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第七死 エルフィン城での晩餐会 前編

 どーも。雷霆らいていの女神スピカ(18歳)です!!

 

 自分で名乗っておいてなんだけど……めちゃ恥ずかしい。


 でも、今はそんなことを言っている場合じゃないみたい。


 何しろ、舞台のど真ん中まで移動してきたミミ女王の暴風が、どんどん強くなってきているんだから。



「スピカ……プラーエ?プラーエ!!!!!」



 うおおおお。なんだか知らないけど。女王めっちゃ怒ってる。


 やっぱ『隕石メテオ』で、城の塔を壊したことがバレちゃったんだろうか……



「かかってきなさい! スピカ・プラーエ!!」

 


 かかって来いなんて言われても、上級風魔法『暴風ストーム』のせいでミミ女王の周囲には近づけない。


 ただ、無策という訳ではなくいくつか手はある。問題はどうやってケガをさせずに退場していただくかって事だと思う。


 例えば女王に真上に上級氷魔法の『氷山アイスマウンテン』を落としたらケガするかもしれない。ってことで×。


 うーん。


 やっぱりここは雷霆の女神らしく、『雷神撃サンダースパーク』でもう一度気絶してもらうのがいいのかな。


 でも正直『雷神撃サンダースパーク』の加減が難しい。


 さっきみたいに上手く気絶させられる自信がない。



「何をしているのですか? 早くかかってきなさい! 来ないなら私から行きますよ!!」

 


 ミミ女王の周囲の暴風が勢力を増しながら私の方へ迫る。さながら小型の台風、もしくは竜巻だ。



「わかりました。じゃあ私もそれで!!!」


「はわわ~なんとスピカ選手!!!ミミ女王の『暴風ストーム』に対して同じ『暴風ストーム』を使用したああ!! 最早舞台の上は大嵐となっております!」



 私も上級風魔法『暴風ストーム』を使い、周囲に暴風を発生させる。


 ミミ女王は時計回りの風向きなので、私は反時計回りの風を発生


 こうなったらどっちが魔力が高いのか正々堂々と勝負してあげるわ。



「何故雷霆の女神のあなたが、風魔法を……まぁいいでしょう。どちらの風魔法が強いか勝負しましょう」


「わかったわ」


 二つの巨大な竜巻が舞台の上でぶつかりあう。より魔力の強い『暴風ストーム』の方が勝つのだろう。


 女王の竜巻が私の竜巻を打ち消そうと何度もぶつかってくる。


 流石に自信満々で参加してきただけはあって、ミミ女王のすごい威力の暴風で私の竜巻は早くも勢力が落ちていく。



 まぁ、そりゃそうよね。



「オホホホホホホホ!どうだ!! 私の『暴風ストーム』にはいくらプラーエといえど……いない!?」

 


 たしかに暴風同士の力比べは了承した。



 だけど最後まで暴風の中にいるなんて私は言ってないし、暴風が先に消えた方が負けなんてルールは親善試合にない。



 私はミミ女王の遥か上空で『電撃玉サンダーボール』を大量に放出し、そのままバラバラと落下させる。


 『暴風ストーム』の弱点はずばり真上。周囲に暴風を吹き散らすが、中心の術者の付近はガラ空きだ。


 最初に『氷山アイスマウンテン』を落とそうかと考えたのもそれを知っていたからなんだよね。



 威力を最小限に抑えた『電撃玉サンダーボール』が、自分で作った暴風の檻に閉じ込められた女王に向かって、雨の様に降り注ぐ。



「痛っ!グッ!ああああいたああああ。お、降りて来なさい!!卑怯者!!!アッ痛い!!ヒィ」


電撃玉サンダーボール』が女王に直撃する度に小さな稲光が走り、バチッと音をたてる。



「あうう~まったく見えません。どうやらミミ女王があのぴかぴか光る竜巻の中で悲鳴をあげているようです!!!」


「ああ、あれは『電撃玉サンダーボール』だな。スピカの魔法の中で一番やっかいな奴だ。斬ったら感電するし、フヨフヨ飛んできた奴を避けた所にも、しれっと置いてあったりして本当に汚い魔法だよ」


 

 私の高等な戦略をばらさないでいただけますかリゲルさん。



「なっ!?ぎ、ギバアアアアアアアアアアッップ。ギブアアアアアップ!降参!降参です!!」



 とどめの強大な『電撃玉サンダーボール』が真上から降ってきたのを見て、ミミ女王が降参して『暴風ストーム』を消した。


 私はミミ女王に当たるギリギリの所で『電撃玉サンダーボール』を消した。



 女王は白目をむいてバタッと倒れた。側近とウィルギニスが慌てて駆け寄る。


 


「はわわ~!そこまでです!!!親善試合の勝利者は、なんと! アークトゥルス騎士魔法学校スピカ・プラーエ!!スピカ・プラーエ!!!」







 特に表彰式などは何もなく、親善試合は終了した。




 表彰式などやる余裕が無いくらい、水害と風害が酷かったのだ。


 復興を手伝う私の横に、トリマン校長が来てボソッと話かけてくる。



「あーあ。あなたいくらなんでもミミ女王様を気絶させるなんて……」


「トリマン校長」 


「ミミ女王様から今夜の晩餐会に参加するようにと連絡があったわ」 


「ば、晩餐会!?」


「ええ、今日のお礼にとの事です。一同そろって必ず参加するように」



 ばばばばばばば、晩餐会ってなに!? ご飯食べる奴? 踊る奴? ちょっと私そっち系はわからないんですけど。



「話は聞かせてもらいましたわ。晩餐会ならワタクシに任せろーーーーバリバリ」


 バリバリが何の音かわからないけど、鼻息をフンフンいわせながらカペラが割り込んでくる。


「カペラ!」


「田舎の村の糞緑ゴリラには晩餐会なんて難易度高いんじゃなくて?」


「ま、まぁ正直そうだけど。マナーとかわからないし。失礼な事したら即、死刑なんでしょ」


「オホホホホホ。ワンミス死刑だなんてある訳ないでしょ!大丈夫。晩餐会マスターのワタクシにドーンと任せてもらえれば何も問題ございませんわ」


 

 カペラごめん。めっちゃ不安。特にあなたに任せることが……



「今夜の晩餐会は我がエルフ領土の著名の方が集まっていると言っておりましたよ。ですから絶対に失礼な事が無いようにお願いします。一応親善として呼んだ我がポラリス大魔法学校に責任がありますからね……」


「著名……ですか」


「そうです。例えば世界樹の麓の妖精の長や、ドワーフ族の長」


 えっ。世界樹の妖精の長!?


 シリウス校長を凍らせている『氷の監獄(アイスプリズン)』について何か知っているかもしれない。


 妖精の長に会えたら必ず聞き出さなきゃ。



「他にも芸術家などの著名人」


「ガタッ……プリティープリーストの作者も来る?」



 鼻息を鳴らしながらデネブまで割り込んでくる。



「デネブ。あんたまでいつの間に」


「プリティープリーストの作者ねぇ……あの人は変わり者だからどうかしら。呼ばれているとは思うけども」


「……行く。私も晩餐会。アーニャも誘っていく」


 白黒コンビはやっぱり仲良くなっていた。



「うーん。デネブさんとアーニャは小さいから……でも一応18歳。うーん。大丈夫かなぁ?……合法ロリ。セーフかなぁ」


 何やら頭を悩ませ始めるトリマン校長。


「まぁいいでしょう。アーニャには私から言っておきます」


「……トリマン校長ありがとう」





「いいんですよ。あなた達!!!絶対に失礼のないようにお願いしますよ。絶対にですよ!!」





 湖の上に浮かぶ美しいエルフィン城(一部は何故か壊れているが)、その正門前に深紅の馬車が到着する。


 一段と露出度の増した真っ赤なドレスのカペラを先頭に、それなりに孫にも衣装のドレスを着た私達が城へと続く階段を登っていく。


 振り返ると、リゲルが馬車の横で頑張れよと手を振っているので小さく振り返す。


「俺はそういうのいいや」


 リゲルの晩餐会参加は、たった一言で断られたのだ。



「いいですこと? 晩餐会はいわば女の戦場ですの。男をめぐっていつ殴り合いの喧嘩になってもおかしくない戦場なんですのよ。皆さんおわかり? スピカさんもなんで胸の下にリンゴの一つや二つ仕込んでこないのございますわ? そんなんで男の人が寄ってくると思っているんですの?」


「えっ……晩餐会ってそんな感じの場所?」 


「当たり前じゃありませんの……まぁこの田舎ゴリラはよくも、知らずに晩餐会に参加しますこと。ま、ワタクシにはリゲルさまがおりますから正直どうでもいいんですけど」


「デネブ達は知ってた?」

 

「……知らない」

 

「楽しけりゃ何でもいいじゃん!」


「そ、そうなんだ。デネブ達は胸にリンゴ入れてるからてっきり知ってたのかと……」

 

「……入れてない」


「あははは。果物は食うもんだろー」


「えっ嘘!?じゃあ私より……あっ察し(白目)」



 ショックのあまり無言のまま階段を登り、やがてエルフィン城への入り口となる大きな扉の前に着いた。


 扉の前には警備の兵士達が沢山立っており、この晩餐会が大事な会であることが容易に理解できた。


 兵士たちの一人が私達の前へと進み出る。



「お話はお伺いしております。スピカ・プラーエ様。及び御一行さま。どうぞエルフィン城へお入り下さい。スピカ・プラーエ様。()()()()()()()()


「ありがとうございますですわ」



 兵士に案内されて堂々とズンズン進むカペラ。流石晩餐会マスター。慣れているわ。


 一方で、私はビクビクしちゃって情けない。どうやっても城の空気なんて慣れる訳もない。


 ほら、この赤い絨毯とか真ん中踏んで歩いていいの? 前から人が歩いてきたらどうやって会釈する? 左に避ける? 右に避ける? それともいっそ魔法で倒す?


 おーい。カペラさんや。私を導いておくれー。



「御一行の皆様はこちらの晩餐会会場でお待ちください。スピカ様はミミ・エルフィン様よりお話がありますのでこちらへ」


「えっ!?」


 御一行の赤白黒達と別れて、私一人だけがミミ女王の部屋に案内される。


 女王の部屋の中にはミミ女王とウィルギニス。


 それとアルタイル王子が立っていた。



「ようこそスピカ・プラーエ。遠路はるばるご苦労であった」


「いえいえ、昼間は申し訳ありませんでした」


「ああ、昼間の事か。ハッハッハ。なーにちょっと試しただけさ。ちょっと痛かったし結構アザになってしまったし、軽くトラウマになりそうだったが……。流石はプラーエ男爵の娘といったところか」


「父を……いえ、パパ・プラーエをご存じで?」


「殺したいほど知っているとも。ああ、冗談抜きでな」


「ええっ!?」


「まったく。あの男ときたら……私に気のある素振りを散々見せておきながら、結局姉と駆け落ちして、自分の村を作ったとか……アイツらしいが今でも許せん。おかげで次女の私が女王なんてめんどうな役までやらされて……おっと今のは聞かなかった事にしてくれ。民が不安になる」



「はいいいいいいいいいいいいいいいいいいい?」

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