3話 沈黙の森
車に揺られて数十分、現場付近に到着するが、そこには壊滅された先鋒偵察部隊がいた
ハル「…嘘だろ、一体何が…」
初めての実戦のカイは肉片が飛び散った現場を見て口を塞ぐ
カイ「おぇ…これなんなんです?」
ハル「…なにって、壊滅した部隊としか、、、」
カイ「これ普通なんですか!?前線にいる人はこんなのに合ってたって言うんですか!?」
ハル「…いや、普通ではない、こんな現場見た事がない、なんだこの違和感、以前と何かが違う…おい、車内にカメラとかレコーダーがあるハズだ見てみろ」
部隊員「いやそれが、見ようとしてるんですが、全部破壊されてて、見ようにも観れないです…」
ハル「なんだそれ、意図的にやったって言うのかよ…」
カイ「…どうします?部隊は壊滅していますし…」
ハル「んな事分かってんだよ、工場に何か変化があった可能性がある、先鋒部隊がやられた今、俺達が引き継ぐ」
部隊員「まじで言ってんすか!?やられた原因不明なんですよ!と言うか!ここに居る事自体も危険ですって!」
ハル「原因が分からないからだよ、この原因が分からない限り、次来る時も、この先来る時も、全部危険って事だ、てかそもそもここに来てる時点で危険は承知だろ…」
部隊員「確かに」
ハル「とりあえず行くぞ、今までどうりじゃない、より警戒してな!」
一同「はい!」
燃えるような赤黒い雲が、空を覆っていた。地方基地から出たカイ達は、廃墟となった街並みを縫うように進み、ついに巨大な影を視界に捉えた。
そこにあったのは、ロボットたちの兵器製造工場。
高さ数十メートルの鋼鉄の壁が四方を囲み、外周にはサーチライトがゆっくりと円を描いていた。しかし、特に異変は無い
ハル「うん、分からん」
カイ「原因特定する為に来たんじゃないんですか?来た意味ないですって…」
ハル「しょうがないもんはしょうがないだろ」
ハル「んで動きは?」
???「北西側に四足歩行型の巡回兵2体。…ああ、車輪式のやつもいる。速度は速いが、段差で減速するな。」
現場現場通信係のレインが答える。耳には傍受機を付け、ロボット同士の無機質な通信を拾っていた。
工場の外部構造は事前情報で大まかに掴んでいたが、現場は予想以上に警戒が厳しかった。
特に燃料タンクのエリアは、高温感知センサーと赤外線レーザーで覆われ、無理な侵入は自殺行為だ。
「燃料の配置は、中央格納庫だな。」
カイが地図に赤印をつける。
「輸送艦の数は…見える限りで三隻。東ゲートに待機、搬入は一時間ごと。」
レインがさらに声を潜める。
「監視塔が南北東西に一基ずつ。特に南は狙撃用の二足砲塔がある。外壁を登れば即座に撃たれる。」
静寂の中、金属が擦れる重い音が響いた。
巡回していた車輪型のロボットが停止し、突如として首のようなセンサー部をこちらに向けた。
赤い光が薄闇を裂く。
「——伏せろ。」
ハルが手を上げ、全員が瓦礫の陰に身を潜めた。
センサー光はゆっくりと移動し、やがて離れていく。だがその瞬間、カイは遠くの闇の中で、奇妙な光景を見た。
監視エリアの端、倒れた鉄骨の側に、潰れた人間の頭部が転がっていた。
銃創ではない。圧壊——まるで巨大な機械の手で握り潰されたような跡。
血は既に乾き、黒くこびりついていた。
「……やっぱり、何かおかしい。」
カイは息を詰めたまま、視線を工場の奥へ向ける。
その先には、暗い格納庫が口を開けていた。
――ロボット製造工場。
巨大な鋼鉄の箱のような建物がいくつも並び、外壁には高出力ライトと監視ドローンが絶え間なく巡回している。周囲を覆う柵は電流が走っており、近づくだけで髪が逆立つような感覚が肌に伝わった。
「ここが…全部の始まりか」
レインが小声で呟く。彼女の耳には通信装置が装着され、敵の電波干渉を監視している
「監視ドローン、東から西に移動中。あと15秒で死角ができる」
低い声で知らせたのはハル。
カイは息を潜め、背中に背負った特殊な装備の重みを感じていた。高熱グレネード、短距離EMPランチャー、そして小型の赤外線妨害装置。人間が作り上げた、ロボットを欺くための“嘘”の道具たちだ。
「行くぞ」
ハルの合図で、3人は一気に柵を越える。レインが赤外線妨害装置を起動させると、監視センサーが一瞬だけノイズにまみれ、視界を失った。
中は想像以上に広く、まるで町のようだった。
奥には燃料タンクが何十基も並び、無人の輸送艦が規則正しく列を作っている。ベルトコンベアでは無数の金属パーツが流れ、組み立て用のアームがリズミカルに動いていた。
「見ろ…これ、武器だけじゃない」
カイは生産ラインに目をやる。そこでは、四足歩行型の量産機だけでなく、何か“人型”に近いシルエットが組み上げられていた。骨格のようなフレーム、異常に発達した脚部の関節、そして背中に小型のジェットノズル。
「試作機か?、一機しかない、いや作りかけだが、、、なんで二足歩行なんか…安定性は悪いはずなのに」
レインが眉をひそめる。
「……時間だ。移動経路と監視位置を全部記録しろ。燃料タンクの位置も忘れるな」
ハルが指示を出す。
その時、遠くで金属が擦れるような異音が響いた。
工場内のどこかで、重い足音がゆっくりとこちらに近づいてくる。二足歩行特有の、不自然に間延びしたリズム――。
カイたちは息を殺し、足音を響かせないように慎重に進む。
「……来るぞ」
通信係のレインが囁くと、皆が壁に身を寄せる。
足音――いや、金属の足が床を叩く音はどんどん近づき、
影が壁に長く伸びた瞬間、
そこに現れたのは――
ただの警備ロボットだった。
敵の主力とは比べ物にならない、旧式の量産機。
緊張が一瞬ほどけたが、ハルはすぐに低く言った。
「油断するな。奴は通報装置を持ってる」
カイたちはタイミングを計り、
EMPグレネードを投げ込む。
一瞬、警備ロボの赤い目がちらつき、関節が硬直して倒れ込む。
「クリアだ。次は燃料タンクの配置を記録する」
ハルの声に、全員がまた暗闇の中を進み始めた――。
警備ロボットの残骸を踏み越え、チームはさらに奥へと進んだ。
通路の先には、燃料タンクが整然と並ぶ巨大な格納区画が広がっている。
黄色と黒の警戒ラインが床に引かれ、タンク表面には識別コードが刻まれていた。
「全て撮影。温度計測も忘れるな」
ハルの指示で、カメラとセンサーが静かに稼働する。
レインは計測データを端末に転送しながら、周囲の警備パターンを観察する。
その後、輸送艦ドックへ。
格納庫には三隻の大型輸送艦が停泊し、補給員ロボットが燃料と物資を積み込んでいた。
艦体のマーキングや機体番号も全て記録する。
「移動時間は……このルートで二十五分。
ただし監視ドローンが巡回してるな。パターンは不規則」
レインが呟きカイがタブレットに地図を描く
最後に監視拠点の位置を確認するため、チームは外縁部へ移動した。
塔のようにそびえる監視施設の窓から、淡い赤光が夜空に走る。
レーザー式の索敵装置――有効範囲はかなり広い。
「これ以上は近づけないな」ハルが判断を下す。
必要な情報は全て揃った。
チームは元来た通路を引き返し、静かに外へ出る。
工場の外壁を乗り越えた瞬間、緊張の糸がようやく緩んだ。
工場はまだ遠くで低い唸りを上げている。
だが、その中にいることを気づかれぬまま、
彼らは夜の闇に溶けていった――。




