第二死 突然のResult!巻き戻る学園生活!勇者リゲル暁に死す! 後編①
はい。おはようございます皆様。スピカです。
どうする? いつも見たいに結論から言っちゃう? うーんどうしよっかなー。
………え、焦らしてもわかるって?
はぁ。そうです。またやり直しの様です。あーもう。失敗だよ!!!
話せばいいんでしょ話せば!
説明役の魔法学校の校長含む7人が、騎士学校と魔法学校の合同演習へ向かうため、嘆きの洞窟へ続く森の入り口に集合した。
魔法学校の校長は合同演習の説明役としてわざわざここに来た。
毎年この役をやるのが楽しみだそうで、ニコニコの笑顔だ。
もちろん校長は森の中までは付いてこない。この先は選ばれた6人のみで進むのだ。
合同演習という名の単なるレクリエーションに参加する、6人のイカレタメンバーを紹介するぜ。
まず、中央で金ぴかの鎧に身を包み、腕組みをしたまま偉そうな(本当に偉い)態度をしている男の子が、アルタイル・ヘヴェリウス。
この国の王子だそうで、早く先に進みたそうにイライラしている。
確かに今日は自由な服装でって指示があったけど、全身ゴールドアーマーは草。
太陽の光が反射して眩しいんですけど。なんかやけにこっちチラチラ見てくるしやだなぁ。
その横で入念に道具やロングソードの手入れをしているのがリゲル・ロワーエ。彼の説明はいっか。
リゲルはいつもの制服と違って比較的軽装で、よく使いこんだ皮の鎧を着ていた。
あ、うん。挨拶くらいはしたわよ。……これ以上私に何をしろと?
座って静かに目を閉じているのがポルックス・ジンバブエ。ていうか……寝てる? おーい朝ですよー?
うーん。彼の事は見た事もないし全然わからない。わかるのは武器が長い槍って事くらいかな。
無表情でじっと立っているのが、男子達に大人気のデネブ・フォーマルハウト。
女性向けの神官ぽい礼装で、美しい装飾のなされた杖を持っている。
見てるだけの私でも、彼女の魔力を高めているのを感じるいい杖。私のただの堅い枝の杖とは大違い。
挨拶がてらに「その杖とってもいい杖ね」って言ったら、めちゃめちゃ小声で「あなたもね」って返された。
私の横でリゲルを見て鼻息を荒くしているのがカペラ・サンダルフォン。
外での演習だっていうのに育った胸を強調する真っ赤なドレスで来ましたよこの人。
なんでもサンダルフォン家の正装だそうで。王子様がいるんだから正装は当たり前でしょって怒られた。
でもそのドレス。絶対後でビリビリに破けそうな気がする。いや、確実に破けるよね。
そして最後に私。制服の上に黒いフード付きのマントを着て堅い杖を装備。
一応このマントは自作。研究所にあった知らない動物のなめし革で作ったの。
この革、普通の針が全く通らなくて、中級属性魔法【岩石魔法】で作り出した針と私の腕力で無理やりチクチクしたよ。
自慢じゃないけど、我ながら可愛くできたと思う。
フードが猫耳ぽくなっているのは仕様です。なめし革がハサミで切れなかったので、偶然にもこうなっただけです。
……ウソデス。本当はちょっと狙いました。すいません。
「あなたそんな地味な黒猫みたいな恰好で演習に来るなんて何のおつもり?」
なんてカペラが言って来る。
うるさいなぁ。私には大事な使命があるんです。
「あんたこそ、そんなドレスじゃ滑って転んで破けるのが落ちよ。なんなら今すぐ破いてあげましょうか?」
誤解しないで頂きたいが、私たちは仲がいいのだ。……たぶん。
「はいはい。皆さんお静かに。時間になりましたので、本日からの演習について説明します」
魔法学校の校長がパンパンと二度手を叩き、騒いでいた野生動物2匹を静めると説明を始めた。
「どなたかが事前に行先を漏らしたので、既に噂になっているのでご存じかと思いますが、皆さんは合同演習として、嘆きの洞窟へ行ってもらいます」
じっと校長が金キラ王子を睨んでいた。極秘の情報を漏らしたのはアルタイル王子なんだろう。
「あなた方には明後日の夕方までに、嘆きの洞窟に隠されたこの『合同演習終了証』を取ってきて頂きます」
校長が手に持った『合同演習終了証』をピラピラさせる。
「無理と思ったり、危険だと感じた場合は帰ってきても構いません。いいですか? 競争ではありませんからね。皆さんで協力して『合同演習終了証』持って帰って来て下さい」
「ふん。下らん」
「はいそこ。アルタイル君。真面目にやるように。お父様からも真面目にやらせるように言われていますので……」
「チッ」
怒られて不機嫌になる王子。やーい怒られてやんの。
「あとスピカさん?」
「ファイ!?」
突然、名前を呼ばれてびっくり、私は何もしてないはずなんだけど。
「あなた、確か魔法は3個マスターしているのですよね」
「そ、そうですね。さ、3個だけですアハハハ」
「3個。ホイ」
校長が私の肩をポンと叩く。
「えっ!?」
うおおおおお、しまった。そんな事してくるのかああああ。
「おやおやスピカさん。どうしましたか? 3個でしょ?」
「……はい。3個です」
やられた。『魔法封印』だ。
まさか校長がこんな魔法を使って来るなんて。
みごとに『初級雷魔法』『凍結』『岩石魔法』以外の魔法を封じ込められてしまった。
「ちゃーんと3個ですね。私ウソは嫌いですから」
ぐぬぬぬぬ。大事な使命があるのに~。
この『魔法封印』はかなり危険だ。使ってきたのが魔物や敵ではない校長で本当に良かった。
魔法使いとしては対策を考えておかないと。ってそもそもどんな仕組みなのよ……
校長はふふふなんて笑っているし。
「それでは。皆さんお気を付けて行ってらっしゃい」
「よしっ行くぞ! リーダーは俺だ」
校長の出発の合図の後、勝手にリーダー宣言したアルタイルを先頭に、6人は嘆きの洞窟へ向けて歩き出した。
「つまらん」
アルタイル王子が歩きながらボソっと呟く。
金ピカ王子はまだ2時間も歩いていないのにもう飽きたのか……
みんな聞こえない振りをして前に進む。
「つまらあああああああああああああああああああああん」
「アルタイル王子様、ど、どうしましたの? まだ出発して半日もたっていませんわ」
「まったくもってなんにも起こらんではないか! 魔物はおろか野生の獣一匹おらん」
「まぁまぁアルタイル。何もない方がいいじゃないか」
「だが、演習だろう? これでは遠足ではないか」
「遠足だっていいじゃないか。なぁスピカ」
なぜ突然私に振るのですかリゲル。犯人をあなたは知っているとでも……
そう。犯人は私です。
この森にいる魔物は一昨日の夜の間に、私がかなりの数を間引きをしておきました。
なんなら、嘆きの洞窟の危険度【☆☆☆】と【☆☆☆☆】も殲滅しておきましたが何か?
ほら、危険度【☆☆】以下の雑魚なら死ぬ事なんてないでしょ?ヨシッ!
それと、ぶつけた時に刺さったりしない様に洞窟の中の尖った鍾乳石とかも、ポキッと折っておいた。ヨシッ!
滑りやすそうな場所は削ってザラザラにしておいたよ。ヨシっ!
嘆きの洞窟の事前安全確認ヨシッ!0災で行こうヨシッ!!
まったくもー。遠足でいいじゃないの。死な安って言葉をしらないのかしら。
そんな母の様な大きな優しさを知らずに、王子は洞窟に着くまでずっと「つまらん」「魔物はどこだ」と騒いでいた。お子様か。
嘆きの洞窟前に着く頃には日が落ちて薄暗くなった。嘆きの洞窟の攻略は明日となる。
男子用、女子用のテントを張り、夕食を取ると事となった。
もちろん男子は料理なんて出来る訳もないし、女子も……
「カペラ。あなた料理出来る?」
「なんでそんな事を聞くのかしらオホホホホ。出来る訳がないじゃない」
「えっとデネブさんは……」
「包丁持てない」
「」
そうですかそうですか。いーですよ。私が作ればいいんでしょ。
村長の娘の庶民の私が作ります。ほれママ直伝のスープでも味わえ。
「ほう。なかなか美味いではないか。俺様の妾にしてやってもよいぞ」
うるさい。ガキンチョ王子。
「あら、流石、胸にまな板を装備しているだけはありますわね」
は?
「スピカ! おかわり!!もっとだ!」
少しは遠慮しなさい。
「……おいしい」
声ちっちゃ。
「……ZZZzz」
寝てんじゃねーよ。
………
いや子だくさんのお母さんか!!
なんで私ばっかり……まぁ……久しぶりにリゲルの笑った顔が見れたからいいか。
夕飯も終わり、就寝の時間。おやすみの挨拶の後女子用のテントに入る。
「さーて。スピカさん、デネブさん。アレやりましょうかアレ」
「アレって何よカペラ」
「好きな男子を言い合うアレよ」
「それあなただけずるいじゃん。どうせリゲルなんでしょ」
「ま、そ、そんな事ありませんわよ。だいたいあなただってそうなんでしょ? さっきもリゲル様の顔を見ながらニヤニヤしていたじゃない」
「はっ?うっさいわね。このメスイノシシ!人のこと見てんじゃないわよ」
「誰が人ですって魔法ゴリラのくせに!」
一触即発。殴り合いになりそうな私とカペラの肩をデネブがちょんちょんとつつく。
「……と……は……が好き」
「ええええええええええええええあの娘がああああ」
「…と……は付き合ってる」
「ええええええええええうそおおおおおおお」
「そういえば〇〇は××の△△までしたらしいですわ」
「きゃああああああああああああああああああ」
こうして女子達の夜会は深夜まで続き、やがて疲れて眠るのだった。
朝方、ちょっと早起きして森の空気を吸いに出かける。言い方を変えればお花を摘みに行く。ぶっちゃけて言えば生理現象よ。
せっかくなので、周囲を見回り、最後に嘆きの洞窟の前に座って考える。
今日のお昼頃になると、原因はわからないけどリゲルが死ぬ。
はぁ。ここまで情報ゼロ。
最初は王子がリゲルを恨んでいて殺害って線も考えていたんだけど、昨日の様子を見ると二人はすごく仲がいいのよね。
ちょっと尊いくらいね。
という事は未知のモンスター?
なんて悩んでいる私の横にいつのまにか現れ、すっと座るリゲル。
「なんだ悩みでもあるのか?スピカらしくないな」
はぁ……あんたの事で悩んでるのよ。
「ちょっとね。ところで体調はどう? お腹とか頭痛かったりしない?」
「そうそう。昨日のスピカのスープでお腹がっ……ってウソウソ。この通り健康さ」
そういって笑顔で鍛えた筋肉を見せつけてくるリゲル。ウフフ。
二人だけで話すなんていつ振りなんだろう。
「嘘だろ…スピカ。お前…泣いてるのか」
「えっ?」
まったく気が付かなかった。私…今泣いてた?
「ご、ごめんまた後でね」
「スピカ!?」
夢中で走り出し女子用テントに潜り込む。よかった二人ともまだ寝ているみたいだ。
どうしちゃったんだろ私。突然泣くなんて……
長くなったので分割します。




