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14.兄

「そういうこと。だけど装置を使う前にやりたいことがある。この力を利用して様々な殺人や窃盗やまあいろいろやってる組織がある。そいつらをどうにかしないとこの力がなくなったら手が出せなくなる。でもそれには危険が伴う。装置を作ってることがバレる確率も上がるし……」

「アリス、そんな組織潰したいのはわかる。だけど直接手を下すのは、それも犯罪だ。装置を作るのに時間がかかるだろう。素人三人が頑張ってもそんな未知数の装置をしかも複数作るんだ、その作業の間に何か解決策を考えよう。罪を償わせるような。勿論攻撃されれば自衛の為ならやってもいいが」


 さすが佐々木先輩だ。危険な事からうまく鏡野を遠ざけた。合法でないといわれれば鏡野も手が出せない。僕も鏡野の話を聞いて危ないと思っていた。


「そうか……それじゃ作業しながら考えよう」


 鏡野は案外素直に聞いてくれた、やっぱり先輩は兄なんだろう。


「とりあえずもう遅いから柏木は帰るんだ。あまり変な行動は目に付くしな」

「はい。じゃあ、帰ります」

「柏木君、力、私の指示以外では使わないようにね」

「わかってるよ。ところで……僕たちの関係ってどうすればいいの?」


 告白され両想いだと鏡野に言われても付き合ったんだという実感はまるでない。佐々木先輩を動揺させる為だけだったんじゃないかと不安になり、思わず鏡野に尋ねた。


「だから、柏木君は私と付き合うの。それとも嫌になった?」

「いや、違うよ確認だよ。鏡野の告白はこの力の話と一緒にするから、よくわかんなくなったんだ」


 僕は慌てて顔の前で両手を振って見せた。せっかくのチャンスを失うまいと。鏡野は僕の仕草が必死なのが嬉しかったようだ。今度は機嫌良く続けた。


「付き合っていれば、学校の内でも外でもずっと一緒にいれる。不自然なこともなくね。防御がしやすいしからね」


 やっぱりこっちの話の延長線上かよ。佐々木先輩はそう聞いて何だかホッとした表情になった。兄妹仲良過ぎだろ。


「俺は守られないの?」


 佐々木先輩はどこか茶化した顔で聞いてきた。


「桃李は私が見張っているから、いざとなればビジョンを柏木君に送ればいいから」

「見張ってって……か、柏木は見張らないのか? ていうかアリス、今まで俺を見張ってたのか?」


 やはり見張られるのは具合が悪い。佐々木先輩を耳から顔まで真っ赤にして今まで見張られていた事に思いを巡らしているんだろう。今度は顔色がよくない。


「私と一緒じゃない時は見てたよ。力を持つ遺伝子だってわかってから、しばらくの間だけど。力を持ってる様子全くなかったから、すぐにやめたよ。でも、柏木君も見張ってたよ。遺伝子を調べて力を持ってるの確認して、さらに危険が迫ってないか見張る必要があったから。学校や家にいる間や私といる間以外を見張るぐらいだからいいでしょ? それは柏木君も一緒なんだし」

「えっ! 僕も?」


 急に話を振られて驚いた。付き合って一緒にいるから大丈夫だと思っていたが、甘かった。


「命かかっているんだから。二人とも。危険の少ない学校や家にいる時や私といる間は省くんだからいいでしょ?」


 確かに命がかかっている。鏡野の母親の事を思えば足りないくらいだろう。鏡野は僕たちのプライバシーに配慮してくれているんだ。文句ばかりいっていられないだろう。


「僕はいいよ」

「俺も……」


 佐々木先輩はどこか納得はしていないままだが仕方なしといった表情で答えた。


「じゃあ、今日はこれで解散!」


 鏡野の言葉で今日のこの不思議な会合は終わった。いや告白だったか。



 僕は鏡野家を出てから、どこからか僕を見つめてる誰かを想像して背筋が凍りついた。まあ実際、鏡野が見てるんだけど。そして家につくまでの間に緊張しながら、さっきまでの鏡野の話を思い返していた。大変な事に巻き込まれたという思いと、命について思い巡らしていた。そんなことをしていたら、あっという間に僕の家の玄関前だった。僕は玄関のドアノブを握り、ドアを開きながら声を張り上げた。気持ちを切り替えるように。


「ただいま!」



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