2-17
『ウ゛……ァ…………』
木刀で思い切り殴られ、式部はその場に倒れ込む。……ねえ。これ、本当に気絶してるだけなんだよね?
「はい、確実に気絶させました」
てっきり殺ってしまったのではないかと疑ったが、そもそも奇具ではダメージを与えることしか出来ないのだ。
それでも、殺ってしまったのではと疑うくらい、迷いのない力強い攻撃だった。
「あ、そうだ!今のうちに!」
「……!うん!」
僕と成世さんは純子さんの強さに思わず呆けてしまっていたが、何とか正気に戻る。気絶させることが目的なのではない。薬を飲ませることが目的なのだ。
成世さんは気絶している式部の口に薬を流し込んだ。
『…………………』
……反応は、無い。
そりゃそうか。気絶してるんだから。
「……!離れろ!」
しかし、僅かな反応を神々廻さんは感じ取ったらしく、僕達を自分の方に引き寄せた。
『ゲェェェエエエエェェ!!!!』
その瞬間、式部の身体が痙攣したかと思うと、彼の口から青黒いドロドロが吐き出される。
「……!こ、これは……!」
「陰魔の欠片だ。やっと出て来やがったぜ……!」
青黒いドロドロ……陰魔の欠片は暫くその場でのたうち回ったかと思うと、成世さんに飛び掛かろうとする。
「いやあっ!」
「やらせるかクソボケェ!!」
神々廻さんはそれを許さず、番傘を陰魔の欠片に叩き付ける。
バキッ!
「……チッ!こんな時に!」
しかしこれは前回から骨が折れていた番傘には耐え難い衝撃だったようで、何と番傘は持ち手からポッキリと折れてしまった。
「ちょ、ど、どうすんの!?」
『…………!』
それを好機と見なし、陰魔の欠片は再度成世さんに襲いかかろうとする。
クソ!こんなになってもまだ諦めないのかよ!
「……やらせるかァ!!」
しかし、神々廻さんだって諦めない。
彼は壊れてしまった番傘を手放し、何と素手で陰魔の欠片に掴み掛かった。
そして、ついに──────
「……はッ、雑魚が。手間取らせやがってェ」
彼はそのまま、欠片を握り潰した。




