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くるぶし(中)



  「ハァ、ハァ」

貴久(たかひさ)は走る。学校に遅刻しないために。



 「ハァ、エエァ、ウッ」

監視のヒトは追いかける。後々、国から給料をむしり取るために。



 「ハハハ、ハハ」

近所のおばさん達は話す。ただ本能に従うために。





「ふぅ」

なんとか無事に、時間ギリギリ校門にたどり着いた貴久。

「うぇーー」

強制全力疾走の結果、校門前でグロッキーな状態の監視のヒト。

「クスクス」

そしてそれを笑いながら指差す学校の生徒たち。

「…………」

教師陣はいつもの事とサラッとスルーする。



 そんな日常がそこにはあった。





 通常の靴箱に入りきらないので、特設靴箱に入れられた上靴を履き、身をかがめながら教室までの廊下を進む。

四メートルの身長にはいささか学校の廊下は狭いのだ。



 そんな生態がそこにはあった。





 教室の前までやっとの思いでたどり着くと、左足、頭、右足の順で、カニ歩きで後ろのドアからそろりと教室に入る。

 もちろん、三メートルもの足を身に付けている貴久の存在感はハンパなく、既に貴久以外の全員が揃っている教室からはいくつもの挨拶がとんでくる。


 それに対して軽く会釈しながら、一番左後ろの自分の定位置につくと、貴久のために開けられた一つ前の席があるはずのスペースにずっと曲がっていた足を伸ばす。



 そんな悲し目の優遇がそこにはあった。





 「ふぅー、生き返る。」

そんな悲しき日常なんてシカトして、オッさんくさいセリフを吐く貴久はクスクスという笑い声が返事をしてくれる。



 それに被さるように、横から声が飛んでくる。



 「おい、オッさん。今日の放課後映画行こうぜ」

半笑いで貴久を映画に誘ったのは、隣の席の親友ポジの(こう)だ。



 まぁ、悪い奴ではない。というか身長4メートルのばけもn……ゲフンゲフン 貴久にかまっている時点でかなりいい奴でかなり変な奴という事が分かるだろう。




 そんなことはさておいて、その言葉を皮切りに、二人は最近ハマっている小説や漫画等の話をしながら、1日7時間の授業をのらりくらりとやり過ごす。






 親御さんが泣いてるぜ?







 そんな一般論もさておいて、放課後、三時間目に決めたアクション映画へ(こう)と共に向かう貴久(たかひさ)



 いつものごとく入り口で身をかがめて映画館に入る。

しかし、映画館は中が広く天井も高いので、映画館内ではかがまなくて良いのが貴久には嬉しい所だ。


 「いやー、映画館はいつ来ても広々してて良いな‼︎」


 「映画館にそんな感想を抱くのはお前ぐらいだよ」


 「マジかよ」




 そんな馬鹿げた(いつも通りの)会話を交えながら軽やかに歩く二人をじっと見つめる謎の影。

 その影はカメラを構え鋭い眼光は二人、否、貴久を射抜いている。

 まるで今朝全力疾走したような、どこか疲れている足取りで二人のあとを追い、まるで走った後吐いたような、青白い顔で壁からひょこっと顔を出し、まるで吐いたゲロがかかってしまったので綺麗に拭き取ったような、ピカピカと光るカメラを掲げ、まるで……………………で、二人の通った道を歩く影。



 この影は一体何者なのだろうか。


 この影の目的は一体何なのだろうか。


 この影は何故そんなにもゲッソリしているのだろうか。




 疑問は尽きる事がない。






次回、影の正体が明らかに‼︎

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