第19話「異常」
レースは終盤戦。
松下もタイヤを新品に交換し、ペースアップを狙っていた。
「監督!永野とのタイム差は!」
『今、7秒だ!』
「7秒了解!」
しかし、松下は気づかなかった。
永野が異次元のペースで追い上げ続けていたことを。
「ヒロくんとのタイム差は!」
『今、7秒、7秒だ。ただ、着実に縮んでいるぞ!次の周には5秒になる計算だ!』
「OK!」
同時に永野も気づいていないことがあった。
異常なほどのハイペースで走ることによる代償を。
再び、松下。
「監督!今のタイム差は?」
『4.7秒だ!あいつ、超異次元のペースで追い上げてるぞ!』
「4.7…異次元すぎる。俺がタイヤ交換した時、10秒くらいタイム差があったのに…」
ミラーを確認すると、今までより、永野のマシンが大きく写っていた。
「今回はマシンに不調もない。駿、実力ぶつけ合おうぜ。」
2台は第5コーナーを抜け、ロングストレートへと向かう。
松下の背後を捉えた永野。
一気に勝負を仕掛ける。
松下のイン側に永野が滑り込んでくる。
これで首位が永野に変わる。
「くっそ…監督!レースはあと何周?」
『残り2周、次でファイナルラップだ!』
「時間がねぇぞ…」
「ただ、まだマシンは捉えられてる。タイヤもまだ大丈夫。」
タイヤも限界なのだろう、前を走る永野は少しふらついているようだった。
「なら、勝負を仕掛けるならヘアピンだ。」
限界までアクセルを踏み込む。
「ここだっ…!」
永野のイン側に踏み込む。
「…!?」永野も動揺が隠せていなかった。
これで再び首位が変わる。
『よし!お前が1位だ!そのまま永野を抑えきれ!』
「了解!」




