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桜咲く国の姫君~神様の気まぐれで異世界に召された少女は王子と騎士見習いに溺愛される~  作者: 咲来青
第4章 ルドウィン国の王子

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第10話 ザックス王国のゆくえ

「ほ……ホントなんですか、それ? 思い違いや思い込み……ってことは、ないんですかっ?」


「ない。……と言いたいところなんだが……実際に試してみたのは、弟のフレディと、母に対してだけでね。その時、弟の傷は一瞬で消えてしまったんだが、王室外から輿入れした立場である母の傷は、数日経っても消えなかった。この力は、初代の血を継ぐ者以外には効かない――意味をなさない力なのだと、がっかりしたというわけさ」


「で、でも、絶対とは言い切れないんじゃないですか? たまたま、お母様には効かなかった――ってだけかも知れないし!」


「それはそうだが……。初代国王の血は、今ではかなり薄まってしまっているからね。昔の能力者ならまだわかるが、現代の能力者である私に、そこまで強大な力がそなわっているとは、到底思えないよ」


「でっ、でもそれはっ、そんな気がするってだけのことでしょ? ハッキリしたことがわからないんじゃ、何の証明にもなりませんよ!」


「……まあ、そうだね。君の言う通りかも知れない。――だが、そうだとしても、私にどうしろと言うんだい? 傷を負った人間を見つけたら、手当たりしだいに舐めて回って、治るかどうか確かめろとでも?……そんなことはまっぴらだが、そうやって確かめてみる以外に、証明する手立てはない。……とすると、血族以外の人間にもこの力が通用するか――なんてことを確かめるのは、御免被(ごめんこうむ)りたい。そういう結論に達するのは仕方のないことだと、君だって理解してくれるだろう?」


「そ……それは、まあ……」



 能力の通用する範囲を確かめたいからって、負傷者の傷口舐めて回れ――なんてゆーのは、あまりにも酷よね……。

 それにちょっと……相手がいかついおじさんとかだったら、なんかちょっと……申し訳ないけど、気味悪いしなぁ……。



 危うく、その場面を想像しそうになり、私は慌ててぶるぶると頭を振った。


「じゃあ、この話はとりあえず置いときましょう! 確かめようのないことを、うじうじ考えてたってしょーがないし!」

「……まあ、べつに構わないが……」


 王子は難しい顔で腕を組み、私をじっと見つめる。


「君は、本当に何者なんだい? 話してくれるまで待つとは言ったものの、やはり、気になって仕方がないよ。リアに似過ぎているのも気になるしね。……リアの父上であるクロヴィス様は、亡くなった妻――王妃以外に興味をお持ちにならず、臣下の者達も困り果てていると聞くから、母違いの姉妹――という線は、まずあり得ないだろうし……」


「あー……。なんかそーゆーこと、セバスチャンも言ってましたね」



 国王様と結婚したい人なんて、きっとたくさんいるだろうに……。

 それでも、未だに再婚する気になれないってことは、姫様のお母様が、よっぽど素敵な人だったってことなんだろうけど。


 ……う~ん……。

 でも、跡継ぎが一人だけしかいないってのは、この国の将来のこと考えると、そりゃー心配だろうなぁ。

 姫様に何かあったら、跡継ぎがいなくなっちゃうってことだもんね。


 ……って、ん――?


 ……あれ?


 そー言えば……姫様は一人っ子で、王子は確か長男――第一王子のはずよね?

 姫様と王子が結婚した場合、この国の王は、王子ってことになるの?

 それとも、姫様が女王になるのかな?


 でもそーすると、ルドウィンの国王は……第二王子に?



「王子。今ちょっと、疑問が浮かんじゃったんですけど……訊いてもいいですか?」

「――ん? ああ、構わないよ」


「王子と姫様が結婚することになったら、この国は、王子が継ぐことになるんですか? それとも姫様?」

「それは……まあ、普通の場合なら、リアが継ぐことになるだろうね」


「……普通の場合なら?」


「この国の正統な後継者はリアだから、彼女が女王になって国を(おさ)めるのが自然なんだが……リア自身がそれを望まなかったり、継ぐにはふさわしくないと判断された場合は、夫になる男が継ぐとされているんだ」


「……なるほど。後継者本人の希望や、資質次第ってことなんですね。……あ、でもそれじゃ、王子の国――ルドウィンの国王には誰が? 弟さんが継ぐんですか?」

「ああ、そうだよ。フレディが継ぐことになる」


「えっと……でも、王子は姫様との婚約は解消……したいんです、よね? そうすると、王子がルドウィンを継ぐことに――?」

「……まあ……そうだね。リアとの話が白紙に戻れば、そうなると思うよ」


「……ふむ。……そっか……」



 だとすると……。

 姫様は、女王になりたいって思うようなタイプじゃないと思うから、どっちにしろ、王子はどっちかの国の国王に――ってことになるんだろうな。



 ……姫様、か……。



 姫様が戻って来なかったら、この国はどうなっちゃうんだろ?

 私が……もし……だったとしても、今更、この国の女王なんて無理に決まってるしなぁ。


 でも、姫様がこの国に戻って来る保証なんて、どこにもないし……。


 だとすると、この国の未来は……?

 ザックス王国は、いったいどうなっちゃうの?

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