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ならずや黎一郎  作者: 有氏ゆず
第三話 ならずや、結成!
39/51

3-1





「こんにちはー」

「将吾さん、いらっしゃいませ」


最早この食堂に通うのが日課になっているような気がする。だって、ご飯美味しいし。

それに、神々廻さんのことも気になる。


あれから純子さんに聞いたけど、前回の仕事の代金も彼は貰わなかったらしい。

一応依頼者は僕ということになっているらしく、僕が払おうとも考えたが、それも彼に止められてしまった。「礼は考えておいてやるよ」なんて言われて。


結局、僕が助けて貰った最初の依頼の礼も出来ていないし、今度こそその話がしたくて毎日食堂に顔を出してはいるのだが……そんな時に限って彼はなかなか姿を現してはくれなかった。




「純子さん。神々廻さんが何処行ってるか、分かる?」

「そうですね……。何となく、見当はついていますが……」

「ほんと!?教えて!」


彼女が言い終わる前に僕は食ってかかる。ちょっと失礼だったかもしれないが、それくらい僕は彼に会いたいのだ。


「絶対にそことは断言出来ませんが……《魔具師》のところだと思いますよ」

「まぐし?」


そういえばこの前、馨ちゃんからそんな単語を聞いたことがある気がする。あの時は初めて聞く単語が沢山あったから、そのことについて聞く余裕は無かったけど。


「魔具師は、魔具を取り扱うことの出来る人間をそう呼びます。壊れてしまった魔具を修理することも出来るんですよ」

「あ。そういや、神々廻さんの番傘……壊れちゃってたよね」

「はい。恐らくその修理に行っているのかと思いますよ」


……成程。その可能性は高そうだ。

とにかく今はその魔具師を訪ねてみるのが一番良いだろうな。




「その、魔具師って何処にいんの?」

「この辺りにいらっしゃる魔具師は、たった一人だけですね」

「そっか!ちょっと見に行ってみたいから、教えてくれないかな!?」

「分かりました。えっと……《サメジマ屋》ってわかりますか?もし場所が分からないのなら、地図をお書きしますが……」


……サメジマ屋。中に入ったことは無いが、この近くにある道具屋だった……と思う。

中に入ったことは無いから、道具屋かどうかも知らないけど。ほら、何か雰囲気的にそんな感じのお店だった。


「いや、サメジマ屋の場所は分かってるけど……もしかしてあそこに魔具師がいるの!?」

「そもそもあそこは魔具を取り扱っているお店なんですよ」


へえ……知らなかったし、まさかこんなに近くにそんなお店があるなんて思いもしなかった。

不思議生物に関わる店って、上手く擬態して人間社会に溶け込んでいるんだなあと、思わず感心してしまう。




「ありがと、純子さん!」


僕は純子さんに礼を言って、早速そのサメジマ屋に向かうことにした。




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