2-12
神々廻さんは番傘で成世さんの身体を貫く。
魔具で人間は傷つけられないと分かっていてもこの瞬間はヒヤヒヤしてしまう。
そして恐らく成世さんから陰魔が引き剥がされただろうタイミングで、僕は残っていた紫色の粉を撒く。
すると……
『グギャアアアアア!!』
そこには僕が想像しているような陰魔が現れた。前回のは赤黒いドロドロだったが、今回の陰魔は青黒いドロドロだった。
「チッ……相変わらず耳障りな鳴き声だ」
神々廻さんが舌打ちをして陰魔に向き合う。
「……ぅ、……!い、いやああああっ!!」
その時、先程まで陰魔に同化されていた成世さんが目を覚まし、叫ぶ。
そうか……!粉を振り掛けたから彼女にもその姿が視えているのだ……!
『アア……ナルルチャン……アイシテルヨ……!!』
陰魔は再度、成世さんと同化しようと彼女に掴みかかろうとする。
しかし、神々廻さんがそれをさせない。番傘を叩き付け、陰魔の動きを止める。
「……おい馨!読めるか!」
「読めるけど、純子から離れる訳にはいかないもの」
「仕方ねェ。ゴショー!お前視えてンなら純子のとこ行って守って来い!ついでにその女もだ!」
「えっ?うわあっ!」
「きゃあっ!」
僕が返事をする前に、神々廻さんは僕と成世さんを純子さんの元へと投げ飛ばす。ご、強引だ……!
「……将吾、よろしくね」
「ちょっ、ええっ!?」
それと同時に馨ちゃんが純子さんの元から離れた。それはつまり、僕が気絶している彼女と成世さんを守らないといけないということで……!
『アァアア……ナルルチャアアァァァァン!!!!』
「きゃあああああっ!」
「う、うわあっ!こっち来た!!」
ああもう仕方ないな!やるしかない!
僕は純子さんの傍らに落ちていた彼女の木刀を構える。で、でもどうしたらいい!?
「はッ、行かせるかよォ」
戸惑っている僕を背にし、神々廻さんが陰魔の前へと立ち塞がる。
「馨!読め!」
「……うん!」
馨ちゃんは前にしたように目を閉じ、唱える。
「混沌に飲まれし咎人よ、汝の罪を我に示したまえ……!」




