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17.寝坊

***



 朝日が差し込んできて目覚めた。……しまった! 昨夜は昨日の出来事についてあれこれ考えていたら、全く寝付けずにいた。やばい、朝練遅刻だ。僕は飛び起きて慌てて着替えた。

 何で起こしてくれないんだとぼやきたいが、その時間も惜しい。部屋を出ると呑気にテレビを観ながら朝ごはんを食べている美咲が目に入った。起こせよ。と思いつつ慌てて鞄に弁当と水筒を入れて、顔を洗い歯を磨きながら、家の中だから鏡野は見てないよなとホッとする。って、のんびりしてる場合ではない。


「いってきます」


 急いで玄関を出るとそこには鏡野がいた。


「おはよう」

「えっ! お、おはよう」


 何で鏡野がここにいるんだ? って、止まっている場合ではない。速足で歩き出した僕に鏡野は小走りについてくる。


「どうしたの? ていうか、朝練遅刻なんだ、だから……」

「急いでいるんでしょ。ごめん。ちょっと様子見たらまだ寝てたから、電話番号知らないし……だから、来たんだけど。着いたら起きてたから……邪魔だったね」


 鏡野はもう息が切れている。そういえば、運動は苦手みたいだったな。


「いいよ。どうせもう遅れてるし」


 僕はペースを少し落として言った。どうせ全力で走って行っても間に合わない。


「ごめん。速足でいいよ。ていうか一人で行くから気にせず走って行って」


 鏡野は本当に申し訳なさそうだ。


「いいよ。寝坊した僕が悪いんだから、わざわざ起こしに来てくれてありがとう」


 その言葉で鏡野が笑顔になった。遅刻は嫌だが、朝からこの笑顔を見れたのは何だか得をした気分だ。


「桃李が家を出たから同じくらいだと思って見たら寝てたから。昨日は眠れなかった?」


 また変なところを見られたみたいだ。このままじゃ嫌われるんじゃないかと心配になる。


「そうなんだ。いろいろ考えてたら目が冴えてね」


 その後は普通の話が続いた。外では危ないから能力の話は極力避けなくてはいけない。鏡野は楽しそうだった。やはり一人の世界は寂しかったんだろう。携帯の番号も交換し、これで大丈夫だねと笑っている。昨日はこんな事も気付かないで帰ってしまった。頭がいっぱいになっていたからだ。鏡野の事も。

 昨日の態度と今日ではなぜか雰囲気が変わっている。昨日は使命とこの能力のことやいろいろな事を考えて話をしていたからだろうか、僕への想いにいまいち気持ちが込もっていなかった。今日は僕といるのを楽しんでくれているみたいだ……これが監視されている人へのアピールでなければいいんだけど。昨日の鏡野の様子では不安になる。

 学校についてからは鏡野に断わって慌てて走ってテニスコートに向かった。佐々木先輩の射る様な視線は失くなっていた。ただ遅刻の罰は勿論受けたが。外周二十周……授業に間に合うかな?


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