役割
「猫族の女戦士さん」
魔女がユーシアを見る。
「名は?」
「戦士のユーシアだ」
即答、か。
「名は覚えている様ね」
名簿に軽く書き込む。
「他に覚えてる事は?」
「んー……」
少し考えてから。
「主人を守る事!」
胸を張る。
「他は思い出せない」
「……成る程ね」 魔女が頷く。
「そちらさんの名は?」
視線がもう一人へ。
「……貴女はドワーフ族ね」
「錬金術師のミーヤ」
小さく答える。
「他に覚えてる事は?」
「……人の役に立つ事」
「……そう」
魔女が少しだけ微笑む。
「ミーヤは私の部下として」
一拍。
「研究室を手伝ってもらおうかしら」
「……はい」
静かに頷いた。
「ユーシアさんは」
今度は戦士へ。
「私の主人――」
「エリシア様の護衛は、如何かしら?後で紹介するわ」
「……任された」
迷いは無い。
俺は二人の様子を見ていた。
少しだけ顔が――和らいだ気がする。
錬金術師はドワーフだったのか。
……まあ二人とも嬉しそうだからよかったな。
後は細かい事は、追々考えるとしますか。
……なんかこの魔女も、ざっくりだなぁ。
魔女は、二人をエリシアの元へ紹介しに向かった。
紹介されたユーシアは、その場で片膝をつき、エリシアへ忠誠を誓った。そして、そのまま護衛の任に就く事となる。魔女からは後ほど、霊鋼を渡す事も約束されていた。
一方でミーヤは、そのまま研究室へと案内された。
扉を開け、中に入った途端だった。
……はしゃいでいる。
試験管やらビーカーやらを次々と手に取っては、興味深そうに眺めている。いや、正確には触れている、のか。
ミーヤにとっては思い入れが強い物なんだろう。
だが他の人間から見れば、試験管やビーカーが宙に浮いて動いている様にしか見えない筈だ。
……傍から見たら、完全に怪奇現象だな。
と、俺は思った。




