狂愛
「き、今日は本当にすいません、でした」
俺が戦闘空間から離脱した後もペコペコ謝るアンさんに対し俺は
「大丈夫だから。俺はもう寮に帰るけどアンさんはどうする?」
「わ、私はまだ残ります。で、ですからショウくんは、お、お気をつけてお帰りください」
残るのか。1人で訓練するとは感心感心。でもそしたら今までの訓練時間はなんだったんだ?ま、まぁいいや。疲れたし戻るか。
俺が1年生訓練所から出て行くのをアンさんは手を振って見送ってくれた。
「はぁー。私、ま、またやっちゃった」
私、アン・ガンチスの異能は狂愛だ。好きになってしまった人と距離が近すぎて興奮した場合とか思いが爆発するくらいになると私の身体能力がかなり向上する。逆に好きな人もおらず気になる人もいなければ私の異能は全く使えない。先生方のランク付ではCランクと判断された。
「わ、私って、ほ、本当に、ち、ちょろいよね?ふ、へへ。でも、シ、ショウくん、が、悪いんだよ?あ、あんなかっこいいことするから」
私はショウくん、ショウ・マスラギに完全に惚れてしまった。だってそうでしょ?あんな庇い方されて惚れない女子はいなくない?私のためにあそこまでしてくれるなんて。
「え、えへへ。えへへ」
想像しただけでもにやけがとまらない。私の異能、ショウくんに聞かれて濁しちゃったけど仕方ないよね?だ、だって
「私の、い、異能、言ったら、わ、私がショウくんのこと、す、好きってばれちゃうから」
こんな異能じゃなきゃ私普通に告白とかできたかな?でもこんな異能じゃないとショウくんの隣には立ってられないかもだし。ショウくんは噂によればキサキさんを倒したらしいから。つ、強くないと、私は隣に立てないよね。
「だ、だからもっと、強くならないと。そ、それに今は、と、隣で戦闘で支える、ことはできなく、ても、委員会で、支えることができるし」
思いきって、学級委員になってよかった。コ、コムにはその点だけ、か、感謝しないと。
「こ、今度こそ。昔のように、失敗し、しないためにうまくこ、行動しよう」
私は握り拳をつくってぐっとした後に1年生訓練所で相手をしてくれそうな人を探した。
「ふぁー。今日は本当に疲れたな」
俺は寮に戻って入り口のドアを開けると俺の目の前にはちょうど風呂場から出てきたモルクがバスタオル1枚を体に巻いて立っていた。
あ、こ、これやばいやつじゃ?でも不可抗力だよね?なんせ俺は部屋に入っただけだし。
「お疲れ!モルク!」
俺は親指を立ててモルクに言うとモルクが異能で作ったであろう石を顔に向けて投げられた。理不尽!




