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「そういえば黎さんは日常的に陰魔を祓ったりしてるの?」
「……あァ?そうだけど、何か問題かよ」
問題というか。この人のお陰で今までの平穏は守られてたんだなあと思うと感謝しか無いんだが。
でも、そういうことを無償で誰にも気づかれないうちにやっちゃうから、お金が無いんだろうなあ。
「あ、そうだ!」
いいことを思いついた。これで黎さんは一文無しじゃなくなるし、今までのツケも払えるいい方法。
「祓うの、仕事にしたらいいんじゃない?」
「あァ?」
「そもそも無償でやってるのがおかしいんだよ。僕にだって普通なら請求しないといけないとこだろ?」
「あのなァ……」
黎さんは呆れたようにため息をつき、頭をボリボリと掻く。
「本人に責任がねェのに取り憑かれてたのを祓ってやって、それでカネを請求するとか理不尽だろ」
「でも……」
「取り憑かれたくて取り憑かれた訳じゃねェ。ただ普通に生活してただけなのに取り憑かれて、それに対して金銭を要求するなんてことはしたくねェ。祓うのは……俺が勝手にやってンだよ」
「……黎さんって、良い人では?」
「はァ?」
良い人過ぎて損をするタイプか。成程。
まあ、こういう人だから僕も気になってついてきちゃうんだけどさ。
「……良い人なのは悪いことじゃないけどさ」
「待て。俺ァ良い人じゃねェ」
「弁護士とかだって、お金を要求するでしょ。相談者が被害者だとしても」
黎さんのそういうところは、決して悪くないと思う。でも、綺麗事だけでは生活していけないのだ。
「被害者だからってお金は要らないってのは、また違うんじゃない?黎さんの仕事の対価は必要だと思うけど」
「ンなこと言われても、俺に金の計算とか、そんな難しいことが出来る訳ねェだろ」
……確かに。それは否定出来ない。
この人は多分、本能のままその日暮らしで生きているような気がする。
「あっ!」
そして、僕は素晴らしい方法を思いついてしまったのだ。
この方法だと黎さんは難しいことを考えなくて、ただ仕事をするだけでいい。
そして僕は合理的にこの人についていける、そんな素晴らしい方法だった。
「あのさ、僕が黎さんの助手──────」
「……黙りなァ」
……しかし、僕の言葉は黎さんによって発することが出来なかった。
「え、黎さ……」
「……良くねェ気配がする。そこで待ってろ」
「え、ちょっと待って!僕も行く!」
まさか、陰魔だろうか。
とりあえず僕の話は後回しにすることにして、僕は黎さんについて行くことにした。




