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第13話 度重なる違和感

杖制作を頼んで1週間後。

完成したと連絡が入った。


工房長

「いや〜……遅くなって申し訳ない。」


アスラン

「ちょうどだよ。」


工房長

「こちらが、アスラン様の杖になります。」


手渡された杖は、前回とは比べ物にならぬ程の完成度だった。


全体を黒い木で構成。

先端には青紫色の魔法石、その周りを銀の装飾で覆い、

柄の部分には古代文字の刻印。


禍々しさと流麗さが合わさった、見事な杖である。


杖を握ると──

青紫の光が全体から放たれた。


アスラン

「いいね。」


工房長

「アスラン様の魔力にも、耐えられる設計です。どれだけ強力な魔法を放っても、傷一つ付かないでしょう。」


アスラン

「助かる。」


エルフ工房長

「それと……こちらが僧侶用の杖になります。」


アスラン

「お前の。」


エミリア

「え……私の?」


エミリアの杖は壊れてはいない。

だが、高度な回復魔法を扱えるような杖では無く、彼女も魔力制御が得意では無い。


その為、上手く魔法を扱えていなかった。


かなりの完成度で、初級僧侶が扱うには勿体ない程である。


全体を白い木で構成。

先端には水色の魔法石。

柄の部分には、同じく古代文字の刻印がされている。


杖を握ると──

水色の閃光が全体を包んだ。


エミリア

「すごい……まるで身体の隅々まで魔力が浸透するような……」


工房長

「喜んでいたたげて、よかったですぞ。」


エミリア

「でもなんで……」


工房長

「アスラン様が、ご自身の杖と一緒に依頼されたのです。」


アスラン

「僧侶が回復魔法を扱えないなんて、話にならないからな。」


エミリアは深く頭を下げた。

「あ……ありがとうございます!」


アスランは、莫大な料金を工房長に支払った。


だが杖作成の頂点に君臨する職人に作成して貰ったと考えれば、安い買い物である。


新たな杖を手にした2人は、家に帰って支度をした。


アスランの任務

・"アンデュレ共和国"との国境へ赴き、上級魔物の討伐


2週間後──


東の国境最前線の街にたどり着いた。

道中、アスランは任務の詳細を説明した。


エミリア

「やっと着きましたね。この川の向こうが……」


アスラン

「アンデュレ共和国。」


エミリア

「ならやっぱり、上級魔物は入ってこないんじゃ……上級魔物の生息域は、アンデュレ共和国のさらに東ですよね?」


アスラン

「一応。」


エミリア

「どういう事ですか?」


以前、2人が遭遇したミノタウロス。

問題は魔物では無く、出現した場所。


神政法国は、人類国家で最も西にある。

周囲を他国に囲まれており、魔物の侵入は現実的に考えて不可能。


だが実際そこでミノタウロスの上位種の出現。

もう内地だからという保証は、通用しない。


エミリア

「本当に……内地の安全は無くなったのでしょうか……」


アスラン

「それを調べろって事だろ。」


【アンデュレ共和国】

精霊王朝の東に位置する多種族国家。

"矮人国家"同様、西の大陸中央に位置しており、人類を守る盾を担う。


アスランはまず、国境にある関門に向かい、状況を聞いた。


現在、上級魔物の出現は確認されていないが、今一度両国全土にも警戒を促した。


だが任務は、上級魔物の討伐である。

現段階ではやる事も無い。

とりあえず宿に入る。


エミリア

「前線じゃ無いとはいえ、気が休まりませんね……」


アスラン

「ん〜……」


アスランは、思考を張り巡らせていた。


魔物領域に隣接している国家は、矮人国家とアンデュレ共和国のみ。


その2ヶ国は東の国境に、南北から大陸を横断するように、永遠連なる防護壁を築き上げている。


魔素濃度が低い西の大陸では、周囲の魔素を利用する転移魔法は使えない。

魔族が魔物を転移させる事も不可能。


防護壁の警備は世界最高峰。

人類領域に侵入可能なのは、翼を持つ者のみである。


だからこそ、上層部の頭を悩ませた。


ミノタウロスのように、翼を持たぬ魔物が人類領域に到達するには、2ヶ国の防護壁を突破するしか無い。


防護壁は2000年以上前から建築されている。

随時巡回もしており、穴を見落とす等は絶対に無い。


エミリア

「誰かが……魔物を手引きしたとかは。」


アスラン

「無いな。」


魔物は知能が低く野性的。

魔物では無く魔族と共謀して、魔物を内地に侵入させるだろう。


だが人類が、国家規模で魔族へ加担する事も考えられない。


魔族に加担した場合──

他の人類国家は滅ぼされる訳だが、人類と魔族の共存は不可能だと、6000年の歴史が証明している。


そして、天帝エリュシオンの存在。

エルフは成長と共に魔素感知力が上がる。

天帝は1500年生きており、人類で最も魔素に敏感な存在。


その彼女が感知しない時点で、平地の魔素濃度は平常なはず。

だが感知出来る範囲には限度がある為、今回大勢の者が各地で任務に当たっている。


答えが出ないまま、2人は寝落ちした。


2週間後──

天帝直々に、エミリアの王都への帰還要請が知らされた。


エミリアは一人で王都へ向かっていった。


そこから5日後──

再びミノタウロスの上位種が姿を表した。

アスランは、それを討伐。


だがその近くには、1人の傷だらけの女性が倒れていた。

アスランは女性を担いで、街に戻った。


しばらくして、女性が目を覚ました。


その時僅かに、口角が上がった──


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