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第14話 不穏な空気

アスランに助けられた女性が目を覚ます。


女性

「……ここは…」


アスラン

「宿屋。」


女性ははっと飛び起き、

「あ……あの…ミノタウロスは……」


アスラン

「もう居ない。」


女性は安堵した。

そして、アスランの手をギュッと握り締める。


女性

「ありがとう……あなたは命の恩人です……」


アスラン

「ん。」


アスランは部屋を去ろうとした。

だが、女性は追いかけた。


女性の服ははだけており、魅力的な谷間と太ももが露わになっていた。


アスランはそれを見て、一瞬立ち止まった。


女性

「わ……私は、チェウムと言います。」


名前なんてどうでもいい。

アスランは、今にもはだけそうな谷間をじっと見つめる。


女性

「あの……」


アスラン

「……なに。」


チェウム

「何か………お礼を…」


アスラン

「あぁ………」


チェウムの話は上の空。

ただ永遠と、谷間を見続ける。


チェウム

「私に出来る事でしたら……何でも。」


アスラン

「なん…でも……」


アスランはたじろぐ。


普段なら拒否して部屋を出る。

だが、あまりにも理想的な体型で、服から溢れんばかりの豊満な胸に、釘付けとなった。


だがいきなり、スンッとなる。


アスラン

「いいわ。」


アスランの好みは、押し倒してくるような積極的な女性である。

彼女の胸と尻はドストライクだが、積極性が足りなかった。


(惜しいな。)


アスランは部屋を出た。


だが階段をおりている時、大きな物音がした。

戻って扉を開けてみると、チェウムが倒れていた。


アスランは彼女をベッドに寝かせる。


チェウム

「すみません…何度も……」


アスラン

「うん。」


チェウム

「元々……体も弱くて。」


アスラン

「ふ〜ん。」


チェウム

「すぐ気絶してしまう事も多くて。」


アスラン

「大変だ。」


その時、階段を駆け上がる音が響き渡った。

騒ぎを聞きつけたチェウムの父親が、駆けつけてきた。


父親

「チェウム……大丈夫か!」


チェウム

「うん、大丈夫。この御方が助けてくれたの。」


父親は涙を浮かべ、

「ありがとう……本当に、ありがとうございます……」


安心で涙を流すチェウムの父親を、アスランは眺めていた。


アスラン

「あぁ……」


父親

「本当に……ありがとうございます。この御恩は一生忘れません。」


父親はアスランに深々と頭を下げた。

チェウムも父親に釣られて泣き始め、頭を下げた。


アスランは部屋を出た。


2日後、今度はオークが出現した。

だが中級魔物は、この一帯ではたまに出る。

アスランも、疑念に思わなかった。


そこから1週間が過ぎた。

下級や中級の魔物は出現した。

だが、普段から有り得る話で、特に気に止めなかった。


アスラン

「上級は。」


国境守備兵

「今のところ、以前のミノタウロスだけです。」


アスラン

「そうか。」


国境守備兵

「ミノタウロスの被害も、アスラン様の発見が早く、死者は確認されていません。」


アスラン

「ならいいか。」


だが翌日。

再びミノタウロスの上位種が確認された。


アスランは難なく討伐した。


兵士

「また出ましたか……」


アスラン

「うん。」


兵士

「ここ以外でも、他国で数体確認されています。」


アスラン

「どこ。」


兵士

「神政法国です。」


アスラン

「またか。」


兵士

「理解が出来ませんね……」


アスラン

「発生源は。」


兵士

「特定を急いではいますが……」


アスラン

「見つからんか。」


兵士

「失礼を承知でお聞きしますが……アスラン様の魔素感知はどれ程なのでしょうか?」


アスラン

「いつも感覚だから、魔素感知はそんな。」


アスランは他の人類より感覚に優れる。

視力も他とは比べ物にならない。


その感覚というのは、生物の本能的直感に近しいもので、エルフ特有の洗練された魔力感知とは異なる。


「魔力感知」は、魔族や魔物と人類や動物を仕分けするのにも役立つ。

極めれば、離れた場所からでも魔素の微細な揺らぎから、異常を感知出来る。


アスランの場合、視認すれば何か察知出来るが、感覚頼りで魔素感知はそこまで強くない。


一方、精霊王朝王宮。


大賢者フリューゲル

「依然として、発生源の特定が出来ておりません。」


天帝エリュシオン

「妾もよ……上級魔物が出現してからは感知出来るけど、発生源が分からないわ。」


大賢者フリューゲル

「発生源が無い可能性は。」


天帝エリュシオン

「それは…無いと断言したいわね……」


大賢者フリューゲル

「ですが、儂らの目を掻い潜る事など……」


天帝エリュシオン

「元々、妾達が存在すら知らない場所だとすれば?」


大賢者フリューゲル

「というと。」


天帝エリュシオン

「何かの拍子で、新たに発生源が出来たかもしれない。」


大賢者フリューゲル

「それを見つけるのは至難の業ですぞ。ただでさえこの国だけでも広大な面積があります。」


精霊王朝の国土は、約360万km²。

この広さから一から探すというのは、かなり困難な話である。


天帝は、上級魔物の出現場所に印を付けられた地図を見渡している。


そして──


天帝エリュシオン

「フリューゲル……山岳地帯を調べて。」


大賢者フリューゲル

「既に、多くの兵士を派遣しておりますが。」


天帝エリュシオン

「……中もよ。」


大賢者フリューゲル

「は……」


天帝エリュシオン

「山岳地帯の洞窟、樹海の洞窟を探して。」


大賢者フリューゲル

「洞窟にも派遣しておりますが……まさか、新たに洞窟を発見しろと?」


天帝エリュシオン

「出現場所から10km圏内を徹底的に探して……今現在確認できる場所で、発生源を特定出来ないのなら、新たな場所を見つけるしか方法は無いわ。」


魔素感知の弱点。

分厚い障害物や、結界が張られた場所では、魔素感知は遮断されてしまう。

特に山深くの洞窟などには届かない。


そして天帝は、国内にある全ての洞窟を洗い出そうと踏み切った。


だがそれは、途方も無い作業である。


そこから数日後。

多くの兵士が動員され、山岳地帯や樹海など、街から離れた場所の捜索が開始された。


一方アスランも、国境付近で下級や中級魔物を討伐しながら、上級魔物の出現を待っていた。


だが彼は、何か──


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