第21話 人類の思惑
5人が黄金郷王宮に到着した頃──
精霊王朝では、大賢者と総司令官が話をしていた。
司令官バシレウス
「大丈夫だろうか。」
大賢者フリューゲル
「分からぬ。だが今回の"色欲"の出現は…世界の均衡を崩すやもしれぬ。」
司令官バシレウス
「俺は軍人だ。お前と違ってそこらの感覚は鈍い。」
大賢者フリューゲル
「騒ぎがあれば、すぐに駆けれるようにしてくれ。」
司令官バシレウス
「あぁ…だが黄金郷が西の大陸から南の大陸へ移動して以来、一度も魔王は王都侵攻が出来ていない。」
大賢者フリューゲル
「今回は別だ。黄金郷内にも大罪が潜伏している可能性は高い。」
司令官バシレウス
「確かに、それは否定できないな。」
大賢者フリューゲル
「後は頼む……儂は行くところがあるのでな。」
司令官バシレウス
「陛下と黄金郷皇帝からの勅命か…」
大賢者フリューゲル
「そうだ。」
大賢者は精霊王朝王都を離れた。
そして黄金郷王宮に着いた5人は、会議室へ到着。
エリュシオンはアスラン、フィリアの2人を部屋の中まで同行させ、エミリアとシュバルトは外で待機させる。
人類最大国家 【黄金郷プロスペリティ】
魔法の最高峰 【精霊王朝グリモワール】
宗教の総本山 【神政法国リュミエール】
人類の盾 【矮人国家イニティウム】
北西端の安泰 【ルプランド王国】
北の小雄 【フロン王国】
島々の統括 【アンデュレ王国】
この7ヶ国の代表者が一堂に会するのは、実に1000年振りであった──
黄金郷皇帝
「久しいな、エリュシオン。」
天帝エリュシオン
「久しぶりね…ガウロス。」
皇帝ガウロス
「また一段と美しくなったな。」
天帝エリュシオン
「ふふっ…褒めても何も出ないわよ。」
皇帝ガウロス
「相変わらず褒めなれておるな。」
天帝エリュシオン
「妾は最も美しいエルフだから。」
【皇帝 ガウロス】
黄金郷の秩序を守ってきた人間の男性。
人間である為、肉体は老いるが魔法により転生を繰り返している。
実年齢で言えば1800歳とエリュシオンより年上である。
皇帝ガウロス
「その2人が護衛か?」
天帝エリュシオン
「そうよ。」
フィリアは頭を下げ、
「陛下にお仕えする魔導師、フィリアと言うものです。」
アスラン
「同じくアスランです。」
皇帝ガウロスはアスランを眺める。
「ほう…君が……」
アスラン
「何か。」
天帝エリュシオン
「会った事は無かったわよね?」
皇帝ガウロス
「あぁ、良い魔導師だ。」
エリュシオン、アスラン、フィリアは黄金郷近衛兵に案内され席に座る。
会議の場は神威のような装飾が施され、7ヶ国の統治者達が一堂に会する事もあり、空気は重厚感があり威厳が漂っていた。
人類共生連盟の盟主である黄金郷の皇帝ガウロスが、中央に座る。
その脇に連盟次席の精霊王朝天帝エリュシオン、宗教の総本山である神政法国法皇が座った。
皇帝ガウロス
「皆の者、わざわざ来てもらい感謝する。早速本題だが、エリュシオン……」
天帝エリュシオン
「えぇ…先日、我が領内に大罪"色欲"が出現した。今のところ被害は報告されていないが、これは歴史に残る重大事件よ。」
法皇イドラトーレ
「半信半疑だったが…誠であったか……」
聖トランキル
「しかも…よりによって最高位悪魔の大罪が……」
【法皇 イドラトーレ】
68歳の人間男性。
神政法国の法皇として、長年秩序を保ってきた。
【聖 トランキル】
48歳の人間男性。
ルプランド王国統治者。
法皇イドラトーレ
「防護壁に異常は無いのか。」
君主マシフ
「あればすぐ各国に報告する。」
国主オルガーニ
「逆に異常がある方が、対応が容易い。」
国王ソリド
「だが、大罪は全員飛翔可能…防護壁など奴らには関係ないだろう。」
【君主 マシフ】
340歳のハイドワーフの男性。
矮人国家君主。
【国主 オルガーニ】
44歳の人間男性。
アンデュレ王国国主。
矮人国家同様に防護壁を固め続けている。
【国王 ソリド】
51歳の人間男性。
フロン王国国王。
皇帝ガウロス
「周知の通り、200年前の大戦以降魔王を含める大罪は、北東の大陸から姿を表していない。魔族が飛来しても上位魔人までであり、それ以上の者は確認されてこなかった。」
天帝エリュシオン
「だが今回の"色欲"の出現……最悪の場合、我が国以外にも大罪が潜伏している可能性がある。」
君主マシフ
「防護壁は奴らに効果は無い。侵入されても確認が取れぬからな。」
皇帝ガウロス
「今までは大罪の周囲は魔素に揺らぎが発生し、エリュシオンは感知出来ると考えられてきた。」
天帝エリュシオン
「だが今回の事を考えると……それすらも妾達の勘違いだったわね。」
君主マシフ
「最悪の事態も想定せねばなるまいな。」
法皇イドラトーレ
「大戦か……」
天帝エリュシオン
「その可能性も高いわね。」
皇帝ガウロス
「"色欲"と対峙した者がおると聞いたが、その者はなんと言っている。」
天帝エリュシオン
「アスラン、皆に。」
アスラン
「あぁ…大罪の力は文字通り化け物。防護壁も感知も効かないとわかった今、打てる策は限られるかと。」
国家元首達が、皆黙り込んでしまった。
沈黙の中、ガウロスが口を開いた。
皇帝ガウロス
「皆の者。全面戦争の覚悟は…いかほどだ─」




