アリアは説明を求めた。
しかし、ランが小声で「あとで話すから」と言って誤魔化した。
また二人で話してからサフィニアは帰ろうとした、するとサフィニアは何かを思い出したかのように足を止めてこちらを振り返った。
「雨に気をつけて。ではまた。」
そしてサフィニアはまた歩き出した。
その拍子に小雨が降り出しすぐに大雨になった。
サフィニアは天気予報なんてないこの世界で見事に当てたのだ。
その後は水の魂であるソロに力を借りて全員雨に濡れずに何も巻き込まれずに無事に家に帰った。
春斗は最後までサフィニアを見ていた。サフィニアは何故か少し笑っていた。
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次の日の昼下がり、昨日から続けて大雨が降っている。
今日はサフィニアがランの家に来る予定であり、メルはランの数少ない友達が来ると思って朝から高揚していた。
そんな時、ランの家の木製の玄関ドアから雨音に負けない強いノックがなった。
メルが明るい声で「はいはーい!」と言いながらドアを開けると一人の少年がいた。
その少年は俯いており、彼の黒髪、薄汚れた服は雨でずぶ濡れである。
メルが心配して少年に話しかけようとしたその瞬間、
少年の脇から蜘蛛の足が生えてきた。
彼の頭から鼻上にかけて蜘蛛の顔となりメルに飛びかかった。
メルは驚きと恐怖で声が出なくなり腰が抜けてしまった。その時大雨の中から女性が見えた。
サフィニアである。
サフィニアは手元の傘をその場に捨て、腰を低くして風を切るように走った。
彼女の右手から三日月型の風を生み出し、少年の脇から生えた足を切った。
足の断面からは青い血が吹き出した。
足を切られたその少年はサフィニアの方を向き、手から蜘蛛の糸を吐き出した。
その糸は一目散にサフィニアへ向かい、目の前まで近づいた。
しかしサフィニアは風でその糸を切り右手を前に伸ばした。
「お母様、失礼します。無音。」
そういうとメルは聴覚の情報が消えた。
そしてもう一度サフィニアは唱えた。
「轟音!」
その瞬間空間に波が生まれ、蜘蛛の少年は耳から血を流しその場に倒れた。
その轟音を聞いた春斗達が駆けつけてきた。
「どうしたの?!」アリアがそう言った。
他の3人も口を揃えて状況説明を求めている。
サフィニアはメルに掛けた無音という音が聞こえなくなる音魔法をといた。
「お母さん大丈夫?!…あ、サフィニアさん。」
ランがメルを心配するとサフィニアの存在に気づいた。
そのあと春斗がサフィニアに近づこうとして外に足をだした。すると春斗の足に何かがぶつかった。
なんだろう。と思って自分の足を見ると
春斗のいた世界からは到底考えられない巨大な蜘蛛の足が何本も転がっていた。
その光景を見た春斗は思わず「ひっ!」と声を漏らした。
その様子を見たサフィニアはその蜘蛛の足を脇に抱えて道の隅に移動させた。
それに続いてソロもサフィニアが倒した蜘蛛の少年を隣に座らせた。
サフィニアは丁寧に深々とお辞儀をして「お邪魔します。」と言った後、着ていたコートを脱いだ。
そしてランの家に上がった。
あまりにもサフィニアが何も無かったかのように雨に濡れている上に、蜘蛛の足を抱えて動かしていたため春斗は少し思わず引いてしまった。
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「本当に命を救っていただきありがとうございます〜!うちのランとも仲良くしていただいて…」
メルがサフィニアに玄関前の出来事について御礼を言った。
「いえいえ、人を助ける事は当たり前です。それでなんですが…」
とサフィニアが謙遜し見返りを求めるように話を小声で振ると、メルは目を細め口角を上げて「全然いいわよ!」と返事をした。
その返事をしたあと、メルは4人をランの部屋へと向かわせた。
4人ともどんな話をするかわからずリビングから追い出されてしまった。
追い出されてから一時間ほど経った。
4人はカードゲームをして時間を潰していた。
「今、なんの話してるんだろう?」
アリアがふと呟いた。
その呟きにランとソロも同感したため、ランの部屋の扉に耳を当ててメルとサフィニアの会話を盗み聞きすることとなった。
春斗はその雰囲気になったとき盗み聞きは良くないと止めようとしたが、人見知りでまだ知り合って間もない人達を止められるわけもなかった。
しかし、春斗も全く気にならない訳でもないので結局春斗も少しの罪悪感とともに扉に耳を当てた。
「そうしたら、当時付き合ってた人が解釈違いって言い始めて…いや、自分の中の私を見るんじゃなくて目の前に居る私を見ろよ!」
「あらやだ、その人酷いわねぇ!サフィニアちゃんにはもっと似合う人が居るわよ、その人と別れて正解よ!」
どうやらサフィニアの婚活中の話をしているようだった。この時は元彼の愚痴を吐いているようだ。
この話は休みなく続いていた。
そして恋愛経験ゼロの4人は自分にはまだ早い話として同時に扉から耳を離した。
しかしアリアはなんだかんだで気になったらしく、そっと再び耳を当てた。
すると、扉と反対側の壁にカビが生えてきた。
その様子を見た部屋の主のランは
「えっ、僕の部屋にカビ生えてる…」と愕然した。
ところがそのカビは通常のものより遥かに増殖スピードが速く、明らかに人為的なものであった。
そしてそのカビはどんどん増殖し、最終的に文字となった。
『おぼえてろよ』
これを見た瞬間にこのカビの正体はサフィニアによるものだと気づいた。
最初に盗み聞きすることを止めた春斗は全員にあとで謝ろうと声をかけた。
その声掛けも聞こえたのか、それを境にカビは跡形もなく消え去った。
そして消え去った後もランは涙目になりながら壁に
カビが残っていないか点検していた。
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17時。夕方。サフィニアにランの部屋にカビを生やされてから2時間経ったくらいの時。
メルに夕飯の支度を手伝って欲しいと春斗達は呼ばれた。
全員ランの部屋から出てメルに各々の役割を与えられた。その間、サフィニアの吊り上がった目から視線が矢のように鋭く刺さる。
そして春斗達はサフィニアの前に乱れなく整列し、
全員頭を下げた。
サフィニアの「よろしい。」という言葉によって春斗達は解放され、各々の持ち場に着いた。
しかしその時メルは手伝いをして欲しかったのにそっちのけにしてサフィニアの元へ行ったので、少しもどかしくなった。
春斗達はまたもや人の怒りを買ってしまったのだった。




