3-9
「だ、大丈夫……?」
「な、何とか……」
僕は受け止めた女性を地面に降ろす。見た感じ、何処も怪我は無いようだった。
「怪我とか、その……」
「……ええ、大丈夫よ。その、ごめんなさい」
念の為怪我の有無を聞いてみたが、大丈夫そうだ。……良かった。何ともなくて。
「涼〜っ!」
その様子を見て、4階から少女が飛び降りて来る。……飛び降りて!?
「ちょ、危な……!」
「……平気だ」
いつの間にか1階に降りてきていた黎さんが、少女を受け止めようとする僕を制する。
「へ、平気って……!わっ!」
反論しようとすると、飛び降りて来た少女は目の前で……
……浮いていた。
「!?!?!?」
言葉にならない僕に、黎さんは説明してくれる。
「コイツは不思議生物だ」
「ええっ!?で、でも僕、見えてるけど!?」
「……あァ?そういや何でお前にも視えてんだァ?」
僕がそういった類のモノを全く視ることが出来ないことは、黎さんはよく分かっている。
「僕にも普通に視えたし、声も聞こえたから……人間かと思って。だから飛び降りた時焦ったんだけど」
「成程なァ。何でお前が視えるのか知らねェが……普段と違うこととか無かったかァ?」
……廃墟に居ること自体が既に普段と違うことなんだけども。多分、そういうことじゃない。
でも、普段と違うことなんて特に……あ。
「もしかして、これ……?」
僕は先程黎さんに渡された札を取り出す。でも、これは黎さんがくれた物だし、関係ないかな……?
「……ンの野郎。また余計な機能つけやがって」
……ああ。これ、黎さんの物じゃないんだ。その一言で察してしまった。
恐らくまたあの物売りにでも押し付けられたのだろう。
「返せェ。お前は元々視えないんだから、視えなくて良い」
「え、やだ。まだ解決してないし。僕も視たいし」
「お前なァ……!」
「僕のことより、そっちの2人でしょ。結局、その子は陽魔なの?陰魔なの?」
僕の言葉に黎さんはそっと逃げ出そうとしていた2人に気づいたようだ。
「……おい、テメェら。助けて貰っておきながら逃げようとしてんじゃねェ」
明らかに怒りが込められた低い声を聞いて、流石に女性も少女も足を止める。……おいおい。少女の方なんて、怯えているじゃないか。
「黎さん、怯えてる」
「あァ?」
「そんなに怖い顔しちゃ駄目だって。どうせすぐに消すつもりじゃないんでしょ?」
「……まァ、コイツが誰にも危害を加えてなけりゃの話だがなァ」
「分かった。僕に任せて」
「チッ……時間かけんじゃねェぞ」
黎さんは舌打ちをしたが、反対はしなかった。
よし、ここからは僕の出番だ。任せてもらうとしようか。




