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第三章 エピローグ 

 「光輝燦然こうきさんぜんのリゲル。この者を新たな勇者として認める」


 ヘヴェリウス国の王へと即位したばかりのアルタイルが、リゲルが勇者になった事を正式に認めた。



 新調された白金の軽鎧に身を包んだ光輝燦然のリゲルが深々と頭を下げ、ドワミの父から届けられた『聖剣・ライジングサン』を受け取る。


 『光輝燦然』の意味は強く鮮やかに光り輝くってことなんだけど、別にリゲルの体が光り輝くから付けられた訳じゃない。


 最後まで二つ名なんて要らないと言い張ったリゲルに、アルタイルが太陽鳥サンアタックに耐えた栄誉としてこれにするわと勝手に決めたのだ。



 リゲルがライジングサンを鞘から抜き、天に掲げると来賓客達から拍手喝采が起こり、女性達は黄色い悲鳴をあげて倒れる者もいた。




 エルフ国への卒業旅行から約6ヶ月。私とリゲルはヘヴェリウス城の大広間に召喚されていた。


 リゲルは勇者として、私は賢者としてヘヴェリウス国に認められる日が来たのだ。


 大広間には来賓客として、エルフ国の女王として即位したムム・エルフィンや元女王のミミ・エルフィン。


 それにアークトゥルス騎士魔法学校のアケルナル剣聖や氷の監獄(アイスプリズン)から救出されて若返ったシリウス校長。


 

 シリウス校長の氷の監獄(アイスプリズン)は、私の頭の上の太陽鳥サンバードの雛のルクスが解除してくれた。


 最初どうやって太陽鳥サンバードの涙を集めるか悩んだのよね。


 まさかルクスを無理やり泣かす訳にもいかないし……だけどある日突然ルクスが凍ったままのシリウス校長の頭の上にとまって、じゃーっと粗相をして……



 うん。まぁおしっこをお漏らしって奴ね。



 氷の監獄(アイスプリズン)の解除は、太陽鳥サンバードから出た涙でもおしっこでもよかったらしくてあっさり解除出来た。


 あ、シリウス校長には内緒ね。おしっこで解除されたなんて言えないよ。


 それよりも驚いたのが、太陽鳥サンバードのおしっこのせいか、氷の監獄(アイスプリズン)の解除の効果かわからないんだけど、若返りの効果が出てしまったみたいで……


 つまり、シリウス校長はめちゃめちゃ綺麗なお姉さんになっていた。


 


 他の来賓で知っているのは、お友達枠としてカペラ、デネブ。親族枠としてパパ、ママ。


 大臣とか偉そうな人もいっぱいるけど、見た事ないからどれが誰だかは知らない。

 


 あ、後ろの方にハダル神父もいるね。この後最後の女神の祈りがあるからその為かな。


 流石に城の大広間で変な事しないよね? 怪しんで私がギロリと睨むと、ハダル神父が何かを隠した。


 コイツ……何かする気か。なんて事を考えていたら、アルタイル王が私に向かって前に出ろと手招きする。



 「雷霆らいていの女神スピカ。この者を新たな賢者として認める」


 世界樹の作った薄緑色の衣に身を包んだ私がは、アップゥから届けられた『フルムーンスタッフ』を受け取って頭を下げる。


 世界樹の枝を杖として加工し、『満月石フルムーンストーン』を装飾してある。


 この、『満月石フルムーンストーン』は、千年間という長い間、妖精達が満月の日だけ世界樹の頂点に掲げ、満月の魔力を貯め込んだ宝石らしい。


 杖を見た魔力を持つ人なら誰しも唾を飲む程に恐ろしい魔力を秘めている。


 伝説の武器の一つとして数えられてもおかしくない。



 あの色んな場所に放り投げまくった『堅い杖』がこんな素晴らしい姿に……うう、雑に使ってすいませんでした。;;



 私がリゲルの真似をして『フルムーンスタッフ』掲げると、来賓客達から拍手喝采が巻き起こる。ちなみに男子からの黄色い声は一つもなかった。




「この者達に今一度盛大な拍手を」


 アルタイル王がそう言うと、私とリゲルに向かって来賓達から盛大な拍手が送られた。






 この日。私達は勇者と賢者になったのだ。





「さて、皆の者に今日はもう一つ報告がある。ムム・エルフィン女王。前へ」


「はい」


 アルタイル王がエルフ国の女王ムム・エルフィンを壇上へ上がらせ、すっと手を握る。


 すぅーっと息を一回吸うとアルタイル王が驚きの発表をする。

 

「俺はエルフ国女王ムム・エルフィンと婚約した。我がヘヴェリウス国とエルフの国は今後一つの国となり、共に歩んで行くことをここに宣言する。国境は直ちに解放し、両国の兵士達は魔王軍への侵攻に備えよ」


 静まり返る会場。衝撃の出来事すぎて皆口を開けて驚いている。


 両国の大臣達なんてこれから与えられるだろう大仕事の事を考えて、泡吹いて倒れちゃってますよ。



「そもそも、何故エルフと人がこんなにも長い間争っていたのか……同じ人間同士、争う必要など全く無いではないか。それを俺はムム・エルフィンとの間に子が出来たことで確信した」 


 へっ今なんて?


 子供出来たって言った?


 は? 



「産まれてくる我が子の為にも、エルフ国との争いは止め、一つの国となることを皆に協力して貰いたい」



 頬を染めてお腹を撫でるムム・エルフィン。


 ミミ元女王とヘヴェリウス元国王が肩を抱き合って、うれし泣きをしている。


 そこへ私のママも参加して一緒に泣き出した。


 ちなみにパパはミミ元女王にビンタされて泣いていた。



 始めは動揺していた両国の大臣達も、アルタイル王の熱い決意を聞き、共に歩んで行く道を模索する事となった。



 国同士が一つになるという事がどんだけ大変かなんて、政治のド素人の私にはよくわからないけど、この幸せの空気に包まれた会場が、心配しなくても大丈夫だと証明していた。



「皆の者突然の発表をし会を中断してすまなかった。それでは最後にリゲルとスピカのトレミー様への祈りを行い、その後は晩餐会とする。ハダル神父前へ」



 はぁ。ついにこの時が来たか。こんなにいい空気なんだから絶対変な事はやめてよ。


 

 ハダル神父が壇上に上がり、リゲルを呼んだ。


「リゲルよ。様々な困難に打ち勝ち、遂に勇者となりましたね。さぁ守護女神トレミー様へどのような勇者になるのか祈りなさい」


「俺の願いは変わらない。世界を必ず平和にし、産まれてくる子達が涙を流さない世界を作る」



 大広間に設置された守護女神トレミー様の像から熱風が吹き。女神の像はキスをせがむ形で目はハートになった気がした。


 来賓客達は新しい勇者の素晴らしい願いに盛大な拍手を送った。



「ぷよぷよぷよ~ん」


 ハダル神父が立ち上がり、仲間になりたそうにこちらを見ている。


 仲間にしますか?


    はい

 ニア いいえ



「そんなー(涙)お久しぶりです。ハダル神父ですよ。スピカさん」


「ああ、どーも願いは賢者です。じゃあよろしく」


 すーっと逃げようとする私。


「いいんですか?」


「何がよ」



 ハダル神父が私にコソコソと耳打ちする。


(あなたの願いが実は【盗賊シーフ】だって事です)


(は?)


(忘れてしまったのですか? あなたの願いは【盗賊シーフ】だって事を……)


(え、賢者じゃ……ああああああああああああ)


(そうでしょう? ここでしっかり祈っておかないと、スピカさんあなたは【盗賊シーフ】の賢者ですよ)



 そうだ。すっかり忘れていた。


 3年前の高等学校入学式の時、爆竜奮迅レグルスの早さに対抗するために【盗賊シーフ】を祈ったんだ。


 流石というかよく覚えてるなー。


 てっきり賢者を祈ったもんだと勘違いしてた……どうりですばやさが上がりやすい気がしてたよ。


 もしかして古代魔法が、いまだに使えないのもそれが原因?



「わかりました。ハダル神父。よろしくお願いします。ただし変な事はしないで下さい。いっぱい人がいるから恥ずかしいので」


 ぶっちゃけもう注目の的になっていて恥ずかしいんだけど。ってめっちゃにっこりしてるーーーーーーーー!!!


 どんだけ楽しみにしてたのよ!!!



「そうですね。色々用意しましたが、これが最後ですから真面目にやりましょう」


「最初からそうしたらいいのよ」


「まっ今回が最後かなんてわかりませんけどね(ボソッ」


「は?」


「いえいえ、いいんですこっちの話ですから」



 こっちってどっちよ。やっぱコイツ黒幕なんじゃね?主にResultの。



「では、雷霆の……ぷぷぷ。これスピカさんが考えたんです?ぷぷぷ。雷霆の女神…プッ女神てwwwwwww」


「真面目に!!!!」


「は、はい。雷霆の女神スピカよ。あなたは守護女神トレミー様へ何を祈り何を願いますか?」


「私の願いは【賢者セージ】。勇者リゲルと共に歩み。世界を平和にします」



 守護女神トレミー様の像からリゲルと同じ熱風が吹き、女神の像は……







 女神の像は……







 何者かの攻撃によって、脆くも破壊されてしまった。



 突然の攻撃により会場内は大騒ぎとなる。


 壊したの私じゃないよ?





 危険察知のスキルが最大で発動し、ただ事ではない事を知らせる。


 大広間の破壊された扉の奥から、冷気と悪寒と邪悪な気配と熱気が吹き込んでくる。


 4種の気配の後ろには今まで感じたことが無いような膨大な魔力。


「いつもお世話になっております。魔王のマイオスです。お楽しみ中の所大変申し訳ありません。招待状が無かったので無理やり来てしまいました。

来た!セーブポイント来た!これで勝つる!

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