↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
36/55

第六死 金の王子とエルフの姫 中編

 あー。そうね。つまり誘拐されて幽閉されてる間に二人は出来ちゃったって訳ね。第一王女と。


「アルタイルはまさか第一王子だったりしないよネ」


「第一王子だが」


「ちなみに王位継承権は?」


「当然一位だが」



 ………



 お腹痛くなってきた。こんなの私が解決できる問題な訳ないじゃない。


 帰ってもいいかな?


 いっそ王子は死んでたって事に……そりゃ戦争待った無しになっちゃうか。



「あの……エルフィン国では代々女性が女王として長を……なので長女の私は……」


「マジデ……」

 

「スピカ。これも何かの縁だ。我ら二人をどこか遠くへ連れ出して貰えないだろうか? 容易くこの城に忍び込んだお前なら出来るだろう」


「スピカさんワタクシからもお願いです。アルタイル様と一緒にいられるなら城も捨てます。出来ぬなら命も絶つ覚悟です」


「ウィルギニス……そこまで俺の事を」


「……アルタイル様」



 ブッチュー。



 いやいや、ブッチューじゃないわよ。


 これは実際かなり複雑な話よ。 


 例え二人をどこか遠くへ連れて行ったとしても、追手に怯えて過ごす事になるし、何より私は誘拐犯で大犯罪者で超指名手配って事になるわけよね。


 かといって、王子をこのままここに置いておいても、いずれは戦争になるだろうし。



「「スピカ(さん)」」



 私に頭を下げてお願いする二人。


 

「わかったわよ。出来るかわかんないけど何か方法を考えてみるわ」


「すまない」 


「ありがとうございます。スピカさん」


「お礼はまだ早いわ。考えてみると言っただけよ。連れ出すだけじゃ無理そうだしね」


「そうですか……ところでその指輪。先程から赤く点滅しておりますが」


「へっ?」



 うおっ!マジだ。リゲルの身に何か起きてる。帰らなきゃ!!



「ごめん。ちょっと一回帰るね! また来るから」


「頼んだぞ!」



 王子達に手を振り、城の塀を軽々飛び越え、そのまま『浮遊レビテーション』で浮かぶ。


 えっと~ポラリス大魔法学校は……あっちか!


岩石魔法ストーン』で盾を作って、『爆裂魔法フレア』で加速する。


 もうこれ『隕石メテオ』って名前でもいいんじゃない?


 『隕石メテオ』の問題は『岩石魔法ストーン』が作成した後に消せないって事だけかな。ほら私が降りた後もあーやって加速したまま……



 ズガァン!!



 あ、あそこは多分トリマンさんの校長室らへんかな? 見事に破壊されて火の手があがっているね。



 ………



 い、隕石のよく落ちる夜だニャー。




 で、ピンチの勇者さまはどこに? 


 ポラリス大魔法学校に到着した私は、『探知サーチ』を使ってリゲルの位置を確認する。


 どうやら校庭の方にいるみたいね。移動しているから走ってる……もしくは逃げているといった感じかな。


 

 校庭へ走ると、そこには全裸で疾走するリゲルの姿が。



 あんた何やってんの……



 追っているのはどうやらエルフの女生徒軍団。みんな無言なのが恐ろしい。


 


 全裸で走るリゲルの横に並走する。


「ちょっとあんた何やったの?」


「し、知らねぇよ。深夜になったからみんな寝ただろうと共同風呂を使わせて貰っただけだ。そしたらあいつらが突然押し寄せて来て……」


 どうやらイケメンの勇者見習いが、女子寮に泊っている情報が漏れたみたいね。


 追いかけている女生徒達は、ラブレターを手に持ってたり、食パンを咥えたり、手編みのマフラーを編んだりしながら追いかけてきている。


 男子を落とす自信のある方法で追いかけて来てるのだ。


 

爆裂魔法フレア!!」


「きゃああああああああああああああ」


 私のお気に入りの魔法。


 地面ごと吹き飛ばすだけなので、こういうケガをさせたくない時にめちゃめちゃ役に立つ。


 爆裂魔法フレアによって、空高く吹き飛ぶ大勢の女生徒達。尚、落下の際のケガには私の責任が無い事とする。


 なんか赤い服の女も混ざっていたけど、いつもの事だし無視しよう。



 大体沈黙したかな?



 むっ!背後から攻撃を仕掛けてくる奴が!


「スピカ!」


 リゲルが私を抱きかかえて飛び、背後から放たれた氷柱つららを回避する。


 全裸のリゲルが地面に押し倒した感じになる私。


 ………

 

「ちょっと!今の気づいてたし裸で抱き着いて押し倒すとか」


「す、すまん」


 氷柱で攻撃してきた相手は、昼間案内してくれた長身の女生徒だった。



「チッ。明日の親善試合であなたを倒して、その方は私が頂きますから。ペロリ」



 相変わらずイヤラシイ舌なめずりで挑発してくるこの子。今すぐ相手してもあげるわ。って誰かこの勇者(全裸)どけてくんない?

 


「やれるもんなやってみなさいって、いつまで上に乗ってるのリゲル」 


「いや……今立ち上がるとあいつに見られちまうから」


「あーもう、だったらそこでうつ伏せで寝てなさいよ!!」


 ゴロゴロと地面を転がるリゲル。


 土をはらって立ち上がると、そこにはもう舌なめずりの女はもういなかった。


 

 逃げたか。



「おーい。スピカ。悪いけどなんか布持ってきてくんない?」


「……」


 私はハンカチをひらりとリゲルの上に落として、自分の部屋に帰った。


「ちょっとーこれ小さくない?」


 なんて声が聞こえてきたけど、アホらしいので部屋に帰ることにする。


 壮絶な深夜のバトルの後に残されたのは、校庭に空いたどでかい穴と、大勢の気絶した女生徒(赤含む)と、ハンカチ一枚で股間を隠す全裸の男だった。



 あーもう疲れた。風呂入って寝よ。


 今日は色々ありすぎたわ。



 そしてお察しの通り、私が共同風呂に入っていると、勢いよく扉をガラガラッとリゲルも入ってくるのだった。



「だって裸で地面をゴロゴロしたんだからしょうがないだろって桶を投げるなー」



 スコパーン! 



 翌日。私達とポラリス大魔法学校の生徒達は、親善試合の為に穴のあいたままの校庭に集められた。


「おはようございます。皆さん。本日は我がポラリス大魔法学校とアークトゥルス騎士魔法学校の親善試合となります」


 校長室の消火に必死だったのか、爆発に巻き込まれたのかわからないけど、頭がアフロへアーみたいになったトリマン校長が挨拶する。


「校庭や校長室を見てわかるように、昨日は流星群の飛来によって、我が校だけでなく沢山の被害が出たようです」


 隕石って怖いね。もしかして城にも落ちたんじゃない?



「さて、親善試合ですが、本日はなんとエルフ長直々に観覧したいとの申し出があり、ここに見に来る予定となっております。皆さん失礼のないように……という訳で早く校庭をなおして準備なさーーーーい!!!」


「は、はいいいいいい!!」


 寝不足の生徒達が総動員されて突貫工事が始まった。


 手伝った方がいいか迷ったけど、そんな心配を吹き飛ばす速度で、あっと言う間に校庭は整地され、試合用の舞台と観覧席が作られた。



 舞台が丁度整った時に、豪華な馬車が警備兵を引き連れて校庭へ走り込んでくる。



 ポラリス大魔法学校の校長だけでなく、先生、生徒全てが一斉に片膝を付き、頭を深々と下げた。


 私達も一応頭を下げる。


 馬車から豪華なドレスを着た女性が二人降りる。一人は多分エルフの長、所謂女王で、もう一人は……ウィルギニスだ。



 ウィルギニスは私に気づくと軽く手を振った。一応知らないふりをして横向いとこう。


「スピカさん。あの方と知り合いなの? あなたに顔立ちとかそっくりなんだけど」


 カペラが興味津々で聞いてくる。


「知らないわ」


「……向こうは知ってるみたい」


 デネブにそう言われて、改めてもう一度みると、ジャンプしながらオーイオーイと手を振っている。


 このまま無視するとこっちに歩いて来そな勢いだったので、軽く手を振ると、満足したのか手を振るのをやめた。




 エルフの長とウィルギニスが上品に舞台に上がり丁寧にお辞儀をすると挨拶を始めた。



「は~い。どーも私が長のミミ・エルフィンでーす(パチパチパチ)」


「第一王女のウィルギニスでーっす(パチパチパチパチ)」


「えー本日はお日柄も良く……」


「いやいや隕石が落ちるっちゅー大災害がおきたばっかりやないかーい(ビシッ)」 


「ウィルはん。そない言うてもですね。ちょっと城の塔の先っぽが欠けただけやん?」


「欠けた!?城が欠けた!?大変な事ですやん」


「まぁあれ飾りやから。ほら塔っぽいのが城にあったらカッコイイやろ?」


「なんや飾りやったんか。問題はないな」


「ちょっと大事な秘宝と宝石がしまってあっただけや」


「問題あるやないかい!」


「使わなくなった秘宝とかやっすい宝石やったしな」


「なんや、あんまり使わんやつか。問題はないな」


「あとちょっと誘拐した王子を閉じ込めておいただけや」


「問題あるやないかい!!」


「それがな。勝手に王子は出歩いとったからケガ一つなしや」


「そりゃ違う意味で問題やろ!しっかし誘拐って……ミミはんも悪いやっちゃなぁ……」


「そや誘拐や。こんな感じや」


「えっ突然何?」


「あんたが犯人やろ(小声)」


「あ、ワイが犯人ってことね。わかったわかった。お前の大事な子供は預かった。命が欲しくば金を持ってこい。こうか」


「そうだ。今すぐ親分に金を持ってこーい」


 ………


「いや二人とも犯人やん。これじゃ進まんよ」





 あれ……これ誰も止めないの?いいの?長と王女漫才してますけど……私……何を見せられているの?




 

「「もうええわ、ありがとうございました」」



 一通り漫才を終えると、ミミ・エルフィンとウィルギニス・エルフィンはお辞儀をして舞台から降りた。



 会場から盛大な拍手と声援が送られる。



「コホン。ミミ・エルフィン様、ウィルギニス様。ありがとうございました。では続きまして、早速ですが本日のメインイベントの親善試合を行いたいと思います。司会は暇そうに馬車で寝ていた出番も無く忘れられた私。サンダルフォン家の馭者ペテルが務めさせて頂きます」


 えっペテル何してんの?


「では、ポラリス大魔法学校の出場者3名、アークトゥルス騎士魔法学校の出場者3名は舞台へ」


 私とカペラとデネブが言われたまま舞台にあがる。


 ポラリス側の3名も舞台に上がる。


 昨日のペロペロ女と、黒いプリティプリーストのゴスロリ衣装の小さな子と、糸目の青いドレスの女が相手のようだ。




「はわわ~白いプリティプリーストが最強だなんて誰が決めた?闇の力が良い子を守れないなんて誰が言った?漆黒の闇だからこそ魔物達からみんなを守れる!!!悪魔に代わって絶頂よ!プリティブラック!アーニャ・ププルイ!!」


 黒いプリティプリーストのアーニャが前にでて決めポーズをする。会場から歓声があがる。



 ヤバイ。これ全員やるの?私の苦手な奴じゃん。




「良い子のお友達っ!お待たせだよ!白い衣は天使の証。最強なんて求めてないの。清き心がみんなを癒す。純白の光の力で魔物も救う!!!天使に代わって絶頂よ!プリティホワイト!デネブ・フォーマルハウト!!」


 デネブが前に出て決めポーズをする。やはり会場からは盛大な歓声が上がる。



 ペテルさん。ちょっと私の紹介文見せてくんない?あ、そんな暇ないですか……




「水流の流れが岩を砕き、命を運ぶ。水の魔法こそ命の原点。すなわち!水こそ最強の魔法なのだ!!!水魔法を極めしバルディエル家の至高の水使い!!ソフィア・バルディエル!!」


 糸目の青いドレスの女が両手から上品に水を吹き出し、会場に虹を作る。



 綺麗だけどさ、次の人と被ってない?




「GANGAN燃やせ!!真っ赤な炎!!!地獄の彼方から呼び出された炎がすべてを……燃やし尽くす!!!命の原点だからなんだ?そんなものはすべて燃やしてしまえ!!!火魔法極めし我がサンダルフォン家が産んだ燃えるイイ女!!カペラ・サンダルフォン!!!」


 カペラが両手から加齢に水を吹き出し、会場に虹を作る。しかも2本。ダブルレインボーだ!!!



 火じゃないじゃん。って誰も突っ込まないのね。




「秘めた魔力は無限大?ポラリス大魔法学校史上初の賢者となるか?説明不要!!!学校史上最強生物!ポラリス大魔法学校生徒会長!!!ポポナ・ペロリーナ!!!」


 ペロペロ女が槍をブンブン振りまわしてポーズを取る。



 あの子、名前を言わないと思ったらめっちゃ名前可愛いね。


 あ、つぎ私か……鬱。



「えっと。最後に登場するは……はわわわわ~~~~なんと自分で紹介してくれるそうです!!」


 うっそ聞いてないんですけど。早く早くって……考えてないよ?


「す、スピカ・プラーエです。……頑張ります。」


「スピカさんもっと!」


「え、も、もっと?あ、あの雷!!雷しま…使います」


「もっと!!!!!いいんですか最後の落ちなんですよ!!」


「雷鳴轟き我が閃光がすべてを滅ぼうとも……じゃない……滅ぼし……あああああもう。『雷神撃サンダースパーク』!!!」


 ズパピカドン!!


 私を中心に稲光が発生し広範囲・・・に上級雷魔法がさく裂する。




 広範囲に……出場者はおろか、観戦者及び長と王女の全員が感電して気絶した。





 えっと。ごめんね。



 今日は自然災害が多いみたいで雷まで降って来たみたいだわ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。