墓標の下
俺は、さっきの噂話について調べ始めた。
冒険者ギルドの三階にある書庫室へ忍び込む。人の目は気にしなくていいが、物を扱うとなると話は別だ。
霊鋼をマジックハンドの様に変形させる。
ページをめくる。
資料を、読み漁った。
……如何やら。
その盗賊は、実在した人物らしい。
何でも襲う様な盗賊では無かった様だ。
金持ちの貴族や悪徳商人から金を奪い――貧しい民へ、その金をばら撒いていたらしい。
うーん……。
鼠小僧的な奴、だったのか。
最後は、当時の領主の正規軍に包囲され、この地で処刑されたとある。
隠した宝の場所を吐けば、命は助ける。
そう持ち掛けられたらしいが――それを、蹴った。
話を読む限り。良いやつ?だった様だ。
この地でも有名人で、嫌いな奴はあまり居ないらしい。むしろ、伝説的な存在として語られている。
そして――そいつの墓も、この地に有る。
場所も、載っていた。
……行ってみるかな。
ここか。街から、かなり離れた場所の丘の上。
立派な墓らしき、大きな石が建てられている。花も添えられていて、今も大切にされているんだな。
来てみたものの……どーするか?
引っ張られる感じは、無い。
それとも、五十年以上も前の事だからか?
俺が引っ張られたのは、亡くなってからすぐだったしなぁ。
……土の中まで、寄ってみるかな?
俺は、そのまま墓標の下へと沈み込んだ。
沈み込んでみると――そこには、骨があった。
……やっぱ、気持ちのいいもんじゃ無いな。
静かに、土の中に横たわっている。
ん?
ゆっくりと……引き寄せられていく感じがする?
俺の意識が、骨の方へと吸い寄せられる様に――




