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幼馴染のメイドにようこそ!

そして2つ目

幼馴染が2人出来た事だ。

まず1人目の幼馴染。



4歳の誕生日を迎え誕生パーティの最中

ペットの皇帝闇木兎インペルホーウル・ダークウルダに連れられ席を外し

庭に出ると使用人棟(その名の通り使用人の下宿)

の近くまで連れていかれた。

こんな所に何の用かと思って周りを見渡すと

木陰からパーティ会場の方を隠れながら

覗いている女の子がいた。

何してんだろうかと思っていると

ウルダが頭を突いてきた。

何かと見上げるとクイッと顎で行けやとでも

言いたげな動作。むしろそうとしか見えない。


「へーへーわかりましたよ…っと。」


その女の子に近づきつつ声をかける


「こんばんは。こんな所で何してるの?」


「キャッ!え?え?どこ?誰??」


おっと驚かせてしまったか。

というかすぐ横にいるのになぜ「どこ」なのか。


「ここだよ。君から見て右隣にいるでしょ?」


「え…えーーと……んん……?えっ?ラ、ラ、ラシッド様!?ど、どうしてこんな所にいるん…いらっしゃるんですか!御誕生日のパーティに参加なさっていたのではなかったのですか…?」


振り返り俺の正体に気付いた女の子は

使用人の子らしくかなりテンパりながらも

そう聞いてきた。

俺は初めて見る子だな。

同い年くらいに見えるんだがどうなんだろ?


見た目だが……かなり地味だ。

髪は肩につくかつかないかの長さのボブカット

髪色は暗くてわかり難いが深緑のようだ。

大きな丸眼鏡をかけているのだが

前髪が長く目にかかってしまっていて

こちらからでは相手の目が見えない。

服装は深緑のシンプルなワンピース。


「驚かせてごめんね。夜にこんな所にいたから気になって。どうかしたの?」


「あっ…いえ、その…あの…あ!お、お誕生日おめでとうございます!」


「あ、あぁ、うん、ありがとう。パーティの方見てたけど参加はしないの?見た所同い年くらいに見えるけど…」


「えっと、私はまだ使用人見習いなので仕えるべき主人であるラシッド様やルーベン様に失礼があってはいけないので参加する事は出来ません。こうしてお話をする事も本当はいけないのですが…す、すみません…。はい…私も今年4歳になります。えっとそのすみません!宿舎に戻ります!」


「え?いや、別に構わないよ。周り大人ばかりで歳の近い話し相手いないしせっかくだし話し相手になってよ。」


「えっ!?そ、そんな私如きがいけません!」


「いーからいーから。所で君の名前は?」


「いや、でも…そういう訳には……」


失礼があるといけないとか言いながら

意固地な奴だな。めんどくさい。

ここは主人(仮)として強権発動だ。


「主人が暇してるんだ。暇つぶしに付き合うのも仕事の内だ。つべこべ言わない!」


「ハッハイィィィィ!」


同い年だと猫かぶるのもアホらしくなってきたな

ここは強気(素)でいこう。そうしよう。

決して面倒だとか疲れたとかではない。


「んで名前は?」


「は、シ、シエルと申します。」


「シエルか。ずいぶん大きな眼鏡かけてるけど目が悪いの?前髪もずいぶん長いけど。」


「あ、こ、これは事情が…いえ…そ、その…人と目を合わせるのが苦手でして…すみません…」


なんだ人見知りなのか。

そんなんで使用人として大丈夫なのだろうか。

というかこの手のキャラは眼鏡を外して

素顔を晒すと案外かわいいって

相場が決まっている…はずだ。きっと。

そう思うと素顔が見て見たい。

ええい、強権発動だ!


「ちょっと眼鏡外して前髪上げてみてよ」


「えっ!いや、そのそれは…で、出来ません…」


「いいじゃん、ちょっとだけ!」


「す、すみません、それだけはご容赦下さい…」


押しに弱そうに見えてなかなか折れないな。

こうなりゃ不可抗力だ。

いけ!ウルダ!!君に決めた!!

ちょっ痛い!なんで飛ぶとき爪立てたの!?

ため息が聞こえた気がしたが気のせいだ。


「えっあっ!?ダメ!!」


音も出さずスッと眼鏡を掻っ攫うウルダ。

流石俺の子!できる子!!

そしてシエルと目が合う。深紫の綺麗な瞳だ。

顔は丸顔だが目鼻立ちは整っている。

将来は美人と言うより可憐になりそうだ。


「おー思ってた以上にかわいいね。」


「えっ!?あれ!?なんで!?」


おや?なんでか取り乱して愕然としてるぞ?

眼鏡取られたことに関しては

最早気にしていないようだ。


「どうかしたの?」


「あの…その大丈夫ですか……?」


「え?何が?なんか不味い?」


「なんで効かないんだろう…本当に何か変わったところは見えないし…おかしいなぁ…けどまさかそんな事があるなんて……」


何やらブツブツ言ってるな。

しかもこれ、素が出てしまって

敬語とか頭からすっぽ抜けてる。

それに主人(仮)の俺の存在すら抜けてる。


「おーい?シエルさんや。何があったんだ?」


「!?あっす、す、すみません!えっとそのですね…わ、私の目には軽微なのですが魅了の能力が生まれつき備わっていまして…目を合わせてしまうと魅了してしまうのです…なので前髪で目を隠して眼鏡を普段からしてまして…。」


ナ、ナンダッテー!?

まさか魔眼能力まであるなんて!!

何故効かなかったのかは知らんが

この際ほっとこう、それよりも魔眼だ。


「なんでかはわからないけど僕には効かないみたいだね…ウルダはどう?なんか変わった所ある?」


ウルダに聞いても特に変わった事はないとの反応


「やっぱり大丈夫みたいだ。魅了しちゃう対象って大人も子供も人間以外も??」


「はい、男女問わず魅了していまいます…。」


「魅了されるとどうなっちゃうの??」


「えっと…照れている状態…とでも言いましょうか…孫を可愛がる祖父母のような感じになってしまいます。」


ほほぅ…デレデレしちゃうのか…。

これは意外となかなか……ふむ。


「よし!んじゃ今からちょっと一緒にパーティに参加しようか。ついて来い!ウルダも行くぞ!」


「え、ちょ…ま、待って下さい!手!手を離して下さい!あと眼鏡を返して下さいぃぃぃ!!」



そしてシエルと共に舞い戻ったパーティ会場。

父親の所へシエルを引っ張ってズンズン進む

周りはそれを見てざわざわしているが

知ったこっちゃない。


「どこ行ってたんだラシッド。主役が抜け出したらダメじゃないか。それでその後ろの子は…」


「父さま!この子を、シエルを僕付きのメイドにして下さい!」


「「「え!?」」」


父親とシエルとオーディエンスの中の1人から

驚きの声が上がった。

オーディエンス誰だ。シエルの親か?


「ちょ、ちょっと待ちなさいラシッド。なんで突然そんな事を言い出したんだ。順を追って話してみなさい。」


「あ、すみません、そうですね。この子はシエルと言うのですが軽微な魅了の魔眼を持っているようなのですが僕には全く効果がありませんでした。そんな魔眼を持っていると本人も大変でしょうし、僕も同世代の友達がいないので良き友人になれるのではないかと思ったのです。」


「何?ラシッド、お前魔眼が効かないのか!?」


「ええ、何故かはわからないのですがこの通り効きません。シエル眼鏡を外して僕と目を合わせて下さい。」


と言ってからシエルの方へ向くと…

下を向いて膝を抱えて蹲っている。

あ、そうか眼鏡まだウルダが咥えたままだった。


「ちょっとシエル立って立って!」


「す、す、すみません!こんな大切な日に私みたいな見習いが入ってきてしまって本当に申し訳ありません!」


あーもーめんどくさいなぁ!

引っ張り上げて顔を覗き込む。

深紫の瞳が盛大に潤んでいる。

と言うか泣いている。

あーやり過ぎたか……?

まぁ魔眼持ちって事で

色々制約を付けられていたのだろう

いきなりこんなとこに連れ出したのは

シエルにとって酷だったかもしれないが

俺が知ってしまったからにはもう遅い。

人生諦めと切り替えが大事なのだよ。うむうむ。


しばし見つめ合う。


ゆっくり20秒程数えて父親に向き直る


「どうです?効かなかったでしょう?先ほどの件考えて頂いてもよろしいでしょうか?」


「あ、あぁ…お前がそこまで言うって事はそれなりの考えあっての事なのだろう?私としては構わないが…。」


ん?何か含みのあるお言葉。

視線が横に流れている。

そちらに目を向けるとそこにいたのは…


俺の母親とメイド長のステラトットさん

通称ス……トットおばさん。

この人のクッキーか絶品なのは

言わなくてもわかるな?感じろ。察せよ。

話がそれた。

あと1人は見た事ないがメイド服を着ている

20代半ばの女性だった。

その3人が何やら口早に話をしている。

女3人寄ればかしましいとはこのことか。

おそらくだがシエルの母親だろう。

髪は深緑だが瞳はブラウンだ。


ス…トットおばさんとシエルの母親はわかる。

メイドを束ねる長と渦中の娘の母親だ。

何故そこに俺の母親なのだろう。

うちの主人は父親ではないのだろうか…


父親の家の中での威厳なんてどこの世界でも

大して変わりはないのさ、きっと。世知辛いね。


ともかく3人の緊急会議は5分ほどで終了し

結果は可決。票数はしらんが賛成多数。


そうしてシエルが俺の幼馴染兼

専属メイドになったのだった。





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