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24.見つけた*アリス*

 ***




 翌日いつものように昼休みになると柏木君がお弁当を持って私のところに来ようとしている。それを遮るように私もお弁当を持って立ち上がり柏木君に話しかける。


「柏木君! 今日は別の場所で食べよう」

「あ、ああ。うん」


 柏木君は少し戸惑った感じで、さっと教室を出て歩いて行く私について来る。

 もちろん向かった場所は屋上。思っていたより暑いな。誰もいない場所選びとしては最高なんだけど、お弁当食べるには最悪かもしれない。始めはこの場所に戸惑っていた柏木君も、すっかり暑くなったベンチに腰掛けいつも通りに弁当を食べはじめた。何かあるって気づいたんだろうな。それにしても、暑いよ。早く食べて伝えること伝えて移動した方がいいな。私が急いでお弁当を食べていたら柏木君も合わせてくれる。柏木君も暑そうだ。


 食べ終わりお弁当を包み終わった。早速昨日私が見た一部始終と、桃李と話をした計画の話の場面を柏木君に見せる。

 柏木君は一瞬驚きお弁当箱を落としかけた。なんとか踏みとどまったけれど、ひどく気分の悪そうな顔をしている。映像を無理矢理送り込まれるのってよくない感触なのかな。ここの暑さも手伝っているのかもしれないけれど。それでも、柏木君はそっと私に頷いて合図を送ってくれた。私は立ち上がり柏木君に手を差し出す。


「ごめん。暑かったね。たまには外で食べたくなって。でもここ本当に暑い。教室行こ。立てる?」


 気分が本当に悪そうな柏木君は私の手を取って立ち上がった。


「歩ける? ごめんね」


 私は肩を貸そうとしたけれど、柏木君はちょっと立ち止まり自分で歩き出した。




 放課後、桃李と柏木君の部活が終わるのをジリジリした思いで待っていた。昨日からずっとこの調子だ。相手の動きの全てを見ることの出来る能力を持っていた私には、相手がわからず追跡出来ないことが苛立たしくもあり、不安だった。昨日桃李には途中からは落ち着きを見せて、今回の計画を練ったが本当は不安でいっぱいになっている。

 相手の性格も能力も企みもわからないんだから。短時間でそれを探り出さないといけない。時間の余裕はあまりない。彼がどこにアクセスしているかわからないのだから。一応今まで私が見つけて見張っている組織との接触はないようだけど、これから先どうなるかわからない。


 やっと部活が終わり、今日もまた三人で帰っている。これって不自然だと桃李に言ったら、途中までは桃李は友達と帰るようにしてくれた。が、途中まではだった。結局は合流して一緒に帰っている。どうせ後で家で会うのに、桃李は何をそんなに心配しているんだろう。


 家に入り、私は部屋へ、桃李と柏木君はリビングへ行った。念のため全員の携帯はキッチンへ置いておいた。私は二人に私の見ている映像を送った。桃李ははじめてだったから驚いていたが、柏木君はこの前と今日の昼に見せたので一瞬ビクッとしただけだった。

 私は抜いていたパソコンの電源とLAN回線を繋いだ。さあ、本番だ。緊張しながらパソコンの電源をつけ、画面に文字を打った。


『昨日のハッカーさんへ

  話たいことがあるの。カメラの覆いを取るから、あなたも顔を見せて。見えない相手と話すのは気味が悪いから。ただ素顔を見せるのが嫌なら顔をマスクとかで隠してもいい。何も見えない相手だと不安なの』


 これは誘い文句ではあるが、本心でもあった。千里眼を持っていろんなものを見ていたから余計に見えない事が恐怖なんだろうか。さあ、返事は来るのか……この誘いに相手は乗ってくるのか。

 しばらくなんの反応もなかった。リビングの二人も顔を見合わせている。そして、もうダメじゃないのかと首を振っていた。その時画面が変わり何かのソフトをインストールしだした。私も桃李たちも固唾を飲んで見守っていた。

 ソフトのインストールが終わり、勝手にそのソフトが立ち上がった。どうやらカメラの画面を写しながらチャットが出来るソフトらしい。私のパソコンにマイクがついていないので直接会話出来ないからそんなソフトをインストールしたのだろう。ということは映像が来るっ!


『アリスちゃんへ

  君から顔を見せて』


 名前までやはりバレていた。判断に間違いはなかった。たぶん……。

 私はレンズを覆っていた紙をとった。演技なんかしなくていい。私の顔は強張っている。油断させるにはこの方がいい。一秒が永く感じられた。リビングの二人も腰を少し浮かせた状態だ。何かあればすぐにでも駆けつける為に。待ちきれず私はチャットの画面に文字を打ち込んだ。


『とったよ。あなたも顔を見せて』


 手が震え何度も打ち間違いをした。これも相手からは見えているんだろう。何を待っているの? 試してるの?

 と、その時真っ黒だった部分に手作りのお面を、というか目と口の部分が空いている人が写った。来たっ! これで相手を見れる。


『ごめんね。これ作るのに時間かかって。話って昨日の僕の質問だよね?』


 私はこの千里眼で彼を追った。見つけたっ! 柏木君に移動してもらうのはしばらく相手の様子を見てからにしている。柏木君に私がビジョンを送るのが合図になっていた。何としても探らないと。特に相手の能力を。


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