表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死者の記憶を継ぐ者 〜巻き込まれ転生で幽霊になった俺は、王女に未来を託す〜  作者:
逃げた者が戦う準備を整えた章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/67

善意の使者

ふらふら〜。

俺は、特にやる事も無いので街をふらついていた。

エリシアの護衛はユーシアと盾さん達が居るし、爆薬さんはミーヤと研究室で騒いでいる。磁石さんは街道の地図作りに夢中だし、守くんはユーシアの後ろで訓練の真似事をしている。


ネルは……またどこかへ行ってしまった。

あいつは本当に自由だ。

となると、俺は完全に手持ち無沙汰だ。

まあ、街の様子を見るのも大事か。


城壁の方へ漂って行く。


職人達の掛け声が響いていた。

石材が積み上げられ、足場が組まれている。

新しい防御塔の骨組みも見える。


なるほどな。


城壁の強化工事が、どんどん進んでいる。

防御力を上げてるんだな。

王都と事を構える可能性もある以上、守りは固めておかないといけない。


ふっと、城門の方に目をやる。


……ん?


やけに綺麗な馬車が止まっている。

この街では珍しいくらい豪華だ。


黒塗りの車体。金の装飾。

護衛の騎士も、装備が整っている。


貴族か?


俺は、ふわりと近付いて覗き込んだ。

馬車の中では、二人の男女が話している。

服装からして、役人か貴族の使者だろう。


「私共が第二王女に派遣されるとは」


男が、少し困った様に言った。


女の方が肩をすくめる。


「そうね」


紅茶のカップを持ちながら、淡々と答える。


「私達は善意の為に派遣されたのよ」


善意、ねぇ。

男は小さく息を吐いた。


「しかし……第一王女殿下も何を考えているのか」


女は、くすっと笑った。


「単純よ」


「敵対するより、味方にするって話」


なるほど。


王太子と対立しているって事か。

男が腕を組む。


「第二王女も立場がはっきりしませんからね」


王位争いの渦中。

敵にも味方にもなり得る存在。

女は窓の外を見た。

城壁工事の様子を眺めながら言う。


「まあね」


「でも様子を見て、上に上がろうって話は聞かないわ」


「むしろ……」


少し考える。


「地盤を固めてる」


男が頷く。


「辺境の統治力を高めていると」


「そう」


女は笑った。


「だからこそ、今のうちに関係を作るのよ」


「貸しを作る、と」


「そういう事」


……なるほどな。


第一王女の使者って訳か。


俺は少し考える。

敵……では無さそうだな。

少なくとも、今のところは。


王都から来た人間だ。

何か裏があっても不思議じゃない。

俺は、ふわりと城の方へ向きを変えた。


これは――


エリシアと魔女に、報告した方がいいな。

第一王女の手が、辺境に伸びてきた。

善意の顔をして。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ