第一死 高等部に進学しましたがやっぱり勇者が死んでしまう件 後編
ハーイ! みなさんお久しぶりです。ついに18歳になりました高等部3年生『生徒会長』のスピカです。
多分20年余分に生きてるはずです。
なんで私が生徒会長かって? 校長を怒れる人が私しかいなかったからです……
めちゃめちゃ短くなった制服のスカート丈の事も怒ったけど、意外にも女子から好評だったので引き下がった。
女子達は共学になるなら可愛い制服が着たいらしい……それでいいのか女子達よ。
アルタイル王子の事もあって、世間は本当に戦争の足音が聞こえてきた感じがするけど、学校内においては何の事件もなく……
「きゃあああああああああああああああ」
「わ、わりぃ」
こういうリゲルに起こる「男性的幸運」的な、転んだ女生徒のスカートに顔を突っ込む感じの小さな事件なら日常茶飯事だけどね。
ははは、中等部の時は見ることが出来なかったけど、本当にイライラするわ。
不思議と転んでセクハラを受けたはずの女生徒が、三日後位にラブレターを持ってくるのも本当にムカツク!!!
まぁリゲルは別に私と付き合ってる訳でも、告白された訳でもないんだけど……
いや、ホント、私の事どう思ってるワケ? 修行のパートナー?
同じクラスで隣の席なのに何の進展もないんですが……
ああ、うん。それは置いといて。
結局のところ何の事件も解決しないまま3年生になったよ。
しかもなんと明日は高等部の卒業式。
シリウス校長は未だに凍ったままだし、アルタイル王子も誘拐されたまま。
校長の『合同演習終了証』もまだ取れてません。
結局毎日修行と同じ感じで走りまわされて、ともかくまだまだ練習相手になりません。って感じで尻を撫でられる。
あのエロ爺いつかみてろよ。
喜んでるのはリゲルだけかな。剣聖直々に剣の稽古もつけてもらってるみたいだし。
私も剣の稽古に誘われたけど、私は私でやることがあるのでパス。
【魔導士】と【賢者】の勉強もしないといけなかったからね。
シリウス校長が凍ってるので直接教えてもらえないから、結局、我流で研究所の本を使って勉強するしかなんだけど。
まぁ、全然読めませんね。
賢者の魔法で新しくマスター出来たのはなんと無し。0個。『実録!!古代魔法の脅威』なんて表紙しか見えないんだもん。
とりあえず、魔力を高める為に魔導の魔法を集中的に練習。
魔導を極めた方が魔力が上がりやすいみたいだったからね。
魔導士と魔法使い(マジシャン)の魔力の使い方の違いなんだけど、魔導は体内に魔力を導いて、魔法使いは体外に魔力を出すってイメージ。
例を言えば、魔導は『浮遊』とか『雷神降臨』みたいに体に魔力を導いて宿す。
一方で魔法使いは『初級火魔法』とか『岩石魔法』とか体外へ魔力を使って放つ感じだね。
体内に魔力を導くって行為が、魔力の上がりやすさに繋がっているみたい。
それと、夜な夜なヘヴェリウス王国の周囲の魔物を殲滅していたおかげで、雷以外の上級属性魔法もすべてマスター出来た。
なんかやたらに魔物が多かった気もするけど、流石上級魔法って感じで範囲魔法が多いから楽勝だった。
『浮遊』で上空から上級属性魔法を使って薙ぎ払うだけの作業だったね。
ヘヴェリウス国の兵士の皆さんは、エルフの国と戦争だ戦争だと騒いでいるし、魔物まで相手にしてらんないもんね。
私に感謝してくださいよ。
しっかし、この魔導の『浮遊』ってめっちゃ便利だわー
初めはちょっと浮かべるだけだったんだけど、今や遥か上空まで浮かべる様になった。
あ、浮かべるだけで動けないのは草だったけど……移動不可ってマジで草。
ただ魔法を使う時にちょっとだけ浮かんで使うとカッコいいからこれはいい。
腕組みしたまま仁王立ちで浮かんで電撃玉4個くらい回したら……フゥー!!
『飛行』って魔導もあるみたいだけど、マスターするには全然魔力が足りないみたい。
いつかは必ずマスターしてみたい魔導の一つだね。
結局、修行と魔法の勉強しかしてなかった気がする。
私の高等部3年間の青春とはいったい……
高校卒業後はどうするのかって?
あ、一応……
えっと…その……
卒業するって事は、進路を決めないといけなかったのよね。
みんなは城に仕官したり、冒険者になったり、進学したり……
私も国立魔法研究所とかこの学校の先生にとか、色々お誘いがあった訳で。
でも一応リゲルに相談してみたのね。
ほら、私達運命共同体じゃない?
やっぱりあんまり離れる訳にはいかないじゃない?
そしたらリゲルは一言。
「そうだな。卒業したらスピカも一緒にどうだ」
どうだってなに? ちょっと私わかんない。
プ、プロポーズではないよね。修行に誘っただけ? 一緒に住もうって事?
後でちゃんと聞き直さないとって、ずっと思ってるけど聞けてない。
というか返事もしてない……
就職先の方達は、来てくれるならいつでもいいって言ってくれてるけど。
……もう明日が卒業式なんですけど。
はぁ、リゲルにちゃんと聞くか……
えっと、さっきスカートに頭を突っ込んでいたマヌケはどこかな。
私は魔導の『探知』を発動させる。あらかじめマーキングした相手がいる方向を教えてくれる魔導。
効果範囲は50mと狭いけど、学校内にいればまず引っかかる。
うーん。これは正門の方かな。
なんだか騒がしいし、ゾワゾワする。これは……危険察知!?
急いで正門へ向かう私を、カペラが呼び止める。
「あら、スピカさんも見に行きますの?」
「え? 何が?」
「なんでも暴竜族の方が来ているみたいよ」
「はっ?暴竜族?なにそれ」
「ほら、聞こえるでしょ? パラリラパラリラって。走竜を乗り回してうるさいんですわよね」
確かにやたらにうるさいラッパみたいな音がしているけど。
「私、ちょっと行かないと」
「お待ちになってスピカさん」
「何? 本当に私急いでいるの」
「これを差し上げますわ」
「へっ?」
手渡された紙袋には、なんとマルコのパンと書いてあった。
「先程、イケメンのパン屋から買いましたの。ちょっと食べきれなくて……ってどうしましたのそんなに震えて」
「ええええええええええええ!!うそでしょおおおおおおおおおおおおお!」
ブツンッ……




