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お兄ちゃんの妹じゃないもん!  作者: ふう♪
第1章平凡な日常と偶然の出会い
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第6話作戦失敗!



「おい! どういうことだ西強!」

「ってか、早く月宮さんの手を離せええぇ!」


 クラスの男共は一斉に席を立つと蓮真に近づいて肩や腕を掴むと一気に月宮さんから引き離した。


「ちょっ! お前ら落ち着けって!」

「これが落ち着いていられるかああああぁ!」

「お前と月宮さんの関係を教えやがれええぇ!」

「みなさーん! 静かにして下さい!」


 蓮真にクラスの男共が群がる様子を見た俺はため息をついた。何が何だか知らんがあいつも大変なもんだ。


 そう思っていると突然後ろから肩をトントンと叩かれた。

 後ろを振り返ると騒動の元となった月宮さんだった。


「ねぇねぇ、蓮君っていつもあんなに人気者なの?」


 彼女の人気者なの? という言葉を聞いて思わず笑いそうになるがなんとか堪える。まぁあながち間違ってはないんだけど……


「いや、いつもはあんな状況絶対にないな。蓮真は元々顔が強面だからどちらかというと怖がられている方だし」


 今のあの状況は月宮さんが原因でああなっているというのは伏せた。


「ふぅーん。あっそういえばあなたの名前は?」


「ん、俺か? 俺は新城和也だよろしく」


「こちらこそよろしくね」


 そう言い、月宮さんは俺に手を差し出してきたので俺もつられて手を差し出し、月宮さんと握手した。


「あぁ。って、うおっ!? お前急に出てくるなよ!」


 俺と月宮さんが握手をしていると突如間に女子が割って入ってきた。真美だ。そしてどこか不満そうな表情を俺に向けてくる。


「私は皆城真美。よろしくね!」

「ついでに俺は大葉幹弘! よろしく、可憐で美しい月宮さん」


 こいつ……さりげなく口説こうとしてないか?

 だが、そんな幹弘の努力は特に意味もなく、月宮さんは全く気にしていないようだ。


「2人ともよろしくね。あっ、そういえばみんな蓮君の友達?」


「まぁそうだな」

「あんな変態知りません」

「人柱」


 おい。約二名おかしいこと言ってるぞ。すると月宮さんはくすっと笑った。


「ふふっ……なるほどね。あっちなみに私が蓮君って呼ぶのは幼馴染だからなの」

「「「えっ!?」」」


 俺達3人は目をむき出しにして驚いていた。幹弘にいたっては蓮真を見て『こんな奴に可愛い美少女が!?』とでも言いたげな顔をしている。


「だけど、7年前にお父さんの転勤で引っ越しちゃってね。一度はこの街から離れたんだけどまたお父さんの転勤でこの街に帰ってきちゃった」


 そうは言いつつも月宮さんはどこか嬉しげだった。


「あっ私のことはみんなさっちゃんて呼んでくれていいからね。月宮さんだとなんだか距離感感じちゃうから」


 月宮さんがそう言うと真美は席を立ち、月宮さんの元へ近づいた。


「分かった! んじゃ私のことは真美ちゃんでいいよ! よろしくね、さっちゃん!」

「よろしくね、真美ちゃん!」


 そう言い、二人は互いの手を握りあっていた。


「和也、女の子同士ってまじで仲良くなるのはえーよな」

「幹弘も思っていたのか。奇遇だな、俺もそう思う。てか、俺はさっちゃんて言うの恥ずかしいから普通に月宮って呼ぶわ」


「皆城さんに嫉妬されるからじゃなくて?」

「てめぇ、ぶっとばすぞ」


 とまぁなんだかんだあったが、こうして月宮の転入は無事に完了したのであった。




「あれ? 和にぃは?」


 和にぃの妹であるあたしは、制服に着替え、階段を降りるといつもならリビングで朝食を食べているはずの和にぃがいなかった。

 不思議に思ったあたしはリビングで朝食を食べている真美ちゃんに声をかけた。

 すると、真美ちゃんは箸を止め、私と同様不思議に思うような表情をした。


「うーん、なんかお兄ちゃん大事な用があるから先行くって言って出て行っちゃった」


 そう言うと真美ちゃんは何か急用でもあったのかな? と呟きながら再び箸を持って朝食を食べるのを再開した。


「はぁ……また何か企んでいなきゃいいけど……」

 ため息をつきつつ、あたしも真美ちゃんとお母さんのいるリビングのイスへ座った。




 蓮真、幹弘、俺の三人は朝早くから再び馬鹿なことをやっていた。


「こちらα、異常なし。目標、接近まであと5メートル」

「よし蓮真、いけ!」


 曲がり角に待ち伏せしていた蓮真は俺から情報を聞き、幹弘の合図によって曲がり角からばっと飛び出した。


 それと同時に右からは華奢な女の子が現れ、ぶつかりそうになる。


「分かった! ……うおっ!? あ、お、おは……」


 つまりながらもなんとか挨拶をしようとする蓮真。だが……


「きゃっ!? あ……ご、ごごめんなさいーーーー!」


 蓮真の顔を見た次の瞬間、女の子はまるで虎に追い詰められたかなような真っ青な表情をし、全力で走り逃げ去っていった。


「あっ! あの、ちょっと! ……はぁ」


「くそ、やはりダメか」


 そう言いため息を吐く幹弘。


 ちなみに馬鹿なことというのはつい先ほど蓮真がやったことだ。

 見てくれがもはやあれな蓮真には、正面衝突は不可能だと判断した幹弘は、曲がり角を利用して蓮真と女の子をぶつかりそうになるまで接近させ、その後、驚きのあまり反射で反応した女の子と挨拶を交わさせ、そこから好意をもたせるというどこかのギャルゲーにもありそうな内容で馬鹿な作戦なのだが、俺達は悲しいことにそれを遂行していた。


「いや、普通無理だからな? 今の見てると蓮真が女の子に襲いかかろうとしているようにしか見えなかったし」


 俺が素直な感想を述べると幹弘はかっと目を見開いた。


「そんな……!? 俺が寝るまも惜しんで考えた作戦が……っ!」


 幹弘はそう言うとがくりと地面に膝をついた。

 こんなのが友人だと思うとなんか悲しくなってきたぞ。


「おいお前ら、落ち込んでないでそろそろ……」


 学校行かないと遅刻するぞと俺が言おうとしたその時だった。


「……お兄ちゃん達何してるのかなー」


 俺は思わず来た道を振り返った。


「まっ、真美っ!?」


 そこには真美と……


「蓮君ー何してたのか教えてくれないかなー?」


「っ!? さっちゃん!?」


 さっちゃんこと月宮が二人並んで仁王立ちしていた。


「あっいや、これはな……」


 俺がどう説明しようかあたふたしていると、


「さっちゃん! ち、ちがうんだ! 俺達はただ、『フラグをたてまくれ! 美少女とお近づき大作戦!』を実行していただけだ!」


 次の瞬間、場の雰囲気が一瞬で凍りついたのが分かった。


「……はあっ!?」

 どっから出たんだそんなギャルゲーみたいな作戦名!

 つかおい、俺はあくまでお前の手伝いをしただけで入ってはいねぇぞ!

 真美、俺は何もしてないぞ!


 そう思い、真美を見るが……


「……へぇ、お兄ちゃんそんなことしてたんだね」

「蓮君、ちょっとこっちに来てくれないかな?」


 そう言いながら二人の美少女はどんどん俺達に近づいてくる。それはまるで狂気に満ちたゾンビのようだった。ゆらりゆらりと左右に動く彼女達の身体が余計に俺達にそう思わせる。


「あ、俺は関係ないから先行くわ。また学校でなー」

「おいっ幹弘!?」


 幹弘は俺達にそう告げるとそそくさと走っていった。あいつ……自分が関係ないからって……


 ふと気づくと、蓮真が俺の肩に手を置いていた。


「よし、和也。ここは……」

「ここは?」


「逃げるぞ!」

「おう! ……って、うわあああぁ!」


 言い切った途端、蓮真は俺の手を思いっきり引っ張って走り出した。下手したら自転車のスピードを超えるほどだ。


「痛い痛い痛い! 腕もげる! マジでもげるっ……!」


 今、めちゃくちゃ腕が痛いが、同時に彼女達から逃げられて俺はホッとしていた。いや、マジで痛いけどな。


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