2-16
「式部、助かるよ……!飲んで……!」
成世さんは小瓶の蓋を開け、すぐさま式部に飲ませようとした。
しかし、彼は口を閉じて抵抗してしまう。
「ど、どうして……!助かるんだよ!?」
「陰魔が抵抗してやがるんだ……。つまり、あの薬の効果は本物ってことだなァ」
「へえ、本物だったんだね……ってもういない!?」
先程までいた物売りは既に姿を消していた。……いつの間に。全く気が付かなかった。
しかし、このままでは手遅れになってしまう。何とかして式部に薬を飲ませなければ……!
「……私が、やります」
「じ、純子さん!?」
先程まで気絶していた純子さんが立ち上がる。無茶だ。まだちゃんと回復していないのに。
「私が、陽魔を気絶させます。私の木刀は奇具なので、出来ます」
「そ、そうか!奇具はダメージは与えられるけど、成仏させることは無いから……!」
「……はい。ですから、私でなければ出来ないのです。あの陽魔の方には、少し痛い思いをさせてしまうかもしれませんが……」
しかし先程まで気絶しており、既にボロボロな純子さんにそれを任せるのは酷だった。
「そうかァ。……いけるか、純子」
「可能です」
神々廻さんの問いかけに、彼女は頷く。
そして僕の元に歩み寄った。
「……木刀、預かってくださってありがとうございました。後は、私がやります」
「純子さん……」
正直、僕が代わってあげたいと思った。でもきっと、僕では太刀打ち出来ない相手だろう。
この奇具を使い慣れた純子さんにしか、出来ない役割なのだ。
「……お願いします!」
「はい。任せてください……!」
僕は純子さんに木刀を手渡す。
彼女はそれを受け取り、力強く微笑んだ。
「一発で終わらせます!!」
彼女はなるべく式部を苦しませない為に、確実に急所を……胸部を狙った。そして……!
「一閃!!」
思い切り木刀を振り抜く。
それは、本当に一瞬の出来事だった。
骨が砕けるような鈍い音がしたのは、まあ、聞かなかったことにしておこう……。




