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ならずや黎一郎  作者: 有氏ゆず
第三話 ならずや、結成!
50/51

3-12





「か、馨ちゃん……!?」

「お前、今まで何処行ってやがったんだァ」


僕と黎さんの言葉は無視し、馨ちゃんは涼さんの方へと歩み寄った。




「あなた、さっきから聞いてたらデモデモダッテって煩い」


……かと思ったらめちゃくちゃ辛辣な言葉を浴びせる。ちょ、それは流石に言い過ぎでは……!?

しかし、止める隙も無く、馨ちゃんは続けた。


「それって実際に彼に言われたの?聞いてみたの?違うよね。全部あなたの勝手な想像に過ぎない」

「……で、でもっ、私は……!」

「ほら、でもって言った。聞いてもいないどころか聞こうともしないで逃げてる癖に、勝手に自分の気持ち決められて……その彼氏、可哀想」


馨ちゃんは吐き捨てるように言い、その後こっちを睨みつけた。……え?僕も?




「……将吾は、この女に甘過ぎ。ダメだよこういうの甘やかしちゃ」

「え?甘やかし……?」

「こういう人は自分の悲劇のヒロインだって思って酔ってるだけ。優しい言葉をかけて欲しいだけなんだよ。自分は悪くないって」


そ、そうなの……か?

確かに馨ちゃんは女性だけど……12歳だ。それにしちゃ、これはだいぶ大人びた発言じゃないか?


「黎一郎」

「あァ?俺にも何かあんのかァ?」

「当たり前でしょ。何将吾に全部任せてるの」

「あ、いや!それは僕が任せてって言ったから……!」

「将吾は黙ってて。仮に将吾に言われたとしても、完全に丸投げとか大人のすることじゃないから。将吾はまだ、子供なんだよ?」


か、馨ちゃんだって子供だよね!?

僕は思わず「人生何周目!?」とツッコミを入れそうになった。


……黙っててって言われたから、大人しく黙っておくけど。






「……で、話を戻すけど。あなたはすぐに彼に事情を説明すべき」


馨ちゃんは流れるような仕草でまた涼さんの方へと向き直る。思わずあまりにも無駄の無い、美しい動きだと思ってしまった。


「でも……」

「またでもって言って逃げるの?」

「……彼に、捨てられたくないの!」

「このまま話し合いを避けて逃げ続けてたら、それこそ捨てられルートだと思うけれど」


馨ちゃんの言葉に涼さんは息を飲む。

確かに、それは有り得るかもしれない話だからだ。




「……というか、あなたは捨てられる前提みたいだけど。どうして彼があなたの身体を受け入れてくれないと思うの?」

「そ、それは……」


涼さんが答える前に、馨ちゃんがクスリと笑い、答える。


「ああ、分かった。彼のこと信じてないんだ。あなたにとって彼って、そんな程度の存在だったんだね」

「…………!」

「だったら良いんじゃない?そんな程度の男なんて、サヨナラしちゃえばいい──────」

















「……そんなことない!私、彼のこと、愛してる!信じてるもの……!!」




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