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死者の記憶を継ぐ者 〜巻き込まれ転生で幽霊になった俺は、王女に未来を託す〜  作者:
逃げた者が戦う準備を整えた章

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張り付く影

俺は、魔女に報告をしに行く事にした。


研究室に入ると、相変わらず妙な匂いがする。

爆薬さんとミーヤが、何やら議論していたが――今はそれどころじゃない。


俺はさっき見た事を伝えると魔女が、手を止める。


「王都の使者?」


頷く。


話を聞いた魔女は、少しだけ目を細めた。


「第一王女……ね」


それから、少し考える。

沈黙。しかし焦りは無い様だ。


「……この際」


ぽつりと、呟いた。


「善意は受け取りましょう」


即断、か。


「私からエリシアには話しておくわ」


軽い。だが、その裏で何を考えているかは読めない。


……ここからは所謂、“政治”って奴だな。


俺が口を挟む事じゃない。

話は聞いているが、政治経験なんて無いし。

駆け引きってのも、あるんだろう。

誰を信用するか。

どこまで受け入れるか。

どこで線を引くか。


そういうのは――エリシアや魔女の領分だ。


「ポチ」


魔女が、ちらりとこちらを見る。


「変な事はしないでよ?」


……バレてるな。

俺は、肩をすくめる。

完全に何もしないって訳にもいかない。


王都から来た連中。

第一王女の使者。


善意、ねぇ。


その言葉を、素直に信じる程――

俺はお人好しじゃない。


「……」


俺は、静かに部屋を出た。

そして――城門の方へと戻る。

あの連中に、張り付くか?


そうすれば、情報収集は出来る。

表では見えない事も、見えるかもしれない。

幽霊の利点は、そこだ。


見えない。聞かれない。気付かれない。


……いや。たまに気付く奴も居るけどな。


まあ、それはそれだ。

俺は、ゆっくりと空を滑る。


第一王女の使者。

その“善意”の中身――

少し、覗かせてもらうか。

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