手の空いた幽霊
新たな仲間も加わったお陰で、エリシアの護衛にはユーシアが張り付く様になった。
その分、俺は少し時間が出来る様になった訳だ。
護衛に就くユーシアの姿は中々格好が良い。
ああいう“守る為に居る”っていうのが、本人の性分に合っているんだろうな。
ミーヤの方も研究室に籠りっぱなしだ。何やら資料を読み漁ったり、書類を書いたりしている。
時折、試験管やビーカーが宙に浮いているのを見掛けるが……あれはもう慣れた。
ネルはと言えば、また仲間探しにどこかへ行っちまった。
あいつはそういうのが、好きなのかもしれないな。
そして俺は俺で、この辺境の街を更に探索中だ。
どうも人口は、二万五千程らしい。
主な産業は交易の中心地としての流通と、魔物を狩って得られる肉や魔石の加工。
冒険者も多く、外からの流入もそれなりにある。
つまり――そこそこ発展している街、って事だ。
エリシアは、きな臭くなって来た政治情勢の対策に追われている。この街の防御力を上げる為に、各所へ指示を出して奔走していた。
俺でも、何か手伝える事が無いか。そう思って街中を探索している訳だ。
と言っても、すぐに見つけられる様な物でも無いが。
……何が、必要なんだ?
戦力か。
資源か。
それとも――仲間か?
冒険者ギルドか。中を覗いてみるか。
おー……ザッ!って感じの冒険者ギルドだな。
中には、獣人族らしき受付のお嬢さん達に
壁にはびっしりと貼られた依頼内容の掲示板。
そして、その前でたむろする荒くれ者風の冒険者達が、酒を交わしながら談笑している。
……まんまだなー。
「はぁー……なんか儲かる話、ねーかなー」
「そんな都合の良い話、あるかよ!」
テーブルの一角で、そんなやり取りが聞こえてくる。
「昔からここの噂の“盗賊”の話、本当かな?」
「はぁー?それを探してた連中が、何十年も探しても出てこねーんだぞ?ただの噂話だよ」
「でもよぉ……」
酒を煽りながら、一人が笑う。
「あいつが寝てる墓の下で、叩き起こして聞いてみたいもんだぜ」
……墓?
少し、気になるな。




