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ならずや黎一郎  作者: 有氏ゆず
第三話 ならずや、結成!
51/51

3-13




涼さんは馨ちゃんに反論し、必死に叫んだ。

そしてその言葉を聞いた馨ちゃんは……微笑む。


「……だって。良かったね、ちゃんと愛されてるみたいで」

「涼……お前、そんなの言ってくれなきゃ分からないだろ……!」

「や、大和(やまと)!?どうしてここに……!」


馨ちゃんの言葉と同時に一人の男性が姿を見せる。

その男性を見て、涼さんは明らかに狼狽えた様子だった。


「何か急にこの子に着いて来いって引っ張られて、ここまで連れてこられたんだよ。それより、何で妊娠出来ないってこと黙ってたんだよ」

「そ、それは……あなたに知られたら嫌われるって思ったから……子供が産めない女なんて……」

「そんなことある訳ないだろ!俺はお前を本気で好きなのに!」


ああ、成程。

恐らくこの大和と呼ばれた男性が、涼さんの恋人なのだろう。




「黎一郎。この人、陰魔に取り憑かれてる」

「……あァ。そうだな」

「あっ!確かに何か背中に黒いモヤが……!馨ちゃんが見つけてきたの?」

「うん。それが私の役目だもの」


そういえば前にも、馨ちゃんは陰魔を探しに行ってるとかどうとか聞いたな。

この子は黎さんから離れている時は、一人でパトロールをしていたのか。それで、陰魔に取り憑かれている大和さんを見つけ、連れて来た、と。


「おい、馨。……読めそうか」

「だいぶ低級だけど……やってみるね」

「……てな訳で、そこのお二人さんよォ。今からお前に憑いてる厄介者を祓うから喧嘩は後にしなァ」


黎さんの言葉に二人は言い争いを止める。

そして、馨ちゃんはいつものように詠唱を始めた……。








「混沌に飲まれし咎人よ、汝の罪を我に示したまえ……」








そして目を開け、告げる。


「彼に憑いてるのは、生霊」

「生霊……だとォ……?」

「正確に言うと、人が吐いた呪詛が形になって陰魔になったものなの」


馨ちゃんは大和さんの方を振り返った。




「あなたの周りに、酷いことを言ってくる人が……いるんじゃないの……?」

「……っ、それ、は……」


明らかに心当たりがあるようだが、大和さんは俯いて答えない。

その様子を見て、涼さんが彼を揺さぶった。


「教えて、大和!あなたを傷つけているのは誰なの!?」

「………………」

「どうして何も言ってくれないの!?あなた、陰魔に取り憑かれちゃってるんだよ!?」

「……それは。でも……」

「言ってよ、大和!私はあなたを愛してるの!だから、辛い思いをさせたくないの!」

「……………………」


それでも大和さんは沈黙を貫こうとしたが、今にも泣きそうな涼さんを見て、ようやく重い口を開く。








「……一ヶ月程前から、俺の元に男が訪ねてくるようになったんだ……」





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