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「旦那ァ、絶対役に立つから買っておくれよ」
「要らねェって言ってンだろ。そもそも視える俺には不要なんだよ」
「でも視えない人に視せてあげられるじゃないか。お嬢もそう思わないかい?」
「そもそも陰魔が視たいなんて物好き、あんまり居ないと思うけど。……あ、」
僕はあの後色々な人に聞き込みをし、ようやく神々廻さんを発見することが出来た。……が、彼は取り込み中のようだった。
というか、何かを押し売りされているような……。
「黎一郎、将吾だよ」
「あァ?何だどうしたゴショー」
取り込み中にも関わらず馨ちゃんは僕に気づいてくれ、神々廻さんを呼んでくれた。
「おや、知り合いかい?なら邪魔しないうちに退散するとしようかねェ」
「おう。二度と来るなァ」
怪しい物売り(?)の女性(男性かもしれないが性別が分からない)はひらひらと手を振って去って行った。
そして神々廻さんは改めてこちらに向き合ってくれる。
「……汗だくじゃねェか。どうした?」
「あ……その、」
全速力で走っていきなり止まったせいか呼吸が上手く出来ず、それに動揺しているせいで上手く説明も出来なかった。
早くしないと、純子さんが危険な目に遭っているっていうのに……!
「……黎一郎。将吾から陰魔の気配がする」
「でも、憑かれてねェだろ」
「あ……食堂に……」
呼吸が整わないまま、それだけを口に出す。
しかし、神々廻さんはそれで全てを察してくれたようだった。
「……どうやらヤバい状況らしいな」
「うん。急がなきゃ」
「ごめ……僕、走れそうにないから……」
「置いて行って」と口に出す前に、神々廻さんは僕を担ぎ上げる。
「えっ、ちょっ!?」
「あァ?置いて行く訳ねェだろ。テメェも道連れだ、ゴショー」
べ、別について行くのは良いけど、僕一応男なんだけどな!?
どうしてそんなに軽々と、しかも片手で持ち上げられるかな!?
「ま、まさかこのまま行く気!?」
「当たり前だろ。どうせテメェは俺について来られねェんだからよ」
「喋らない方が良いよ。速すぎて、舌噛んじゃうから」
「いや、馨ちゃん!ちょっと流石にこのまま走るのって無理じゃ……」
─────次の瞬間、
僕は馨ちゃんの言っていた意味を理解することになるのだった。




