栗の木の約束
ぽんっ!
……弾き飛ばされた。
なるほどな。こいつの記憶を、感じ取ったぞ。
貧しい村の出身。食うだけでも大変だった幼少期。働ける様になってからは、貴族屋敷での酷い仕打ち。
そこから逃げ出して、仲間と共に盗賊家業か……
最後の意識は――もっと、分け与える。
だった。
お前が隠した場所は、教えてもらったぞ。
使い道は、ちょっと違うかも知れないが……
エリシアの為になら、俺はそれを使わせて貰うぞ。
さて次の場所へ、向かうか。
この辺りの筈だが……
これ、かな?
お前が植えた、栗の木。
食べるのに困らない様にと、残した物か。
かなりの、大木になってるぞ。周りにも拡がって栗林になってるぞ!また墓参りしてやらんとな。
その背中にある、崖。
根城の一つ。……土の中に、潜ってみるか。
ウヒョヒョ!
あったぞ!金貨に、銀貨。
今の硬貨とは、形が違うが……金は金だ。
かなりの金額、溜め込んでいたな。
これを、エリシアへ渡せば、役に立つだろ。
俺は霊鋼をマジックハンドの形に変え、古びた金貨を掴むと、無理やり土の中から引っ張り出した。
……よし。
これを魔女に見せれば、動いてくれる筈だ。
「あら。お帰り、ポチ」
魔女が振り返る。
チャリ〜ン……
俺は、マジックハンドで掴んだ金貨を机の上へ落とした。
「ん?」
魔女が、目を細める。
「金貨?随分と古そうな……」
手に取り、裏表を眺める。
「……如何したの、これ?」
俺は、指差し板を使う。
魔女の眉が、ぴくりと動く。
「何々……この街の噂の盗賊に、憑依?」
続きを読む。
「そいつの隠した宝を、見つけた……ですって!?」
顔が、綻ぶ。
「ふふふ」
小さく、笑った。
「やったわね、ポチ」
金貨を握る。
「掘り出す為の人員を手配するわよ!」




