口車に乗車する
「…ってな感じかなぁ。」
ランがそう言うとソロも頷いた。
「だから馴れ初めは本当に僕が命を狙われててそこで一緒に迷子になったって感じかな?」
「そういえば霧が人によって作られたって言ってたけどその作った人はどこいったの?」
アリアがそういうと馴れ初めを話していたランが共感するように言った。
「あ〜…そういえばそうだよね、まあ方向感覚失う魔法かけられてたし…迷子にでもなったんじゃないの?」
ランが鼻で笑いながら言った。すると春斗が
「ただの自業自得か…。」と呟いた。
呟いたあと春斗はまた考え、話をまとめた。
「ランは本当に昔から命を狙われている。それをランに仕えるという形で護っているのがソロ。ここからは推測になるけど、メルさんはソロの事がまだ子供で旅に出るとなると大人がいなくて心配している…っていうこと…?」
「多分あってる!と、思う!じゃあ一緒に旅に出れる大人が必要ってことだね?」
春斗の話を聞いてアリアがそう言った。
「そういうことですね〜。なので一緒に旅に出てくれる人はプレイグ王国の方で探しましょう。」
「えっ、あんなに大きなところで探すの?探したら時間取られちゃうよ。」
「確かにそうですね。でも、探すのはプレイグ王国の出会い場です。」
そういうと4人は家を出てまたソロの跳躍に頼り、春斗は死にかけ、アリアははしゃぎ、無事プレイグ王国の出合い場前についた。
「大丈夫か?回復魔法で癒したげるからその青くなった顔色治してねー。」
「ご…ごめん…。」
今にも吐きそうな春斗はランに背中をさすられながら回復魔法をかけられている。
「出会い場ってみんなでご飯食べるんだね、てっきり一対一で話すと思ってた。」
そういうとアリアは出会い場の受付へと向かった。
すると受付のスライムのお姉さんが話しかけた。
「こんにちは。出会い場へようこそ!パートナー探しでしょうか?」
「パートナー…?」
「いえ、パーティーメンバーを探しています。」
そうソロが訂正するとすぐに受付のお姉さんは謝り、
パーティーメンバーを探す人専用の客席まで案内しようとしたその時、女性の悲鳴が聞こえた。
春斗は悲鳴が聞こえた方を見た。するとそこには、大粒のよだれを口から大量に流しながら人間にしがみつく雄の痩せこけたライオンがいた。
そのライオンは二足歩行で人の言葉を喋っている。
「メシ…メシっ!!!!」
そう叫ぶとライオンは女性の顔に噛みつきみるみるうちに女性は叫び声が小さくなり、完全に聞こえなくなってしまった。
女性の顔からは大量に出血しており、脳、砕けた頭蓋骨、ぶら下がった目玉が見える。
辺りは血の池となった。
春斗は治った吐き気が再発した。先程とは比べ物にならないほどの吐き気であった。
そんな中先程の痩せこけたライオンは口から女性の脳と頭蓋骨の一部を吐き出した。
「もっと…もっとっ!!欲しい!!!魂が!!!!」
ソロが腰にある剣を抜こうとしたその時、
どこからか黒紫色の髪でメガネをかけた女性が歩いてそのライオンに近づいた。
理性を失ったライオンがその女性に飛びかかるも、女性はすぐに風を生み出しライオンの動きを止めた。
ライオンが暴れているのに対し、その女性は表情を何一つと変えずに歩いて進む。
そしてついにライオンの前に立ち問いかけた。
「あなたは…魂喰族なのですか。」
その問いかけはどうやらライオンには届いていないらしい。
ただ「魂…魂がほしい、満腹になりたいんだ、俺はただ…!!!魂!!!!魂!!!!!!」叫び続けている。
すると
「…殺せ、殺せ…!魂喰族なんていらない…!!」
周辺にいた一人が呟いた。
それに続いて他の人々も声を上げた。
年齢層は関係なく幼い子供からお年寄りまで野次を飛ばしていた。
そしてその声はどんどん強くなっていく。
「殺せ…!」「早く殺して!!」「とっとと殺せー!!」「殺せ!」「お姉さん倒して!」「悪魔は死ねーっ!!」「魂喰族は死んでしまえ!!」
その声だけが届いたのかライオンはゆっくりと涙を流した。
「嫌だ…死にたくない…!生きるだけで死んで欲しいだなんて…あんまりだ…!」
それらの声が聞こえていないかのようににその女性はただ黙って立っている。
「道を開けなさい!危ないから下がって!!」
そう言ったのは国家に仕えている騎士達であった。
「そのライオンをこちらに渡してください。」
そう言われると「どうぞ。」とだけ言ってその女性は騎士に渡した。
「ご協力感謝します。」
そしてそのライオンは騎士に連れていかれ、被害者の女性は布を被され慎重に持っていかれた。
その騎士達が去った後、女性は何も無かったかのようにハンカチで手についた血をふきその場から離れた。
春斗はその現場をみて冷や汗を流し、思わず身体が動かなくなってしまった。
「春斗、ここの世界には魂喰族っていう魂を主食とした族がいるんだよ。それは人種とか関係なく、遺伝も関係なく産まれる。神の対比って言われてる。
だからこういうことが起きるのも珍しくはない。」
ランにそう言われ春斗は
(この世界は思った以上に治安が良くないのか…?!旅に出るとなったらこういうことも多くなりそうだな…)
と思った。
しばらくすると人々は落ち着き、いつもの街へと戻った。
春斗の気持ちはまだ切り替わらないが、それ以外の3人は完全ではないがほぼ切り替わっている。
「変な感じになっちゃったけど…まぁ、行こっか。」
そうアリアが仕切り、また受付の人に話しかけた。
そして20代、性別不問、人種不問、長旅に出れる人という条件つきで探すと先程の黒紫色の女性があった。
「あっ、さっきの人だ。」と、春斗が言った。
「ほんとだ、どうするー?」
「話してみるのアリだよねぇ。」
「じゃあ話すだけ話してみるか。」
そう言って申請した。
そして一つの大きめのテーブルを境界線として春斗達の向こうには先程の女性がいる。
その女性が自己紹介をした。
「私はオリビア・サフィニア。吸血人とナラタケという菌糸人のハーフです。よろしくお願いします。」
この女性はサフィニアというらしく、吸血人のナラタケの菌糸人のハーフらしい。
「こんにちは、草木人と人間のハーフです。ルーローズ・ランといいます。そして、このそばかすの人が春斗、金髪の人がアリア、藤色タレ目の人がソロです。」
お互いに丁寧な挨拶をした。
そしてランが代表して喋り始めた。
「えっと、僕らはそこまで年齢層が高くないんです。だから大人のしっかりした人が必要で、そこでしっかり者のサフィニアさんがぴったりかなぁと、思いまして…。どうですか?旅、僕たちとしてみませんか?」
そして、サフィニアは顔色を何一つ変えずにこちらをじっと見て黙った。
そして春斗、アリア、ラン、ソロの順番で目を合わせていった。
すると、サフィニアが喋り始めた。
「多分…間違えてるわね。」
「え?」
ランが思わぬ言葉に声を漏らした。
「私、婚活中だから。旅になんか出ようとしてないのよ。だから多分スタッフが間違えてるわね。やっと申し込みが来て結婚できると思ったのに…。」
サフィニアはそう言って少し拗ねたような表情になった。
そして椅子から立ち上がりその場を離れようとした時、アリアが止めた。
「待って!」
その掛け声にサフィニアは振り返った。
「何ですか。」
「あの、えっと…う、うちの男子達なんかは…どうですか…?!」
アリアが急にしどろもどろしながら提案し、春斗とソロは急に結婚候補になった。
そしてまたサフィニアは「そうね…」と言いソロをじっくり見始めた。
「あなた、年齢は?」
「今年で17になりました。」
「6歳差…6歳差かっ…。ちょっと厳しいな…。」
そういうとアリアがまた話しかけた。
「6歳差?つまり…えっと…う〜ん…あ、23さい?6歳差だとダメなの?年齢はあんまり関係ないと思うんだけど…。」
「関係ないは関係ないんだけど、私が30になったとき相手はまだ24よ??30代と20代前半よ?個人的には好きじゃないわ。」
「そういうと結構すごいな…」
サフィニアの考えにランも少し共感した。
「じゃ、そっちにもいい相手はいなかったから。私は帰ります。さようなら。」
そう言ってサフィニアは帰ろうとした。
(まじかよ!春斗話しかけられなかった!!!)
(ハルトはなしかけられなかったな、なんでだろ?)
(ハルト話しかけられてなかったな…あとで慰めよう…)
と思っていた中、春斗だけは
(予 想 通 り だ)
と、思っていた。
「ちょ、ちょ、ちょ、待ってくださいよっ!」
ランが止めた。まだ話す気でいるらしい。
そしてランがサフィニアと耳打ちをし、サフィニアがまた椅子に座った。
そしてランはドヤ顔しながら座り、サフィニアは喋り始めた。
「口車に乗ってあげます。旅に出ましょう。」
春斗は自身の顔は良くないのを知っています。
それに対してソロはイケメンなのでソロに初めて会った時から「自分は引き立て役なんだろうな…」と思いながら過ごしていました。




