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48.桃李の力*アリス*

 ***



 翌日時間が過ぎるのが遅かった。やっと皆の集合時間になった。柏木君が八雲さんと九条君を移動させた。九条君は顔をしかめている。やっぱりあれキツイんだ。九条君はずっと我慢してくれてるんだ。

 いつものように私の部屋に集合した。何となくいつもしてるからそうなった。皆で部屋を出て庭の見える場所まで移動した。窓は細いけど庭は見えない事はない。私は移動する間に写真から、今から撮る写真に実験を変更した事を告げた。皆同じことを考えていたようで一様に頷いていた。窓からポラロイドカメラで写真を撮り、現れたら私がマークしていた何匹かの猫の中で都合がいい猫の映像を柏木君に送り、柏木君は庭に猫を移動する。そこからは桃李の能力がどう出るかになる。


「じゃあ、写真を撮るね」


 私が写真を撮る。何もないただの庭の写真だ。出来るだけ外部からは見えないように木が立っていて壁も写っているところを撮った。移動したところを監視している奴に見られないためだ。なので、細い窓だけど念の為八雲さんと九条君は窓際ではなく離れたところから観察している。写真が鮮明になってきた、皆に写真を見せる。


「次行きます」


 一息吸い、柏木君に猫の映像を送る。お昼寝の真っ最中の猫がいた。動かれると困るのでちょうどいい。柏木君に猫の映像を送る。


「移動します」


 柏木君が言った瞬間、写真を撮った場所に猫が現れた。桃李が息を飲んだ。願っているんだろう。猫はお昼寝をやめない。移動したことに気付いていない。今の間がチャンスなんだけど、桃李をみると眉を寄せている。猫と桃李を比べて見ていた。


「あっ!」

「出来た!?」


 柏木君の驚きの声と桃李の疑問符付きの声が同時に上がる。私は桃李を見た。良かったちゃんとそこにいる。庭には猫がいなくなっている。今度は写真を見る……。


「写真に猫がいる……」


 私の声に皆が集まり写真を見る。


「ほ、本当だ」

「今度は戻す番だよ。桃李君」


 八雲さんの冷静な声が響く。そうだ。ちゃんと戻さないと。


「は、はい」


 桃李は集中している。皆は庭に集中する。


「おおっ!」


 皆のどよめきと共に猫がさっきの場所に戻ってきた。猫は移動も時空の移動も関係なく眠っている。気持ち悪くないんだろうかといらぬ心配をしてしまう。


「で、出来たみたいだね」


 桃李は少し残念そうに言う。


「じゃあ、鏡野も美咲も……」


 柏木君も動揺している。過去に行って戻ってくるなんて力、本当に出来るのか半信半疑どころか、無理ではないかと私でさえ思っていた。ファティマの預言が美咲ちゃんと出来ると思い八雲さんに相談したけれど、それはしなければならないんじゃないかという、不安をぶつけたものだった。まさか本当に桃李に出来るなんて。


「アリスちゃん、もう一度写真を見せて」


 私は写真の猫を確認しつつ八雲さんに渡した。皆覗き込んで猫を確認する。窓の外を見るとまだ寝ている。


「実践するまでに、何度か実験しよう。安全を確認しないとね」

「ええ!」


 八雲さんの言葉に桃李が勢いよく賛同する。

 皆で部屋に戻り相談が始まった。まずは桃李がどのようにしたかと過去に送った時に過去を確認出来ているか、それがわからないと戻るタイミングがわからない。


「それがいつもアリスに見せられてる映像のように過去に送った猫が見えていました」


 これは大きな収穫だった。柏木君のように私の映像なしでは困るし、過去に行った私が現在の桃李には映像を送れない。

 いろんな可能性を考えてこれから実験するように八雲さんに言われた。過去の写真の場所に柏木君が移動をして桃李が過去へ送り写真が変わったことを確認してから戻すを繰り返すように言われた。


「当時は戦争中だ。場所も外国だし移動と過去への移動もスムーズに行かないと安心出来ない。桃李君と柏木君の連携が大事だし、何度か繰り返せば気持ちも落ち着くだろう。時空移動するんだ。安心して向こうに送らないと。それが終わってから柏木君の妹さんに話をしよう。今は皆の気持ちが落ち着いてないから、彼女には落ち着いてからの方がいいだろう」


 美咲ちゃんは中学生だ。この状態では混乱と不安どちらも与えるだけになる。

 明日からは八雲さんと九条君はさらに範囲を広げる為の研究をし、私達は移動プラス過去への移動の実験を繰り返す事になった。

 ファティマの預言と奇跡を実際にする。……私が言い張った事だけど……本当になるなんて。桃李にそんな強い力があるなんて。実際に自分が行きそれを行う。考えれば考えるほど怖くなる。やらない怖さからやる怖さへと変わっていった。


「アリスちゃん、大丈夫? 無理なら……」

「いいえ。大丈夫です。……いえ、本当はするのが怖くなってます」

「だったら……」


 桃李が止めようとしているんだろう中に入ってくる。


「でも、しないことも怖いの」

「……」


 桃李は言葉を失う。桃李もわかっている。行かないとどうなるかわからないから。


「ファティマの預言や奇跡、この事からヒントを沢山もらっている。ファティマの聖母がいなければ私達は今ここまで来ていない。行って聖母がいれば帰って来ればいい。大丈夫。やらないで力を失うことの方が怖い」

「わかった。じゃあ、実験を重ねて安心すること。その後は美咲ちゃんを加えて、どうやって奇跡を起こすか預言をするか、一緒に考えよう」

「はい」

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