第7話部活作ろうよ!
「なぁなぁ、みんなって部活どこに入るか決めた?」
昼休みの中、俺、真美、月宮、蓮真、幹弘の5人は一緒に弁当を食べていた。そんな中、幹弘が言い出した。
途端、みんなの視線が何故か俺に集中したので俺は箸を止めた。
「うーん、それがまだ何も決まってないんだよな」
「私もお兄ちゃんと同じ」
「私も」
「俺も和也と同じだ」
俺に続いて順番に言うみんな。
すると、それを聞いた幹弘はため息をついた。
「ということはみんな帰宅部か」
「そういう幹弘はどこか部活に入ったのか?」
どうせこいつはなんでもできる奴だからテニス部とかにでも入ってるんだろうなと俺は思っていた。
だが、幹弘から帰ってきた言葉は予想外のものだった。
「いや? お前と同じ帰宅部だけど?」
『え?』
この時、『え』という言葉だけが幹弘以外ハモった。
「なんで入らないんだよ。お前ほどのスペックがあればどこにでも入れるだろうに」
蓮真がそういうが幹弘は肩をすくめた。
「いやぁなんかさ、運動部は土日も練習があってしんどいしさ、文化部は文化部でなんかパッとしないんだよね」
「ようするにやりたい事がないってことか」
俺がそういうと幹弘は頷いた。
「まぁそういうことかな」
「また帰宅部か……」
実は中学時代も帰宅部だった奴がこの中にいたりする。それが俺だ。蓮真は野球部だったし、幹弘はサッカー部、そして真美は美術部という俺だけ何も部活に入っていないという状態だった。
高校では何か部活の一つくらいやりたいなぁ。そんなことを思っていると真美が何故か手を挙げた。
「あっ、じゃあさ! こうしよ!」
俺達は全員真美の方を向く。この時、誰も思いもしなかっただろう。
真美の発言によって俺達のこれからが変わることになろうとは。
「やりたい事がないならさ、部活作ろうよ! 私達で!」
「……はい?」
「あ! それ賛成かも!」
椅子から勢いよく立ち上がり、真美に賛同する月宮。
「その手があったかぁ。それなら自分達がやりたい活動ができるもんね」
納得する幹弘に真美はえっへんと胸を張った。
「でしょでしょ? じゃあ早速創りに行こう! 西強君! 宜しくね!」
真美はそう言い、蓮真の背中を叩いた。
「ん? なんで俺?」
不思議に思っている蓮真に俺は内心で御愁傷様と言った。
翌日、蓮真と俺は生徒会室へと向かった。
正直俺はこの時、部活を新たに創るなんて無理だろうと思っていたのだが……
「あの、すみません」
そう言い生徒会のメンバーである女子生徒に近づく蓮真。
「は、はいぃっ! なんでしょうか……」
そして蓮真の声にビクッと身体をビクつかせる女子生徒。なんだこれ。
「この紙に判子を押して欲しいんですけど……」
「押します! 押します!」
蓮真が言い終える前に女子生徒は蓮真からパッと紙を奪い取り、判子を押した。そしてサッと蓮真に紙を返す。
「こここ、これで完了ですっ……」
「お、おう。ありがとうございます……」
その後、俺達は廊下に出て盛大にため息をついた。そのほとんどは蓮真だ。
「俺……何もしてないのに怖がられてる……」
「どんまい蓮真……」
蓮真の精神的ダメージがでかいが、こうして俺達の部活は無事と言えるかは怪しいが設立したのであった。
って、あれ? そう言えば今気づいたけどまだこの部の名前決まってねぇ!
その事を真美に言うと彼女は月宮と顔を合わせ、ニヤリと薄笑いを浮かべた。
「実はもう……」
「決まってるんだよねー!」
そう言い、2人は正反対の方に走った。すると間から何やら文字が描かれている横断幕が出てくる。
「何でも出来る部活という意味を込めて」
「こんな名前にしてしてみました!」
そこには月宮が書いたのか、綺麗な字でオールマイティ部!と書かれていた。
「オール、マイティ……部?」
俺がたどたどしく言うと真美が胸を張りながら言った。
「そう! 略して『オルマティ』! いい名前でしょ?」
「本当は全能って意味があってしかも完全に何でも出来るっていう意味がはいってるんだけどな」
「そこは気にしない気にしない!」
茶化そうとする幹弘に真美は大きな声で叫んだ。絶対誤魔化したな。
「お、おう……」
幹弘もしつこく言うのは面倒くさいのか諦めた。
「へぇ〜真美ちゃん部活創ったんだ。凄いね」
そう言い褒める香織に真美は照れていた。
「えへへ、ありがとう」
いや、実際創ったのは蓮真だろ、というのは言わないでおくことにした。また機嫌損ねたら面倒くさいしな。
とりあえず俺はその場をあとにし、階段を登って自分の部屋に入った。
ちなみにこの家は二階建てで、二階には部屋が三部屋あり、そのうちの二つは俺の部屋と香織、真美の部屋だ。
「ふぅ、やっと落ち着くな」
そう呟き、俺はポケットから携帯を取り出して右上の電源ボタンを押す。
すると、パッと画面が明るくなる。
指でスライドさせ、目的のアプリをタップする。
それと同時にジャンッ、ジャジャジャジャンという音が流れる。
今俺が開いているアプリは携帯ゲームで今人気のアルドラというゲームだ。
「マルチでプレイっ……おっ! きたきた」
このゲームは3つの絵柄を揃えて自身の能力を発動させ、敵を倒していくアプリで、何故人気なのかと言うと最近のアップデートでマルチプレイが実際され、話題となっているからだ。
火、水、風、地、雷、氷、無、光、闇と九つの属性があり、他のゲームと違って属性の種類は多めだ。
この属性がキーとなっており、3つの絵柄を揃えて自身の能力を発動させるさい、その絵柄にも9つの属性がそれぞれ1つずつ描かれているのだがそれと、自分の属性が一致している絵柄を消さないと能力は発動出来ないという少し難しいゲームだ。
ソロだと絵柄が多すぎてなかなか能力が発動出来ず、ずっと敵に攻撃されてゲームオーバーが多かったのだが、マルチプレイでは、最大4人まで同時にオンラインプレイができる。そのため、4人でやれば自分達のターンが実質4ターンになり、絵柄を消した時の能力発動も、4人の属性が違えば発動しやすくなる。更にチャットもできる為、意思疎通もしやすい。
そして俺は最近、アルドラのマルチプレイを通じて2人の人と仲良くなっていた。
現在、俺とその2人は一緒にマルチでダンジョンに潜っており、左上にはキャラとプレイヤー名が表示されている。
上から順番にリーダーである俺、KAZU。そして2番目には女の子キャラで名前はレナ♡3番目も女の子キャラで名前は、☆青猫☆だ。
「おっ、ボスだな」
俺はボスをタップして情報を確認すると2人にチャットをした。
〈ボスは状態異常無効あり!〉
すると、2人からチャットの返事がすぐにかえってきた。
〈了解!〉
〈任せて〉
その後、俺達は見事なチームワークにより、最新のボスを撃破した。
〈お疲れ2人とも。レナのおかげで体力モリモリで戦えるし、青猫のおかげで回復力が2倍になって耐久出来るし2人ともすごいな〉
すると、再びすぐにチャットがかえってくる。
〈お疲れ。KAZUもボスに与える火力凄かったよ! あたしにはそんな火力だせない体力モリモリキャラだからね笑〉
〈お疲れ様。私には回復力くらいしか取り柄ないから二人が羨ましい〉
俺達は互いに長所と短所の差が物凄く激しい。例えば俺はこの中で最も火力が高いのだがその代わり体力・回復力・回避力は皆無だ。
対しレナはこの中で最も体力が高いのだが、その代わり攻撃力・回復力が共に皆無で回避力も平均以下だ。
そして青猫はこの中で最も回復力と回避力が高く、その代わり攻撃力・体力が皆無で更に敵から受ける被ダメージが通常の1.5倍だ。
そんな俺達は街で偶然出会い、現在に至る。俺達は自分達の長所を引き出し、それぞれが持つ短所を補いながらこれまでやってきていた。いわば俺達はある意味最強のPTだ。
そんなことを思っているとレナが突然慌てだした。
〈あぁっ!? もうこんな時間! 明日の宿題早く終わらせなきゃ! 2人とも今日はありがとう! また明日ね!〉
そう言い、ログアウトしていった。そう言えばレナと青猫は俺と同じ高校生だったな。年齢は流石に聞けないから何年生かは分からないけど。
〈KAZU、どうする?〉
〈うーん、俺も明日提出する宿題があるからそろそろ寝るよ。お疲れ、青猫〉
〈うん、お疲れ様。今日もありがとう〉
〈おう、また明日な〉
〈うん、また明日〉
そのチャットを最後に、俺はログアウトした。
「うわ、まじか!」
時計を見ると既に0時を迎えようとしていた。俺はすぐに宿題にとりかかるのであった。




