第15話 乱れる
アスランが魔物の討伐中、木の影から誰かが見つめている。
頬を赤らめ、胸を高鳴らせた女性。
チェウムである──
命の恩人である彼に、恋するのは簡単な事であった。
更にアスランは、自他ともに認める美青年であり、性格に難はあるが、顔だけ見れば面白い程モテる。
エミリアが王都へ戻ってから1人という事もあり、多くの街娘から声をかけられていた。
チェウム
「あっ……あのっ!」
アスラン
「なに。」
チェウムは俯きながら、
「魔物退治……お疲れ様です…」
アスラン
「疲れてない。」
チェウム
「え……あっ…その……」
兵士
「アスラン様、労いの言葉に反論しなくても。」
アスラン
「労われる程疲れてない。」
チェウム
「す、すみませんっ!」
チェウムは、アスランの無神経な言葉に少々傷付き、走り去ってしまった。
兵士は、無神経な彼に少々引いていた。
兵士
「傷付けてしまったようですよ。」
アスラン
「なんで。」
兵士
「その態度ですよ。」
アスラン
「何もしてない。」
兵士
「口を開かなければ…もっとモテますよ。」
アスラン
「何もしなくてもモテる。」
だが次の日から、チェウムはアスランに積極的に話しかけた。
まぁ、この男を正攻法で攻略するのは不可能だが。
アスランは内心面倒臭かった。
だがチェウムの魅力的な身体を拝めるならと、良しとしていた。
チェウムは、何度もアスランを食事に誘っていた。
面倒臭そうなので、彼は断っていた。
だが何度も誘われ、アスランもエミリアが居なく暇だったので行く事にした。
そして当日──
チェウムは可憐な姿で食事に来た。
魅力的な身体を活かした姿。
妖艶で、麗しい姿。
アスラン
「うぉっ。」
チェウム
「どうかされました……?」
アスランはチェウムの身体を凝視する。
アスラン
「なにも。」
チェウム
「さっ食べましょ!今日はお礼なので、遠慮せず食べてくださいね!」
アスランは遠慮せず、大量のスイーツを頬張る。
机に敷き詰められたスイーツを見て、チェウムは一瞬引く。
だがギャップを感じ、アスランが食べているのを嬉しそうに眺めていた。
食事を、終え店を出た。
外はすっかり暗くなっていた。
都市から離れた街の為、人気は無く街灯が僅かにある。
チェウムはほろ酔いになっていた。
足を踏み外し、アスランに寄りかかる。
アスランは、チェウムの豊満な胸を胸板でじっくりと味わう。
チェウム
「す……すみません…酔いすぎました。」
アスラン
「あぁ…」
チェウムは、アスランを宿屋の部屋の前まで送った。
アスランが部屋に入ろうとした時、チェウムが抱きついてきた。
豊満な胸がアスランの体に押し付けられる。
アスラン
「なに。」
チェウム
「少しだけ…少しだけです……」
アスラン
「胸当たってる。」
チェウムは頬を赤らめ、
「大きな胸は……お嫌いですか?」
アスラン
「好きだけど。」
チェウム
「なら……少しの間、こうしてたいです……」
アスラン
「邪魔。」
チェウム
「そんな事……言わないで……」
アスラン
「離れな。」
チェウム
「っ……嫌です……」
アスラン
「なんで。」
チェウムは涙を浮かべ、
「っ……あなたの事が……好き…だから……」
アスラン
「なんで。」
チェウム
「"ずっと"……あなたを…想ってました……」
アスラン
「何もしてないけど。」
チェウム
「"初めて"見た時から……あなたが"欲しかった"……」
チェウムは彼を部屋に押し込み、ベッドに押し倒した。
チェウムの目は、薄ら桃色に変化。
アスランはそれを見て、力を"抜いた"。
チェウムはアスランに顔を近づけ、優しく唇を合わせた。
そしてゆっくりと、抱き合うように舌を絡めた。
アスランはモテるが、こういう接触経験はあまり無い。
そしてなにより──
アスランは押し倒して来るような、積極的な女性が好み。
チェウムの外見も相まって、アスランは彼女を"受け入れた"。
チェウムは服を脱ぎ捨てた。
仰向けのアスランに跨り、体を絡め合うように抱き締めた。
チェウムは貪るように舌を絡め、アスランの服を強引に引き裂いていく。
全ての事がどうでも良くなった。
体全体が沈んでいくような。
まさに──
"堕ちる"という感覚。
チェウムは、自分を受け入れたアスランに高揚し、彼の味を堪能し続けていた。
チェウムから放たれる、どこか甘みを帯びた妖艶な香りが、部屋中を包み込んだ。
どれ程の時間が経ったか分からない。
一瞬の出来事、永遠に続く快楽の渦。
どちらとも取れるが、どちらとも取れない。
アスランは、時間軸が歪んだ空間に誘い込まれたのではと、錯覚していた。
チェウムから漂う甘い香り。
時折見える、彼女の妖艶な瞳。
もう何でも良くなってきた。
全てが面倒に思い、任務など全て捨ててしまおう。
永遠に、こうして交われたら、どれ程幸せな事だろうか。
誰にも邪魔をされたくない。
誰にも取られたくない。
今目の前にいる相手は、絶対に渡さない。
交わるたびに、己の中の独占欲が増幅していく。
宿屋の一室だった場所は、知らぬ間に薄暗い牢獄のような場所に変わっていた。
チェウムは、街の美女から妖艶な姿に変わっていた。
髪色は茶髪から赤と黒のツートンカラー。
瞳は鮮やかな桃色。
耳は異形に変化し、服装は黒いシースルーの上品なドレスに変わっていた。
そして──
チェウムが起き上がると、背中からは禍々しい翼が広がった。
興奮が収まらない中、彼女は口を開いた。
チェウム
「はぁ……はぁ……堕ちたわ……」
すると、1人の男が部屋に入ってくる。
男
「終わりましたか。」
チェウム
「えぇ……全部…終わったわよ……」
彼女は、歯を見せて微笑んだ。




