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第33話 終わらない会議

 転移者がこの王宮から消えてから、半年が経った。

 未だに転移者の居場所は全く掴めていない。


 王宮の混乱は一時期よりは落ち着いたが、それでも転移者の居場所がわからない限り、完全な収束が訪れることはない。


 転移者が自由になれば、そう時間が経たないうちに大災害にも等しい事件が起きるだろうと王都中の誰もが予想していた。そのため、今の平穏は拍子抜けのように感じられる。


 とはいえ、今回の転移者が訪れてから、もう恒例ともなってしまった王都の貴族たちを集めた大会議は、止める機会を失ったまま繰り返し行われていた。


 今日も貴族たちは頭を抱えている。


「一体、転移者はどこに消えたのか……。これだけ探しても見つからないとは……」

「やはり、すでに王都からかなり離れていると考えて間違い無いようですな。しかし、『国民に余計な動揺を与えないように』と情報を制限していたのが、ここで仇になるとは……。国民の誰も転移者の顔を知らない以上、王宮の騎士を動員して探すしかあるまい」

「しかしそれでは王宮の警備が——」

「転移者の驚異の手前、そんなことを言っている場合では——」


 転移者の捜索は遅々として進まない。議論もこのところ堂々巡りを続けている。それどころか、転移者が現れてから大人しく協力していた貴族たちも、転移者という脅威が目の前からいなくなったことで、再び派閥争いに精を出すようになってしまった。


 この国が滅べば、結局自身もその派閥もなくなるというのに……

 王は頭を抱えるしかなかった。


 議場には、重苦しい空気が漂う。


 そんな中、空気の読めない七光り男爵が得意げな声を上げた。


「だから、あの転移者にはスキルなどないと言ったではありませんか。スキルがないから、こうして何にも騒ぎが起きないのでしょう」


 貴族たちは皆、頭を抱えた。

 王は机に崩れ落ち、頭を強打した。


「本当に、何度でも言うが阿呆か貴様は!」

「ああして王都の結界を破壊し、ドラゴンを引き入れたのがなによりの証拠だろう!」


 怒鳴りつける貴族たちを気にする様子もなく、七光り男爵がこともなげに言い返した。


「そうは言いましても、もし使えるスキルがあるなら、この半年間何もしないなんてことはありえないでしょう。今までのことは……そうですね。ほら、全部勘違いとかかもしれません。結界もドラゴンも、転移者がやったという証拠は一つもないでしょう?」


 議場は沈黙した。

 もう言葉も出ない。

 こいつは放っておこう——誰も言葉にはしなかったが、議場の空気は自然と一致した。


 王はようやく重い頭を上げ、ゆるみきった議場の空気を少しでも引き締めようと、咳払いを一つした。


 さて、なんとか話を戻して、転移者の対応についてどうにか結論をまとめなくては。

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