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桜咲く国の姫君~神様の気まぐれで異世界に召された少女は王子と騎士見習いに溺愛される~  作者: 咲来青
第3章 ザックス王国ー森の城ー

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第1話 姫様の部屋

 お城を見た時の率直な感想は、



(うわ~……。ホントにお城だぁ……)



 ……だった。



 ほら、ドイツの古城とかあるじゃない?

 ヨーロッパの貴族の住んでそうな……まあ、そんな感じ。シンデレラ城とは、ちょっと違うけど。


 ……でも、ここまで思いっきり洋風だと、私がこの国の姫と勘違いされてることが、不思議に思えて仕方ない。


 だって私、純和風――とまでは行かないにしても、そこそこ日本人顔してると思うし。

 少なくとも、ハーフ顔ってワケではない。……と思う。うん、絶対。


 お城や国ってゆーヤツが、もっと和テイストのものだったなら、まだわかる気はするんだけど……。

 こうも洋テイスト前面に押し出されてるとなぁ……『マジで!?』としかもう、思えなくなって来るよ。

 どう考えても、この日本人顔に黒髪じゃあ……このお城には、マッチしないもんなぁ……。



 ……ホントのホントに、ここの『姫様』って、私に似てるワケ?

 鳥さんの目が、信じられないくらいに節穴(ふしあな)!――だったりするだけじゃないの?


 う~ん……。

 どんどん不安が広がってくよ~~っ!




「姫様。お疲れのところ恐縮(きょうしゅく)ですが、お部屋で少々お待ちくださいますか? まずは私から、国王様にご報告して参りますので」


 お城に着いた途端、鳥さんにお願いされて、私は今、『姫様の部屋』で待機中ってワケなんだけど……。

 天蓋(てんがい)付きベッドとか、アンティークっぽい装飾の家具とか調度品ばかりで、なんだか落ち着かない。



 私の部屋、もっとシンプルだから……。

 女の子っぽいところを()げるとすれば、ぬいぐるみがいくつか置いてある……って程度かな。 



 ぬいぐるみはねぇ……あのもふもふ感がねぇ……(たま)んないんだよねぇ。


 やっぱぬいぐるみは、抱き心地いいのが一番だと思うんだよ。

 ふわふわでもっふもふで、ギュッと抱きしめたくなっちゃうようなのが。


 抱き枕としても優秀だし、話し相手にもなる(ちょっとアヤシイ?)しで、部屋には欠かせない存在だよね!


 難があるとすれば、洗濯するのに気を遣うところと、痛んじゃったら修復が難しいところと……えーっと、あとは……。



 ――なんてことを考えてたら、いつの間にか顔が百面相(ひゃくめんそう)しちゃってて、ハッと我に返る。



 ……いけない、いけない。

 今はぬいぐるみのことを、呑気(のんき)に考えてる場合じゃなかった。



 私は、腰掛けたベッドで足をぶらぶらさせながら、深々とため息をつく。


 待てと言われても、慣れないところじゃ気持ち的に(くつろ)げないし、暇をつぶせるアイテムもない。

 いい加減飽きて来て、私は思わず独り言を漏らした。 


「鳥さん、遅いなぁ……。私の話、信じてもらえなくて()めてる……とかじゃ、なきゃいいけど……」



 ……私、これからどーなるんだろ?


 一応、『姫様』だと信じ込んでるのは鳥さんだけで、(みずか)ら『姫様』を名乗ってるワケじゃないんだから、罪人とかにはされないだろう……とは思う。


 でも、『姫様』じゃないってわかったら、きっと、このお城からは追い出されちゃうんだろうし……。

 そうすると、この先、見知らぬ国でたった一人……どーやって生きてけばいーんだか……。


 あぁ……なんかもう、前途多難(ぜんとたなん)だなぁ……。



 考えなきゃいけないことが多過ぎる。

 多過ぎて、なんだか疲れがどっと出て……私はベッドに、仰向(あおむ)けに倒れ込んだ。


 すると。

 ドアをノックする音がして、次に、鳥さんの声が聞こえた。


「姫様、お待たせいたしました。国王様がお会いしたいとのことです。お召し物を着替えましてから、共に参りましょう」

「……え? お召し物を着替えてから――って、わざわざ着替えるの? この服のままじゃいけないの?」


「そちらは……国王様にお会いするには、少々ふさわしくないと思われるお召し物ですので……」


 困ったような鳥さんの声色に、『そりゃそうか』と思い直し、私はベッドから体を起こした。


「でも、お召し物って言われても……。えっと……?」


 私は辺りを見回し、クローゼットらしきものを探した。


 それはすぐに見つかったけど、ごくごく普通のサイズ。

 すごく意外で、私は思わず目を見張った。



 お姫様のクローゼットって言ったら、もっとこう……ドレスがずらずらずらーっと並べられてるような、大きなものを想像してたんだけど……。



 そう思いつつ、クローゼットに手を掛けると、


「姫様、衣装部屋にご案内いたします。国王様をお待たせしておりますので、お早く願いますぞ」


 とかって、鳥さんに()かされてしまった。



 ……え。

 衣装部屋……?



「えーーーっ!? 服だけのための部屋があるの!?」



 もっと大きいクロ―セットとか、そーゆーレベルでもないのね?


 ……そうですか、部屋ですか……。

 さっすがお姫様、って感じ。



「姫様? いかがなされました?」

「――あ、ううん! 今行くから、ちょっと待って!」



 お父さんに会うってだけで、いちいち衣装部屋なんかに行って、着替えなきゃなんないなんて……。

 姫様って、大変なんだなぁ……。



 私は顔も知らない(……いや。似てるってゆーなら、私と同じような顔なんだろうけど)姫様に、心底同情したくなった。

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