第二死 突然のResult!巻き戻る学園生活!勇者リゲル暁に死す! 後編②
準備を整え、嘆きの洞窟内に突入し、王子を先頭に進む私達6人。
「つまらん。つまらん」
片手に持ったゴールドソードをブンブン振り回しながら、何度も文句を言うアルタイル王子。
ほらほら。洞窟カエル【危険度☆】が出てきましたよ王子。
「はぁ、また雑魚カエルか」
文句を言いながらも王子がサクっと一撃で仕留め、また歩き出す。
「あーつまらん。所詮レクリエーション。お遊びか」
「オッ!アルタイル『合同演習終了証はこちら』って書いてあるぞ」
洞窟の壁には矢印と共に『合同演習終了証はこちら』と書いた紙が張り付けてあった。
ん~? 一昨日来た時にはこんなものはなかったような。
ともかくその矢印通りに進む。
「あ、またありましたわ」
しばらく進むと、道が3方に分かれており、上には『合同演習終了証はこの先』と書いた紙が貼ってあった。
おかしい。私が一昨日来た時には、確実にこんな分かれ道はなかった。
ヒリヒリと何か嫌な違和感を感じる。危険が迫っているのかもしれない。
「さーってどの道を最初に行くか。バラバラになるのはまずいよな。一個づつ潰していこう」
三方に分かれた道を見て、何か思いついた様にポーンと手を叩くカペラと王子。
「これは……」
「ですわね……」
バカ王子とカペラがニヤニヤと何やら思いついたみたいだけど、聞きたくもない。
絶対いい事じゃないもの。
「あれ~~~~~助けて下さいまし~」
「向こうに敵だ!!行くぞ!!」
カペラはリゲルの手を無理やり引っ張り右の道へ。
アルタイルは私の手を引っ張り左の道へ。
「ちょ!あんた達なにを!」
「なんだ、なんだ」
ズシーーーーーーーーーン!!!
私達が通路に連れ込まれると同時に分かれ道の入り口が、巨大な岩扉によって塞がれる。
うそでしょ!!!もうそんな時間もないのに!!!
「おーっほっほっほ。スピカさん出口で会いましょう」
ズガンッと力いっぱい岩扉を殴ってみるがビクともしない。本気で殴った衝撃の凄さで、王子がドン引きし、冷や汗を流した。
やられた。この岩扉……魔法で出来た扉だ。
誰かが悪意を持って洞窟を迷路化している。
「さぁ。やっと面白くなって来たなスピカ。先に進むぞワッハッハッハ」
この馬鹿王子がああああああああああああ。
2人組毎に分断された私達は、ともかく先へ進む事にした。
「どうした? 何をプリプリ怒っておる。俺と2人では不満か?」
うっさい馬鹿王子。あとイノシシぶっ殺す。
「やはりリゲルとの二人組が良かったか……」
少しショボンとした王子を無視しし、ガンガン先を急ぐ。
ともかく戻る道はない。合流があると信じて進む。
あーもう本当に時間無いのに……
「危ないぞ」
「……ありがとう」
急いでいて気がつかなかったけど、よく見ると通路の片側が崖になっていた。
王子が手を引っ張って止めてくれなかったら、間違いなく奈落の底に落ちていくところだった。
これってもしかして危険察知が無効化されている?
「さっきは怒って悪かったわ。どうしてもリゲルと離れられない事情があったの」
「ん、ああ。俺の方こそ悪かった。お前を口説くチャンスかと思ってな」
「口説くって!? こんな時に冗談はやめてよね」
「冗談ではない。昨日の夜、妾にしてやると言っただろう」
は? あれマジで言ってたの?
「と、ともかく、先に進みましょう」
「ああ、お前は俺の後ろに下がれ。俺が守ってやる。感謝しろよ」
いや、私が先で別にいいんですけどって全然話聞かないし……なんで男ってみんなこーなのよ。
「確かお前はリゲルと同じ村の出身だったな」
「正確に言うと隣村だけどね」
「と、なるとプラーエ村か……なるほどな」
いや、何がなるほどなのよ。
「フフ。世の中狭いものだ」
いや。何がせまいのよ。
「リゲルの事だがな。あいつは入学試験の時に俺の両腕を折りやがってな。正直いつか殺してやろうと思ってた。だがあいつは俺の事を王子ではなく、一人の人間として接してくれた。他の雑魚共は王子様王子様と媚びを売るのにな。だから殺すのはやめた」
なにその尊い話。まだ続ける?
ともかくやっぱり王子が暗殺説は消えたね。
「まぁ殺すのではなく、俺の家臣として一生こき使ってやるつもりだがな」
逃げてー!リゲル逃げてー!!
「ふむ。どうやら付いたようだ」
狭い通路を抜け、やっと大きな広間に出ることが出来た。
「きゃああああああああああああああああああああああああああああ」
真っ赤なドレスがビリビリに引き裂かれ、半裸になったカペラが倒れる。
その横には左腕を切断されたリゲルの姿が……
「カペラ!!リゲル!!」
しまった。遅かったか。
「……『神聖魔法光弾』!!」
デネブが杖から光の弾丸を連射する。
連射したその先には、2m以上ある巨大な剣を構えた1人の老人の姿があった。
「あれは!?アルケナル騎士学校校長」
「騎士学校校長!? あのずっと不在の?」
「ああ、正気を失っている様だが間違いない」
アルケナル校長はデネブが連射した光弾を、巨大な剣で軽々と打ち返す。
「岩石魔法!!」
デネブの前に岩の壁を作り、打ち返された光弾を防ぐ。
「お、お前達、相手はあの剣聖だぞ。さっさと逃げろ」
王子が騒ぎ立てている。剣聖だろうが校長だろうが、知ったこっちゃない。
襲われているのだからリゲルを守らないと。
私は剣聖が放つ斬撃を、ギリギリ回避しながらリゲルの元へ走る。
「大丈夫?リゲル」
「ああ、腕が切れちまったが大丈夫だ」
そんなの大丈夫な訳ないじゃない。
今初級回復魔法を……って使えないんだった。
「デネブ。回復魔法をお願い!」
「……無理。私……攻撃魔法しか使えない」
えー!嘘でしょ!あなた神官じゃないのー?
「大丈夫だ。とりあえず止血はした」
もーうっさい黙れ。全然大丈夫じゃないって。
「とりあえず岩石魔法!」
アルケナル校長の全身を覆う様に岩石魔法を使う。
これで少しは時間が……
ズバズバズバッ!
あっと言う間に岩を斬り自由になると、こちらに剣を向けて構える。
あ、あの構えは……音速剣!?
「上等だ。やってやろうじゃねぇか。スピカ下がってろ」
リゲルも片手で音速剣の構えを取る。
おいバカやめろ。
「はああああああああああああ!!」
はああああじゃなくてさ、あーもういっつもこうだよ。
校長とリゲルが一瞬重なり合い。
後から幾度もの鋭い斬撃音が広場に響く。
あっぶなーい。
見事にすっ転んだままツツツーっと滑って行くリゲル。
アルケナル校長もクルクル回転しながら滑って行く。
はああああああの間に『凍結』を広場全体にかけたのだ。
んー。だけどこれは悪手だったかな。
体勢を立て直したアルケナル校長は怒り狂い、必殺技の構えを私に向けている。
リゲルを助け起こしたアルタイルが叫ぶ。
「あ、あれは!?」
「知っているのかアルタイル」
「アルケナル剣聖の必殺技、光をも斬り裂く斬光断罪剣!まさかこの技を見れる日が来ようとは……」
来ようとはって……今狙われてるのって私だよね?
光を斬り裂くってやばすぎない?
確実に……私死ぬよね?
え?
私が死んだらどうなるの?
Result? え? 嘘でしょ? 今まで考えた事無かった。
ゆらっ〜と剣聖の周りの空気が歪む。
一瞬の閃光!来るっ!!
「斬光断罪剣ッ!」
私は苦し紛れに岩石魔法の石壁を、アルケナル校長と私の間に瞬時に124枚作成する。
斬光断罪剣の斬撃は、剣聖の正面から放たれると、半球状に広がりながら私の方へ迫ってくる。
触れたものは光さえ斬り裂く。
まさにその名の通り、私の作った石壁を一瞬の内に切り裂いていく。
まだ70枚あるっ!
どうするっ!上はダメ。左右も逃げ場はない。
残り50枚
ダメ!回避出来ない。後ろにはカペラもデネブもいる。
残り……20枚。
追加で岩石魔法で壁を!ダメ!速すぎる!
10枚。
2人を抱えて……ダメ。斬撃の範囲が広すぎる。
……3枚。
止まれ!止まって!
……1枚。
突如、ガッと首根っこを掴まれ後ろに放り投げられる。
「ふぇッ!?」
「約束しただろ、俺がスピカを守るって」
「リゲルッ!!」
ブツンッ……




